科学技術のアネクドート

録音が生音をかき消す


写真作者:Peachkk

6月19日(金)に始まった2020年のプロ野球では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19:COrona VIrusu Disease 2019)の影響で無観客試合がつづいています。あさって7月10日(金)からは、人数をかぎっての有観客試合が始まります。

観客のいないなかでは、選手たちによる「音」が、ラジオやテレビの実況放送を通してよく耳に届きます。投手の投げた球を捕手がミットで捕るときの音、打者がバットで球を引っぱたいたときの音、そして投手の1球ごとにベンチにいる選手たちが出す声の音などです。

投手の牽制球に、攻撃側チームのベンチにいる選手たちが「ウェーイ」と声をあげるのは、塁上の走者にいちはやく気づかせるための目的もあるのでしょう。少年野球やアマチュア野球をしている人たちの勉強にもなるのではないでしょうか。

しかし球団によっては、球場内の音響装置を使って、ふだん観客がいるなかで聞かれていた吹奏楽器や太鼓などの鳴りものによる応援の「録音」を流すところもあります。これにより、捕球音、打球音、ベンチ選手の声などはかなりかき消されてしまいます。

試合に臨んでいる選手のなかには、録音とはいえ自分への応援が聞こえてくるのは士気あがるものかもしれません。

しかし、無観客試合だからこそ聞かれる選手たちの生の音をかき消してまで、生でない声援の音を球場に響きわたらせるというのは、ファンサービスとしていかがなものでしょうか。吹奏楽、太鼓、声、手拍子などの声援の音もまた、生で聞かれるからこそ臨場感のあるものといえます。

10日(金)からの観客を入れての試合では、当面のところ最大5000人が応援するにとどまるといいます。鳴りものを使った応援は禁止されるとのこと。

すると、録音応援をしてきた球団は、観客が入った球場で、ひきつづき録音応援をするのでしょうか。鳴りものなしだからこその野球の音を味わえる機会になりそうなものですが……。

参考資料
毎日新聞 2020年7月8日付「プロ野球、観客ガイドラインを公開 マスク義務付け、座席番号も記録」
https://mainichi.jp/articles/20200708/k00/00m/050/292000c

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