2006.05.20 Saturday
「デルポイの神託」から「デルファイ調査」

ギリシャにあるデルポイの古代遺跡(トップ画像)は世界文化遺産にも登録されている由緒ある遺跡です。
この地では、「デルポイの神託」が行われていたと言われています。デルポイにあるアポロンの神殿で、巫女さんが神々のお告げを人々に伝え、それによって、都市国家(ポリス)の政策を決めていったそうです。
さて、このデルポイの神託が行われていたころから長い歳月が経った今日、科学技術政策をデルポイの神託にあやかって決める方法があるといいます。
その名も「デルファイ調査」。この「デルファイ」はまさに「デルポイ」が語源です。「デルファイ調査」では、直観を頼りに未来の科学技術を予測するため、ご神託というニュアンスが引き継がれたのでしょう。
デルファイ調査は、ある科学技術について、それがいつごろ現実のものとなるかを予測しようとする調査です。
方法は、まず、その道の専門家や、その道の専門家ではないけれども有識者といわれるような人たちに、未来の技術がいつごろ達成されているかをアンケートで聞きます。
たとえば、「がん化の機構が解明されるのは、次のどの期間においてか? (1)2006〜2010年(2)2011〜2015年(3)2016〜2020年(4)2021〜2025年(5)2026〜2030年(6)2031年以降(7)わからない」などと選択肢を示して、答えてもらいます。
ここまでは普通の質問とあまり変わりませんね。でも、デルファイ調査のおもしろいところは、この後の手順。アンケートに協力してくれた人たちに、いったん、アンケートの結果を見せてしまいます。そのうえで、まったく同じ質問をしてもう一度、答えてもらうのです。
質問内容によっては、1回目の調査よりも、実現予想時期の平均が、少し前にずれたり少し後にずれたりします。
けれども、どんな実現予想時期の質問をしても、2回目の回答の散らばり具合は、1回目の回答の散らばり具合よりも、確実に狭まるといいます(世界共通の法則!)。
こうして、同じ人たちにまったく同じ質問を2回もしくは3回以上、繰り返すことによって、未来予測をより確かなものにしていこうというのがデルファイ調査の極意です。
デルファイ調査は、国が科学技術のどの分野に重点的に力を入れていくべきかなどを決めるときの、重要なツールのひとつになっているそうです。
文部科学省・科学技術政策研究所の、デルファイ調査を使った技術予測に関する調査研究の概要はこちら。
http://www.nistep.go.jp/nistep/about/thema/themaA.html
この記事は、早稲田大学院の科学技術ジャーナリスト養成プログラム「科学技術政策」(桑原輝隆客員教授・西村吉雄教授の講義)を参考にしています。
