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最重要課題の先延ばしが重要課題の遂行をもたらす


やりたくないけれどやらなければならない仕事がある。そのようなとき、どうすればその仕事をやることができるでしょう。

スタンフォード大学の哲学者ジョン・ペリーは、多くの人間が抱えるこの永遠なる課題に対して、つぎのような示唆的な論を述べました。

「より重要な仕事を先延ばししておくことだ」

遂げるのがものすごくたいへんに思える仕事を抱えているとき、人はその仕事にくらべればかんたんに思える仕事には手を付けるというわけです。

たとえば、ジョン・ペリーは、この論を述べたエッセイ「いかに先延ばしをして、物事をやりとげるか」を執筆したとき、つぎのような書類を抱えていたといいます。学生の進級がかかった論文、評価しなければならない助成金計画書、精読しなければならない学術論文の原稿……。

これらの仕事をこなすことにくらべたら、エッセイを一本書くことは大したことではなかったのでしょう。そのために、彼はこのエッセイを書くことができたのだといいます。

「ああ、この仕事をやらなければ」というときに、「でも、まずはこっちから手をつけるか」と考えたことのある人は多いでしょう。この自分に起きる心理を利用するわけです。

ペリーはこの業を「構造化された先延ばし」と名づけました。この業で重要なのは、構造化された先延ばしをしている人は、まったくなにもしないことはないことであるとペリーはいいます。大切なことを先延ばししている人は、鉛筆を削ったり、植木に水をやったりという、まずまず有意義なことをするわけですから。

エッセイの終わりのほうで、ペリーはこれまた示唆的な、つぎのようなことを述べています。

「必要なのは、妄想的にふくれあがった仕事の重要性や、虚構的に設定された仕事のしめきりを、あたかもそれらが一大事であり、差し迫ったものであるかのように認識できるようになることだ」

ジョン・ペリーはこのエッセイ「いかに先延ばしをして、物事をやりとげるか」の業績によって、2011年にイグノーベル文学賞を受賞しました。

参考文献
John Perry “How to Procrastinate and Still Get Things Done”
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