科学技術のアネクドート

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科学技術コミュニケーターの無給状況つづく
 三菱総合研究所科学・安全政策研究本部ホームページの「ウイークリーコラム」に、科学技術研究グループ研究員の小野槙子さんが、「科学技術コミュニケーターの奮闘を支える」というコラムを寄稿しています。小野さんは、北海道大学の科学技術コミュニケーター養成ユニット出身。

コラムの説明では、科学技術コミュニケーターは「研究の中で生まれた科学技術情報を、何らかの方法によって一般の人たちと結びつけようとしている人たち」とあります。具体的には、科学ライターのほか、研究所、博物館・科学館、教育現場で活動する人たち……。

小野さんは、科学技術コミュニケーターの現状を、「需要が高まっているのかもしれない」としながらも、「サイエンス・ライターなどほんの一握りの人たち」をのぞいて、「多くはボランティアとして草の根的活動に留まっている」と説明します。

なぜ、科学技術コミュニケーターには、無給奉仕者が多いのでしょう。つぎの3点が理由として上がっています。

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科学技術コミュニケーターの存在意義が、研究者自身を含めた広く世の中に理解されていない。

活動資金等の裏づけがないため、活動が持続しない。サイエンス・カフェなどのイベントなどは、「出ては消える」状態である。

活動の受け手が限られている。「科学技術」と聞いて、今の日本ではほとんどの人がげんなりする状態である。結局イベントなどに参加する一般の人は、一部の元々科学技術に興味を持っていた人に限られており、無関心層に働きかけるのは難しい。
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これらの理由をひとことでいえば、「科学技術コミュニケーターの活動が深く根付いていないから」ということになるのでしょう。まさに「草の根」の現状です。

しかし、3番目の科学技術に対する気嫌いについては、それを脱しつつある気配もあります。(2009年)3月13日に内閣府が発表した「科学技術と社会に関する世論調査」によると、「科学技術についてのニュースに関心がある」と解答した人は63%。これは2007年の62%を2ポイントうわまわり、過去最高になりました。

「景気回復が実感できない」という言葉がよくあります。世の中には、「科学技術に対する関心度の高まりを実感できない」といった集団心理状態もあるのかもしれません。

科学技術コミュニケーターによる活動が奏功して市民の科学技術のニュースへの関心が高くなったことも考えられます。もし、そうだとすれば、科学技術コミュニケーション活動は成功をおさめたことになります。

しかし、それでもなお、無給奉仕の現状が変わらず、それが問題になっているのだとすれば、社会のしくみに問題がありそうです。原稿料の制度がむかしから確立されていた科学技術ライターのような職業とちがって、科学技術コミュニケーターという新しい社会的役割に対価が支払われることもまだ根付いていないというのが現状のようです。

小野さんは、「科学技術コミュニケーターの供給側のエネルギーは充分である。必要なのは、コミュニケーターと科学技術をつなぐ強力なパイプ、安定した活動の場である」と述べています。

三菱総合研究所科学・安全政策研究本部「科学技術コミュニケーターの奮闘を支える」はこちらで読めます。
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