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配慮型社会に「住宅モード」


救急車のサイレンというと、通りすぎたときから音が低く聞こえるようになる「ドップラー効果」がよく話のたねになります。しかし、ドップラー効果だけが音を低くするわけではありません。

日本じゅうで見かける救急車のサイレンには、高音の「ピーポー」と低音の「ピーポー」があります。

高音の「ピーポー」は、従来からあるもの。1970年に「救急自動車に備えるサイレンの音色の変更について」という通知が出され、それまでの「ウーウー」といういまの消防車のようなサイレンから「ピーポー」になりました。周波数つまり音の高さも、高い「ピー」のほうは960ヘルツ、低い「ポー」のほうは770ヘルツと定めされています。

以来、救急車のサイレンにはこの高音の「ピーポー」が使われつづけてきましたが、問題もありました。夜中に出動した救急車のサイレンが騒音になり、「眠れない」などの声が市民から上がったのです。

そこで、救急車のサイレンをつくっている「大阪サイレン」という企業が、もうひとつのサイレン音を開発したのです。2001年には「救急車用電子サイレン」という発明名で特許を得てもいます。

この新しいサイレンの様式は「住宅モード」とよばれています。大阪サイレンの説明によると、「『住宅モード』とは、サイレンの音質に着目し、ピーポーサイレンの音色を損なわず音量も最低限確保した上で、その周波数等を調整し、耳障りな音が少なくソフトな音質のサイレンを鳴らす機能」のこと。

救急車を動かす救急隊員は、「住宅モードスイッチ」を押すと、従来の960ヘルツと770ヘルツの「ピーポー」から、すこし低い850ヘルツと680ヘルツの「ピーポー」にサイレンを切りかえることができます。

救急車のサイレンは、車の運転者や通行人などに、救急車が近づいたことを知らせるためのもの。音が人の耳によく届くことがあるべき姿です。それからすると、住宅モードのサイレンは、人の耳に音を届かせるという目的からは一歩、後退したモードといえます。

しかし、配慮を示すことが大切な社会です。

参考文献
特許公開番号2001-249673「救急車用電子サイレン」

参考ホームページ
大阪サイレン「『住宅モード』付きピーポーサイレン 」

ユーチューブで、従来のサイレンから住宅モードのサイレンに切り換わるときの音の変化を聴くことができます。以下のURLの映像の16秒あたりです。
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