科学技術のアネクドート

「雄しべと花粉親」「雌しべと種子親」はそれぞれだいたいおなじ

カボチャの花

小学校5年生の理科には「植物の発芽、成長、結実」という単元があります。ここで登場するのは花の「雄しべ」と「雌しべ」。雄しべには花粉が詰まっている「やく」とよばれる袋があり、いっぽう雌しべには柱頭などの部分があると習います。

そして、受粉、つまり雌しべの柱頭に雄しべの花粉がつくことによって、雌しべにある子房のなかの胚珠がふくらみ、実になります。

小学校5年の理科では、植物が自然な状態で受粉することを前提としているにちがいありません。いっぽう、人が営む農業の世界では、人によって植物を受粉させるということがよくおこなわれます。

人工的な受粉の目的としては、くだものなどの作物の実を効率よくつかせるため、ということがあります。農家が手で花粉を柱頭につける方法から、マルハナバチやミツバチなどの昆虫に委託する方法まであります。

もうひとつ、人工的な受粉の目的としてもうひとつあるのが、交雑による育種のためです。交雑とは、遺伝子のなりたちの異なるふたつの個体間で交配をすること。交雑により、両親のもつ優れたかたちや性質などの特徴を備えた品種をつくっていきます。

交雑についての話では、「花粉親」と「種子親」という対のことばが現れることがあります。なにやらむずかしそうですが、これも小学校5年生の理科で習うことをもとにすれば、理解が進みます。

花粉親とは、交雑に使われる両親のうち、花粉のもち主のほうの親のこと。雄しべに花粉は備わっているので、ごくおおまかにいえば「花粉親は雄しべのほう」といえます。

いっぽう種子親とは、交雑に使われる両親のうち、種子を実らせるほうの親のこと。雌しべには子房があって、そこで胚珠がふくらみ実がなるのですから、ごくおおまかにいえば「種子親は雌しべのほう」といえます。

参考資料
文部科学省 学習指導要領「生きる力」「小学校理科の観察、実験の手引き 第5学年B(1)植物の発芽、成長、結実」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/1304651.htm
ウィキブックス「小学校理科 5年学年」
https://ja.wikibooks.org/wiki/小学校理科_5学年
長野県「ぶどう『ナガノパープル』に係るDNA鑑定結果について」
https://www.pref.nagano.lg.jp/kajushiken/jisseki/joho/documents/naganopa-purudnakantei.pdf
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