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今村昌平監督の追悼上映会『楢山節考』


早稲田大学で、映画の故・今村昌平監督の追悼イベント「よみがえれ! 今村昌平」が7月15日(土)から開催されており、映画上映会に行ってきました。

今村監督は、1926年東京生まれ。1958年の日活映画『盗まれた欲情』を皮切りに、2002年の『セプテンバー11』(「日本編」担当)まで、20の映画作品を遺しています。1997年『うなぎ』という作品がカンヌ国際映画祭で監督自身2度目となるパルム・ドールを受賞したことは記憶に新しいところです。

今日は、今村監督の1983年の作品で、最初のカンヌ国際映画祭パルム・ドール作となった『楢山節考』の上映会がありました。

『楢山節考』は、日本の山村での「姥捨て」という習わしをリアリスティックに描いたもの。ここの村の年寄りは70歳になると、村を出て山の中へと連れて行かれます。村の食料が限られていることなどによる社会の掟であり、若い世代に社会を譲っていくという“新陳代謝”の象徴でもあるわけです。

貧しい村ゆえに、限られた数の人しか生きられないという村の厳しい状況の中で、水子(堕胎した胎児)を田圃に捨てたり、氏の悪い若者を生き埋めにしたりといった過酷な生活が描かれていきます。

今村監督は19歳で終戦を迎えます。今村青年の目に映った終戦の光景は、身ぐるみを剥がされたという意味での「裸になった日本人」といった光景でした。その後の映画作品にも、このときもった感覚が色濃く反映されていると言われます。

村に生きる蛇や馬や梟など、人間と同等な村の生活者としての動物の描写も見事でした。

明日16日(日)は、俳優の田口トモロヲ、北村和夫らを迎えて、追悼記年シンポジウム『今村昌平を語る』が行われ、1961年の『豚と軍艦』、1998年の『カンゾー先生』も上演される予定。他に、早稲田大学内の演劇博物館で追悼展覧会「今村昌平を探る」は8月2日まで開催中です。

早稲田大学での今村監督の追悼イベントのお知らせはこちら。
http://www.waseda.jp/enpaku/calendar/20060716.htm
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