科学技術のアネクドート

運動競技の歴史の先端に「究極の」競技

写真作者:Derek Hatfield

さまざまある運動競技には、それぞれに歴史があります。なかでも、わりと新しく誕生した競技は、さほど人びとに知られていないものの、さまざまな運動競技が発展してきた先にあるという点で、洗練されているともいえるかもしれません。

「アルティメット」というと、格闘技に興味ある人は、米国の「アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ」という総合格闘技団体の大会を思いうかべるかもしれません。

これとはちがう競技としての「アルティメット」があります。

そのアルティメットは、「フライングディスク」とよばれる円盤を使った7人対7人の対戦競技。アメリカンフットボールで敵陣に球をもちこんで得点するように、アルティメットでは敵陣に円盤をもちこむと1点を得られます。

敵陣に円盤を奪われると円盤の支配権が敵陣に移ってしまうため、奪われぬよう円盤を自陣の選手どうしでパスしあいます。これはさながらバスケットボールでのパスまわしのよう。なお、選手どうしが自分以外のからだに触れることは禁じられています。

扱うものが球でなく円盤であるため、選手が遠くまで投げたときの軌道は放物線を描かず、独特な軌道を描きます。投げられて飛んでいる円盤の速度がすこしずつ落ちていくため、走ってきた選手が円盤めがけて飛びこんで追いつき得点といった場面も見られます。

国際大会の試合などでは、先に17点を得ると勝ちとなります。たいてい、どちらかの陣が半分の8点を得ると休憩時間がとられます。

また、この競技で特徴的な点は、審判がいないということ。選手たちがみずからで判定をくだし、試合を進めていきます。

アルティメットは、1968年、いま映画プロデューサーをしている米国のジョエル・シルバー(1952-)が高校生だったときに考えだした競技とされます。

「アルティメット」(Ultimate)は「究極の」という意味の英語。円盤の飛行特性を操る技術、また走力、さらに持久力も必要といったさまざまな能力が求められるため、「究極の」というよび名がふさわしいとしてつけられたといいます。

アメリカンフットボールとバスケットボールの要素をとりれるというのは、アメリカンフットボールやバスケットボールがなければ、考えづらいもの。また、さまざまな球を扱う球技があるからこそ、球でなく円盤を扱うことにしようという考えがでたものでしょう。

その点で、アルティメットはさまざまな運動競技が発展してきた歴史の先端に生じた競技といえましょう。英語の「アルティメット」には「最終的な」という語感もあります。

参考資料
日本フライングディスク協会「アルティメットとは」
https://www.jfda.or.jp/introduction/ultimate/
ウィキペディア「アルティメット」
https://ja.wikipedia.org/wiki/アルティメット
ウィキペディア「ジョエル・シルバー」
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョエル・シルバー
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