科学技術のアネクドート

自転車漕ぎ「空腹感」訴える

写真作者:GillesVanDamme

新型コロナウイルス感染症「COVID-19」(COronaVirus Disease 2019)を避けるため、通勤や通学の手段を電車から自転車にきりかえるという人もいるのではないでしょうか。自転車でも20メートルほどの「社会的距離」をとる必要があるともされますが、電車内の密閉空間よりは安心感を抱けるということで自転車にきりかえるのかもしれません。

ある自転車漕ぎの人物は、成人になってひさびさに漕ぎはじめたときの実感をこう話しています。

「とにかく自転車を漕ぐと腹が減る」

この人は、目的地まで20キロメートルほどの距離を1時間強かけて自転車で漕ぎ、往復するといいます。

「片道でかなり小腹がすいた感じになり、往復で家に帰ると腹ぺこで、すぐにスパゲティをゆでて食べます」

さらに「おなじ時間を走っているときよりも自転車を漕いでいるほうが空腹感が強い」とも。人によって実感は異なるでしょうが。

消費熱量をくらべられるサイトでは、自転車を漕ぐのと走るのでの消費熱量のちがいを見ることができます。たとえば、カシオの「ke!+san」 というサイトでは、体重70キログラムの人が60分の運動をした場合、自転車とランニングではつぎのような消費熱量が算出されます。

 ・自転車(時速19.3〜22.4キロメートル)    588キロカロリー
 ・ランニング(時速9.6キロメートル)        720キロカロリー

たいていこの手の消費熱量をくらべられるサイトでは、走るほうが消費熱量はやや多めに出る向きがあります。

激しめの運動をしたあとすぐは一時的に血糖値が高まり、空腹感を得づらいという理論もあります。走るときよりも、自転車を漕ぐときの動きのほうが激しくないため、漕いでいるうちからどんどん空腹感を覚えていくということはあるのかもしれません。

自転車を漕いでいるときの熱量消費やエネルギー補給では、しばしば『ロードバイクの科学』(ふじいのりあき著、スキージャーナル)という本の情報が引きあいに出されます。それらによると、100ワットの出力で釣りあうためには、「30分毎におにぎり1.5個」が必要といいます。上記の空腹感を覚える自転車乗りは、往復2時間かかるので、速度などにもよるでしょうが、おにぎりおよそ6個分を補給しなければならないことになります。

自転車を漕いで通勤や通学をする場合、また歩いたり走ったりでもいえるでしょうが、食べる時間とモノを確保しておくのが大切といえそうです。

参考試料
Cycle Sports 2020年4月17日付「屋外サイクリングのソーシャル・ディスタンシングは何m?」
https://www.cyclesports.jp/news/others/21415/?all#start
ke!+san「自転車の消費カロリー計算」
https://keisan.casio.jp/exec/system/15246445012202
ke!+san「ランニングの消費カロリー計算」
https://keisan.casio.jp/exec/system/1536633800
おめが?日記_(2) 2017年1月31日付「初ブルベ完走した」
https://omega.hatenadiary.jp/entry/2017/01/31/020712
科学技術のアネクドート 2019年8月23日付「運動直後は空腹感が失せがち」
http://sci-tech.jugem.jp/?day=20190823
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