科学技術のアネクドート

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カトレアのカレーパン――カレーまみれのアネクドート(8)


海外から輸入されたものを、独自に加工して別の商品にする技術は、工業製品だけの話ではありません。カレーにも当てはまります。

カレーのルーツはインド。そのインドを植民地にした英国にカレー文化は伝わりました。日本のカレーは、その英国から文明開化のときに伝えられたもの。日本はこの英国経由のカレーを独自のカレー文化に発展させます。その典型的な例が「カレーパン」の誕生でしょう。

東京都江東区の森下という下町に「カトレア」というパン屋があります。ここは、日本のカレーの歴史を語るうえでかならずといってよいほど登場するパン屋です。この店の前身「名花堂」こそが、日本初のカレーパンを世に出したからです。

店の中には、「元祖カレーパン」の木看板が掲げられています。店を訪れたとき、カレーパンは下段の棚に自己主張せずにたたずんでいました。油が手につかぬよう、ひとつひとつがビニール袋に入っている親切さ。カレーパンと辛口カレーパンの2種類が売られていました。

「カレーパン」のほうは、外の衣はきつね色にこんがりと揚げられています。内側のパン生地の柔らかい食感が残るなか、カレーが口の中に飛びこんできます。普通のカレーパンよりもルウはとろりと柔らめか。具はニンジンなど、どれもほどほどの大きさです。外の衣のさくさく感と、パン生地ふわふわ感、そしてカレーのぎっしり感。三拍子が揃っています。

「辛口カレーパン」はどうでしょう。基本の味は「カレーパン」と変わりません。「辛口」は、カレーパンの辛さの延長線状にある辛さです。口の中でしばらく辛さが残ります。

ルウの柔らかさといい、辛さといい、ごはんに掛けても十分美味しいのではないでしょうか。日本におけるカレーの原点は「ライスカレー」にあり、ということを少しばかり思い出させてくれます。

創業は1878(明治10)年。カレーパンの発売開始は1927(昭和2)年。発売当時、カレーパンは「洋食パン」という名前で新案特許を取得しました。カレーをパンで包み込んで、しかもそれをこんがりと揚げる…。この発想こそが、外来品を加工して日本独自の品にしてしまうという日本文化を感じさせます。
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