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「さわやかな風が吹いている人」は短時間で快さをあたえると推測


「あの人って、なにかこう、いつもさわやかな風が吹いているのよねー」

人が人のことを、このように評価することがあります。「さわやかな風が吹いている人」とは、どのような人でしょうか。

おなじような評価に「さわやかな人」があります。「さわやか」とは、すがすがしく快いさまや、気分のはればれしいさま。すがすがしく感じたり、気分がはればれしくなったりするのは、本人のまわりにいて影響を受けるほうの人です。つまり「さわやかな人」は、「まわりの人をすがすがしくしてくれる人」や「まわりの人をはればれしい気分にしてくれる人」ということになります。

インターネットの「イメージ検索」で、「“さわやかな人”」と入れて検索すると、いろいろな人物の顔写真が出てきます。「さわやかな人」を理想の人に掲げている人でなく、「さわやかな人」であると評されている人に対象を絞りこむと、だれの顔写真が該当するでしょうか。

男性でもっとも上位に検索された人は、東京海上日動あんしん生命に勤務する「ウチダさん」という一般の方。つぎに俳優の妻夫木聡さん。そのつぎに西武ライオンズの栗山巧外野手。ちなみに栗山選手の写真は外れたベルトをなおしている様子を撮ったものです。

いっぽう、女性では、上位から順に、女優の安達祐実さん、民主党参議院議員の岡平知子さん、ブラジル音楽アーティストの野沢知子さんとなりました。かならずしも万人が認める「さわやかな人」が上位に来るのではないようです。

「さわやかさ」を、色との関係で調べた研究もあります。

「局部照明の照明色が室内印象におよぼす影響」という論文では「さわやかな-さわやかでない」という感覚を、どのような色から覚えるか調べた結果が載っています。

それによると「赤」や「マゼンタ」という暖色系の色に対して、「さわやかでない」という印象があたえられたといいます。また、明るい青色である「シアン」は、赤、マゼンタ、青、白よりも、有意に「さわやかな色」と感じられたそうです。さらに、「さわやかな」色は「清潔感のある」色との共通点が多かったとも述べられています。

これらの断片的な情報を総合すると、「さわやかな人」の条件としては、“暑くるしさ”や“くどさ”を感じさせないような人であることが条件としてあるようです。

では、「さわやかな人」から一歩踏み込んで、「さわやかな風が吹いている人」とはどのような人でしょうか。

「さわやかな人」と「さわやかな風が吹いている人」の、ことばのうえでのちがいは、「風が吹いている」があるかどうか。「さわやかな風が吹いている人」は、評価する人からすると、本人のまわりをさわやかな風が吹いている(ような感じがする)という動的な感覚が伴っているわけです。

すくなくとも、「さわやかな風が吹いている人だ」と感じるのは、風が吹いている本人と直接会って話しているところを聞いたり、動いているところを見たりしたからこそだということです。そのように評する人も、本人のまわりで吹いている“風”を感じることができるのでしょう。

では、「さわやかな風」の気候的特徴はどうでしょう。いつまでも空気がそこに“停滞している”のでなく、“吹き抜けていく”ということになります。しかもその空気は湿っているより、乾いているほうが適していそうです。

この印象からすると、「さわやかな風が吹いている人」は、だらだらと話したおしたり、ぐだぐだとひとつの行為を長く続けたりする人とは異なります。さっと、その場に現れて、まわりの人に快い言動を放って、わりと短い時間でその言動を終わらせるような人となるでしょうか。

さらに、話のオチなどを言わないで、その場を立ちさっていくほうが、その場にいる人の心に余韻が残されることでしょう。これが「さわやかな風」の印象に寄与するのではないでしょうか。

これらの考察を総合すると、「さわやかな風が吹いている人」とは、その場に居あわせた人にわりと短時間のうちに快さをあたえ、かつ、話や行為のオチはつくらないまま、その場を去っていく人といったことになりましょう。

参考文献
本間由佳・佐々木忠之「局部照明の照明色が室内印象におよぼす影響」『茨城大学教育学部紀要(自然科学)』2009年58号
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