科学技術のアネクドート

<< 「さわやかな風が吹いている人」は短時間で快さをあたえると推測 | main | 都合悪いガスの追いだしに窒素 >>
「上り」と「奥へ」のメッセージが混在


駅の階段などには、「上り」と「下り」の通路を示す矢印の看板が掲げられています。階段で上りと下りの通路をわけて流れをスムーズにして混雑や混乱を防ぐ。そのための誘導役をこの矢印の看板が担っているわけです。

「↑」は上を指し「↓」は下を指す矢印になっているため、多くの人はどちらが上りで下りかを判断することができるでしょう。しかし、直感的にこの矢印の看板を見て、一瞬たじろぐ人もいるようです。

たしかに、「↑」が上を指し、「↓」が下を指していること自体は、それぞれ「上りの階段」「下りの階段」を区別させる役割を果たしているといえます。この点に問題はありません。

いっぽうで、利用客と矢印看板の空間的な位置関係を考えると、若干の違和感を覚える人がいるようです。

駅の利用者は、視線の向こうがわ、つまり奥のほうに、この矢印看板があるのをとらえます。視線の向こうがわに「↑」というデザインの矢印があると、利用者は「上り」という情報と同時に「奥へ」というメッセージもその矢印から受けとってしまうことがあるのです。

これは、道路標識のことを考えればわかります。指定方向外通行禁止を示す、青い背景に上矢印の標識は、「直進のみ可能」を意味しています。その矢印の指す方向は「上り」ではなく「(まっすぐ)奥へ」です。
駅の階段でも、手前から奥の矢印看板を見るという状況はおなじ。そのため、上向きの矢印に「奥へ」のメッセージが含まれていることになります。下ろうとする階段で「奥へ」となれば、それは「下り」を意味することになります。

それでもほとんどの人が、「この矢印は上りの意味なのだな」と認識できるのは、となりに下りの矢印があったり、「のぼり口」という文字があったり、まわりの多くの人が「↑」の看板の下の階段を上ってきたりしているという状況があるからです。

しかし、公共施設でのサインやピクトグラムは、ほかの状況などに頼らなくても利用者が「それ」と直感することを追究すべきものです。

たとえば、矢印のかたちを、すこし“尻すぼみ”にすれば、この矢印は下が奥で、上が手前なのだということが、より直感的にわかるようになるでしょう。

ピクトグラムの世界は、単純さを追究するなかで、人への直感的な理解を高めようとする奥の深いもの。ふだん見かけているような印にも、改善の余地はありそうです。
| - | 17:07 | comments(0) | -
コメント
コメントする









CALENDAR
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE