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世界のエネルギー使用量は増えていく
(2010年)11月30日の記事「経産省、2030年の“経産省的理想的エネルギー需給の姿”2お示す」で、経済産業省の描く2030年のエネルギー供給の内訳を紹介しました。

いっぽう、世界的な将来のエネルギー予想はどうなっているのでしょう。

米国に、エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)という政府機関があります。エネルギー情報局は、「国際エネルギー展望」(International Energy Outlook)という報告書を2010年7月に公表しています。

この報告書には、経産省が示したのとおなじ、2030年の世界的なエネルギーの供給状況が描かれています。


上の棒グラフは、世界市場のエネルギー消費量の2007年実績と、2015年から2035年までの予測を並べたもの。縦軸の単位は「1000兆英熱量」というもので、「1英熱量」は1ポンドの水を華氏1度、摂氏にすると約0.55度、上げるために使われるエネルギーの量です。

薄水色の部分が、日本、米国、英国、ドイツなどを含む経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)に加盟する30の国について。2035年まで、ほんの少しだけ予測消費量は増えていますが、ほぼ横ばいです。

いっぽう、赤い部分は経済協力開発機構の非加盟国。ブラジル、ロシア、インド、中国などの大きな国々や、アフリカ各国などはこちらに含まれます。年が経つにつれてだんだんエネルギー消費量が増えていくことがわかります。


では、世界で使われる一次エネルギーの種類は、どのような内訳になるのでしょう。それを示したのが、上の曲線グラフです。“Liquids”は石油などの液体燃料、“Coal”は石炭、“Natural Gas”は天然ガス、“Renewables”は再生可能エネルギー、“Nuclear”は原子力のことです。

もっとも右肩あがりなのは石炭。また液体燃料もあいかわらず伸びています。注目される再生可能エネルギーは堅調な伸びといったところ。そして最も伸び方が鈍いのが原子力です。

これは、経済産業省が示した、2030年の日本のエネルギーの使われ方とは大きく異なります。経産省は、2007年比で原子力による一次エネルギー供給量を倍増させ、石油に次ぐ一次エネルギー供給源にしようとしています。


エネルギー情報局の「国際エネルギー展望」は、2035年までの世界の電力生成の燃料別内訳も示しています。上の棒グラフです。縦軸の単位は「1兆キロワット時」。

石油は2007年から2035年までほぼ横ばいであるほかは、石炭、天然ガス、再生可能エネルギー、原子力のそれぞれが、ほぼおなじ比率で伸びていくことを示しています。ここからは、「電力のために、これ以上のペースで石油を使うことはしない」という意味が含まれています。

経産省の2030年の日本の発電電力量の内訳では、石油による発電量は2007年の10分の1以下。日本のほうが「電力に石油を使うまい」という意図が色こく見えます。

どのような内訳でエネルギーを供給するかは、国によってさまざま。世界の状況と見比べたときに、一国の特徴が見えてきます。

参考資料
U.S. Energy Information Administration “International Energy Outlook 2010”
経済産業省「2030年のエネルギー需給の姿」
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