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筋肉で超回復、脳でも超回復
グリコーゲンの構造

からだに持久力がつくと、考えかたや生きかたも粘り強くなるといわれることがあります。ほんとうでしょうか。

持久力、とくに筋肉の持久力の源になる物質にグリコーゲンがあります。

ご飯、パン、うどんなどの食べものをとると、体に入った炭水化物がグリコーゲンに変わり、肝臓や筋肉に貯えられていきます。そして、激しい運動をしたときなどに、体に貯まったグリコーゲンが使われます。これが、エネルギー源になるわけです。

じつは、このグリコーゲンは、肝臓や筋肉だけでなく、脳にも含まれていることがわかっていました。そして、脳のグリコーゲンは、注意力や集中力を高めるということもわかっていました。

そうなると気になるのは、運動などでグリコーゲンを貯えると、それが脳のグリコーゲンを貯えることにもつながるかどうかです。

この問いに対して、筑波大学の研究チームは2012年、運動と休息をくりかえすと、筋肉に貯まるグリコーゲンの量が増えていくにしたがって、脳に貯まるグリコーゲンの量も増えていくことをつきとめました。

それまで、脳のグリコーゲンは代謝が速いため、量をはかるのは難題でした。しかし、この研究チームは、電子レンジにも使われる「マイクロ波」という電磁波を使った測定法を導入して、脳のグリコーゲンの量をはかることに成功しました。

実際、研究チームは被験者に運動をしてもらい、筋肉のグリコーゲンの量と脳のグリコーゲンの量をはかってみました。すると、運動後の休息のときに、筋肉で見られる超回復という現象が、脳でも見られたといいます。超回復とは、運動時にグリコーゲンが使われて量が少なくなったあと、休息時にグリコーゲンの量が前よりも多くなることをいいます。

この研究成果から、体を鍛えて持久力をつければ、注意力や集中力が高まるということをいうのは、早すぎかもしれません。しかし、すくなくとも、筋肉のグリコーゲンの量と、脳のグリコーゲンの量には、関わりがあるということはいえそうです。

しかし、研究チームは「高橋尚子さんのようなエリートマラソンランナーの強さの秘密には、脳のグリコーゲン、とりわけ注意・集中や判断力、記憶・学習に関係した脳のグリコーゲンが増加している可能性が高いことがうかがわれます」と話しています。

参考文献
漆原次郎「『持久力』の正体を探る」『Zwinning』2013年4月号
参考記事
筑波大学 2012年1月31日「スタミナをアップする脳グリコゲンローディング 脳神経の活動に不可欠なグリコゲンを運動で超回復できる」
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