科学技術のアネクドート

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世界的競争に拍車も――オバマの科学技術政策(4)


米国のバラク・オバマ新大統領が選挙戦で掲げた「米国の未来に対する投資」(Investing in America's Future)の内容を見てきました。

科学技術政策として示された「科学政策の再構築」「研究開発投資の拡充」「理系教育の強化」「民間イノベーションの促進」「科学技術による新たな課題の解決」の五本柱は、米国で以前に民間機関が発表した二つの報告書との類似点があると指摘されています。

一つ目は「パルミザーノ報告」とよばれるもの。2003年10月、米国競争力評議会の組織「国家イノベーションイニシアチブ」が米国の将来のあるべき姿を検討し、報告書を作りました。議長がIBM社のサミュエル・パルミザーノ氏だったため「パルミザーノ報告」とよばれています。

同報告は、イノベーションが米国の21世紀の成功を決めると断言しています。理系人材を海外からも取り入れるといった人材面、基礎研究を重視した投資面、製造業や医療での基盤強化を強調した社会基盤面に区分しました。各要素は、オバマ氏の「米国の未来に対する投資」でも見られるものが多いとされます。

パルザミーノ報告よりも似た要素を多く含むとされるのが、「オーガスティン報告」です。「21世紀のグローバル経済における繁栄に関する委員会」が調査したもので、委員長の元ロッキード・マーチン社会長ノーマン・R・オーガスティンの名からオーガスティン報告とよばれています。

同報告では、理系教育を強化すること、基礎研究を重視すること、理系大学教育を人材面などで強化すること、社会基盤を整備することといった重要性が指摘されています。基礎研究重視や、社会基盤面のブロードバンドの活用などなどは、オバマ氏の方針でも見られます。

科学技術関連の国立機関への予算額を10年で倍増させる方針などを見ると、ブッシュ政権時の科学技術政策の停滞ぶりから、クリントン政権時の積極姿勢に再び米国政権は舵を切ったといえるかもしれません。

科学技術分野での世界競争で特許を抑えたり、優秀な人材を確保したりして優位に立つことは、国の利益を上げるためにも重要なことです。

不況に対する経済政策に直面するなかで、どれほど科学技術政策にも「変革」のために力を注げるか。オバマ新大統領の今後の姿勢によっては、日本を含めた世界では、科学技術の研究面だけでなく政策面での競争にもさらに拍車がかかっていきそうです。了。

参考資料
科学技術振興機構「オバマ次期大統領の科学技術・イノベーション政策」
http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/h21gaisan_press.pdf
文部科学省『平成20年度科学技術白書』
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200801/08060518/010.htm
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