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「高病原性」鳥インフルエンザのウイルスに「強毒性」が判明


島根県の養鶏場の鶏に鳥インフルエンザの疑いがもたれ、動物衛生研究所で調べたところ、「H5型」というウイルスが検出されました。

各新聞記事を見ると、「高病原性」と「強毒性」という似た表現が使われていることがわかります。
 
12月1日付の読売新聞では、次のように伝えています。
 
「島根県安来市の養鶏場で鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏の死骸が見つかった問題で、農林水産省は1日、遺伝子検査の結果、高病原性のH5型の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した」

いっぽう、この2日後、12月3日付の毎日新聞では、つぎのように「強毒性」ということばを使って報じています。
 
「島根県安来市の養鶏場の鶏が感染した高病原性鳥インフルエンザ(H5型)について、農林水産省は2日、ウイルスを強毒性と確認したと発表した」(2010年12月3日付)

政府の発表はどうなっているでしょうか。農林水産省は、12月2日に、それぞれつぎのような発表をしています。
 
「島根県安来(やすぎ)市で発生した高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)について、(独)農研機構動物衛生研究所が、分離されたウイルスの遺伝子解析を実施しました。この結果、当該ウイルスが強毒タイプであることを確認しました」(12月2日)
 
農林水産省は、「高病原性」の鳥インフルエンザについて調べたところ、そのウイルスが「強毒タイプ」であることがわかったと伝えています。3日付の毎日新聞では、この農水省の発表にある「強毒タイプ」を、「強毒性」とおきかえたのでしょう。
 
国立感染症研究所によると、「高病原性」とは「鳥に対する病原性」を示したもの。また、「高病原性」の定義として、国際獣疫事務局が、「最低8羽の4〜8週齢の鶏に感染させて、10日以内に75%以上の致死率を示した場合『高病原性』を考慮する」としていることを紹介しています。

農林水産省の発表文や、国立感染症研究所の説明をまとめると、「高病原性」ということばは「鳥インフルエンザ」に対して使われている表現であり、さらに「高病原性」のあるウイルスには「強毒タイプ」がある、ということになります。

いっぽうで、一般的に「強毒性」ということばは、鳥インフルエンザだけでなく、嘔吐や下痢などを引き起こすコレラ菌などを含め、さまざまな対象について使われています。

農水省が今回の鳥インフルエンザについての発表で、「強毒性」でなく「強毒タイプ」と使ったのは、「強毒性」という言葉の使われ方が広すぎるため、それを避けたのかもしれません。

参考記事
読売新聞12月1日「島根の鳥インフル、ウイルスは高病原性のH5型」 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101201-OYT1T01205.htm
毎日新聞12月3日「鳥インフルエンザ:島根養鶏場『強毒性』」 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101203ddm041040108000c.html
農林水産省12月2日「島根県において確認された高病原性鳥インフルエンザのウイルス分析結果について」
 http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/101202.html
参考ホームページ国立感染症研究所感染症情報センター「鳥インフルエンザに関するQ&A」 http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/QA0612.html
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