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“ラジオ版”チューリング・テスト


英国の数学者アラン・チューリング(1912-1954)は「チューリング・テスト」とよばれる試験を考えました。

あなたが2台のコンピュータで、Aさん、Bさんという、知らないふたりとチャットをしているとします。

Aさんとのチャットでは「はじめまして、Aさん」「はじめましてAと申します」「いま、どこにいるのですか」「部屋の中です」と、オンラインでの会話が続いていきます。

いっぽうBさんとのチャットでは「こんにちはBさん、よろしく」「Bです、よろしく」「趣味は何ですか」「趣味ですか。そうですね、読書とかかな」と、会話が続いていきます。

あなたはチューリング・テストの被験者です。この試験で試されるのは「AさんとBさんのどちらかが生身の人間で、どちらかが人間をまねた機械です。人間はAさんでしょうか、Bさんでしょうか」といったものです。

Aさんとの会話とBさんとの会話について、どちらかに機械が答えているような点がなかったかを考えて、「Aは機械だ」などと答えるのです。

しかし、チャットの内容からして、Aさんも人間、Bさんも人間としか思えず、どちらが機械であるか区別できなかったとします。チューリングは、そうであれば人間のふりをしていた機械には「知能がある」といってよい、と主張しました。

対話の相手が人間だと思い込むほどの会話であれば、それはもはや“知能をもったものとの会話”といってよいのかもしれません。

さて、あまり知られていませんが、最近このチューリング・テストをラジオ局がやっているのではないかという噂が、一部から上がっています。

NHKラジオ第一では、毎時間決まった時間帯にニュースを流しています。このニュースを読むアナウンサーのうち、機械が原稿を読んでいるのではないかと思わせる人がいるというのがその噂です。

たしかに朝の時間帯、ある男性アナウンサー(ニュースで名前は名乗っていますが機械でないときの名誉のためにここでは書きますまい)のニュース読みを聞いてみると、その口調はやけに短調で“人間ばなれ”した声をしています。

「ショクヨウニ使エナイ米ガ不正ニ転売サレテイタモンダイデ、全国ノショウヒシャ団体ガアツマッテ緊急集会ガ24日、都内デ開カレ、国ニタイシテ検査態勢ノ見直シヲ求メル意見ガ相次ギマシタ」

一部の人から「あのアナウンサーは機械なのではないか」という声が上がっているということは、チューリング・テストとしては、まだ成功の域には達していないわけです。

この噂は本当かはわかりません。でもNHKが将来、知的ロボットによる番組進行などを計画しているのだとしたら、“ラジオニュース版チューリング・テスト”はその布石を敷いているということもいえそうです。
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