科学技術のアネクドート

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「門司港JAZZ INN六曜館」の焼きカレー――カレーまみれのアネクドート(25)


ライスの上にカレーをのせ、さらにその上にチーズをまぶして、ドリアのように焼く。こうしてできあがるのが“焼きカレー”です。きわものが好きなカレーファンを中心に、知名度はあがってきています。

焼きカレー発祥の地とされるのは、北九州市の門司港。港の近くの栄町銀天街にあった喫茶店で昭和30年代、余ったカレーをグラタン風に焼いたところ美味しかったため、店のメニューにしたという話があります。

焼きカレーは門司港の観光名物に。街には、焼きカレーを出す飲食店が30件ほどあります。駅から歩いて5分、港町の交差点の一角にあるのは「門司港JAZZ INN六曜館」。観光地化された広場の店とは異なる、港街の喫茶店のたたずまいです。

店の中には、カウンターやテーブルとともに、ピアノや大型のスピーカー。ここは店の中で演奏も行われるジャズ喫茶で、店内にもリズムある音が流れています。

メニュー表には、一番上にシーフードカレーがあり、焼きカレーはその次。焼きカレーを前面に押し出さないあたりが、この喫茶店の小さな誇りと余裕を感じさせます。

注文から10分ほどで出てくるのは白い皿によそられた焼きカレー。皿には、ところどころ皿に焦げあとがあり、多くのカレーを焼いてきたことがうかがわれます。

焼きカレーは三層をなしています。上は焦げ目のついたチーズ。その下には水分のおさえられたカレールゥ。その下にドリア風になったライスがあります。

1スプーン目。まず、舌がチーズの香ばしさを、歯がカリカリ具合を感じます。チーズの量はたしかに多めですが、決してカレーの主役の座を奪いません。大いなる引き立て役です。

いっぽうのカレーの風味は、すこし遅れてやってきます。チーズに味を打ち消されるわけでなく、しっかりとした味でライスを覆います。具にはあさりなどの魚介類が入っています。

2スプーン、3スプーンと進み、舌がじょじょに慣れていくと、口の中でチーズとカレーの風味が渾然一体となっていきます。そして、次の山場はスプーンが半熟の卵を割ったとき。色は目立ちませんが、とろとろとした卵の中身が焼きカレー全体にしみていきます。

昭和30年代、すでにカレーはインド料理や西洋料理からは独立した日本食となっていました。一方、グラタンやドリアなどの洋食は、いまほど食べられていなかったに違いありません。日本と西洋の二つの料理が、皿の中で焼かれて一つの料理になったのです。ハイカラな料理は港町から生まれます。

「門司港JAZZ INN六曜館」の情報はこちらでどうぞ。
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