科学技術のアネクドート

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気象庁のカレーライス――カレーまみれのアネクドート(10)


東京・皇居のお堀の向かい、竹橋の毎日新聞社の横に気象庁があります。

たてものを入ると、すぐに警備員のおじさんが「はい、こんにちは」。一般の人も中にある気象科学館などに用があれば入ることができます。

東京消防庁に面した部屋に食堂が。ショーケースの中を見ると、官庁食堂の定番「カレーライス」がここにももちろんあります。役所の食堂でカレーライスがないところはたぶんないのでは。

ここのカレーは、コラムニスト泉麻人さんが食べたことでも(一部の人には)知られているメニューです。泉さんは、気象予報士の資格をもつほどの天気予報マニア。気象庁1階にある、お天気や地震、それに火山などの本が並んだ小さな書店には、著書『お天気おじさんへの道』も置いてあります。

泉さんは、気象予報士試験の申請で気象業務支援センターを訪れたついで、「かねてより一度覗いておきたい」と思っていた、気象庁に入ったのでした。そして、食堂へ。「神保町のカレー、が頭にあったので、迷わずカレーライスに決める」。
職員の多くがシャツの胸などに部署名入りの名札を付けていることに気づいた。省庁全般のしきたりなのか……もしや、僕のような“部外侵入者”を排除する目的があるかもしれない。ただし、食卓の所々には作業衣の人や、技術系と思しきラフなスタイルの人も見られるから、スウィングトップ姿の僕もさほど浮き上がってはいないだろう。とはいえ、やや伏し目がちにカレーを口に運び、ふと目の前を見ると、さっきまで空いていた席に白髪の理知的な男が座っている。胸の名札に「気象庁予報部……」の表示が確認された。
 もしや、この男があの難解な試験問題などを考えた……のかもしれない。
食堂の職員たちを観察するなかで食べたカレーの味は「わるくはないが、よくあるレトルトのレベル」とのこと。

泉さんが気象庁でたべた2004年には、400円でひじきもついていたようですが、最近のメニューではみそ汁がつくのみ。でも、その分、味はグレードアップしたのかもしれません。

省庁のカレーにありがちな、黄色っぽいどろどろしたルウよりも茶褐色。粉っぽさや安っぽさを感じさせません。中辛、若干コクあり。400円なりの誇りを感じさせる、堂々とした味です。

ルウの中のたまねぎはほとんど溶けています。そのぶん牛肉の自己主張は強く、小粒ながらごろごろ5、6個、入っています。スプーンがステンレスの皿にぶつかるたび、カツッカッと音がします。

食堂は閉店まぎわの2時まえ。掃除のおばちゃん床を拭きながら二人でなにやら「24かい」「いや、26」と話しています。気象庁だけに、気温や湿度の話でしょうか。いいえ、どうやら嫁に行く娘の年齢の話のようでした。

「タンメン+半チャーハン」の注文が多いようですが、立ち寄りのときは「カレーライス」もぜひどうぞ。

参考文献
泉麻人『お天気おじさんへの道』
| - | 21:09 | comments(0) | -
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