科学技術のアネクドート

<< 「お父さん」より54年早く、宇宙へ | main | 配慮型社会に「住宅モード」 >>
「グン…ヴィーン」は冷媒ガス圧縮開始の合図


冷蔵庫は断続的に「ヴィーン」と、うなりを上げます。家のなかの冷蔵庫のうなり声はあまり気になりませんが、旅館などに置かれている冷蔵庫には、とつぜん「グン…ヴィーン」とうなりはじめたり、予測がつかないため緊張を強いられます。

冷蔵庫がうなりを上げるのは、冷蔵庫についているモーターが動くからです。では、モーターはどのような役割を果たしているのでしょう。それを知るため、冷蔵庫がものを冷やすしくみを見てみます。

冷蔵庫のなかでは、冷やす材料である冷媒ガスという気体が管を通って循環しています。気体は圧縮すると高温になり、液化すると低温になるという性質があるため、装置で冷媒ガスの高温化と低温化を繰りかえせば、

まず、冷蔵庫の外側に付いている「圧縮器」(コンプレッサ)という装置で、冷媒ガスは高圧になります。ガスは高圧になると高温になるため、圧縮機を通った冷媒ガスは高温となっています。

この高温の冷媒ガスが、管を通ってつぎに「凝縮器」(コンデンサ)という装置にたどりつきます。凝縮器は、おなじく冷蔵庫の外側に付いていて、くねくねした管と放熱用の細棒からなる装置。ここで、溶媒ガスは熱を放出し、温度を凝固点以下まで下げ、液体になります。

液体になった冷媒は、ひきつづき管を通っていよいよ冷凍庫のちかくへ。そして冷凍庫のまわりにある「蒸発器」(エバポレータ)という装置を通ります。蒸発器は、その名のとおり冷媒を液体から蒸発させて気体にする装置です。

冷蔵庫がものを冷やすポイントはこの段階にあります。ここで冷媒は、液体から気体になるときまわりの熱を奪うのです。これは、打ち水で水が水蒸気になるとき、まわりから気化熱という熱を吸収するのとおなじこと。これで、冷凍庫と冷蔵庫のなかを冷やしているのです。

気化された冷媒は、ふたたびもとの圧縮器へと返っていきます。つまり、冷媒が気体になるのと液体になるのをくりかえすなかで、液体の冷媒が気体になるときに熱を奪う現象を利用して、ものを冷やしているわけです。

さて、「ヴィーン」とうなりを上げるモーターはどこでうなっているかというと、最初に説明した圧縮器でうなっています。冷媒ガスを圧縮するためには、なんらかの動力が必要。そこで、モータの回転運動を、ピストン運動に変えて、冷媒ガスを圧縮するのです。そのときのモーター音が、あの「ヴィーン」です。

なお、モータの回転運動をピストン運動に変える圧縮方式は「往復圧縮」または「レシプロ圧縮」といい、冷蔵庫の圧縮器でよく使われる方式です。

モータがとつぜん「グン…ヴィーン」とうなりはじめるということは、当然ながら圧縮運動を行っているときと行っていないときがあるあるわけです。冷凍庫と冷蔵庫を冷やすべき時間にはモーターがうなりだし、冷やさなくてもよい時間にはモーターが黙っています。いっぽう、とつぜんモーターがうなりだすため、人はどきっとします。

参考ホームページ
TDK 電気と磁気の?館「冷蔵庫のルーツと冷凍技術の進展」
打ち水大作戦「打ち水の効果に関する質問」
| - | 22:54 | comments(0) | trackbacks(0)
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://sci-tech.jugem.jp/trackback/2241
トラックバック
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE