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青梅の梅にウイルス危機
東京都の西部にある青梅市は、市の名前にもあるように梅の木が多くあります。多摩川にかけての吉野梅郷は有名で、1万本が植えられています。

市の花は「うめ」。市のホームページでは、「寒気をやぶって、早春いまだ残る雪を割るようにほころぶ梅の花。甘いふくよかな香りは、ひっそりと春の到来を告げる。白梅の楚々とした気高さ、紅梅のしっとりとした艶やかさ、ともに趣深いもの」と、市花を詩的に紹介しています。

ところが、ちかごろ、「青梅市の梅が危機に瀕している」という話が聞かれます。梅の木が感染症にかかっていることがわかったのです。

梅の木の葉に、白い輪紋があらわれています。感染症の原因は、プラムポックスウイルスというウイルス。モモやスモモも含むPrunus属の植物に感染するウイルスで、1915年に欧州で発見されました。おもに、アブラムシがウイルスを媒介していると考えられています。

プラムポックスウイルスに感染した梅の葉。東京都農業振興事務所「庭木のウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)の調査にご協力をお願いします」より

これまで、欧州、アジアの一部、北米、南米などでこのウイルスは見つかってきました。しかし、日本でこのプラムポックスウイルスが見つかったという報告はこれまでありませんでした。

まだ、青梅市の梅からは見つかっていませんが、プラムポックスウイルスに感染すると、梅の実の表面にも斑紋があらわれます。人がその梅を食べても問題はありませんが、商品価値はいちじるしく落ちてしまいます。

農林水産省は2009年4月に、「プラムポックスウイルスによるウメの病気の発生の確認と対応について」という報道資料を発表。青梅市の梅がプラムポックスウイルスに感染したという第一報を出しました。

その後、東京都などの調査により、八王子市、あきる野市、日の出町、奥多摩町でも、プラムポックスウイルスに感染した梅の木が見つかりました。対応として、感染がわかったり、感染の疑いのある木は、伐採のうえ廃棄されています。

2011年6月には東京都が、青梅市の梅、桃、李(すもも)などの木の所有者に、7月から8月に行われる調査の協力をよびかけています。「この対策を進めるには、ウメ輪紋ウイルスの感染状況を正確に把握する必要があります。このため、東京都では青梅市と協力して、ウメ、モモ、スモモなど、住宅地に植えられている庭木について、平成23年も調査を実施することになりました」。

見つかってから2年。事態はなかなか収束に向かっていないようです。もし「青梅から梅が無くなる」といった事態になれば、市にとっては死活問題となります。

参考資料
青梅市の市章・木・花・鳥
農林水産省2009年4月8日発表「プラムポックスウイルスによるウメの病気の発生の確認と対応について」
同「プラムポックスウイルス(plum pox virus)とは」
東京都農業振興事務所「庭木のウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)の調査にご協力をお願いします」
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