人は、植物にふくまれている成分を、いろいろなかたちで都合よく使っています。その成分が人のからだになんらかの刺激や影響をあたえることがわかっているからです。
多くの植物は「アルカロイド」とよばれる成分をもっています。アルカロイドは、窒素原子をふくむ有機化合物であり、ほとんどのものは塩基性つまりアルカリ性です。「アルカリににた化合物」ということから「アルカロイド(alkaloid)」とよばれています。
アルカロイドの代表例のひとつがモルヒネです。モルヒネの化学式は、C17H19NO3。窒素原子(N)がふくまれています。モルヒネは、ケシの未熟な果実に傷をつけたとき出てくるアヘンの成分。人が使うと痛みや興奮を鎮めるなどの効き目を感じます。しかし習慣性が強く中毒をもたらすため、法律で使用が制限されてもいます。
ケシの果実に傷をつけたところ
写真作者:不詳、パブリック・ドメイン画像
また、タバコの葉にふくまれるニコチンもアルカロイドのひとつです。化学式は、C10H14N2。人がたばこを吸ったときに起きる、神経の興奮や、血管の収縮による血圧の上昇といった現象はおもにニコチンの作用によるもの。ニコチンにも中毒をひきおこすような毒性はあるものの、モルヒネなどにくらべて作用が小さいため、タバコなどからからだに摂りいれることはできます。しかし、有毒性があることにちがいはなく、たばこには「人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます」といった警告が記されています。
これらのほか、麻薬のコカイン(C17H21NO4)、コーヒーなどにふくまれるカフェイン(C8H10N4O2)、解熱薬や胃健薬にも使われるキニーネ(C20H24N2O2)などもみな窒素原子をふくんでおり、アルカロイドです。
アルカロイドの多くは、人をはじめ動物に、すくない量で強い作用をあたえます。しかし、植物のからだのなかでアルカロイドがどのような役割を担っているかはまだわかっていない部分が多いもよう。植物を保護しているのではないか、あるいは代謝の末に貯まった老廃物なのではないか、といったことが考えられているようです。
参考資料
ブリタニカ国際大百科事典「アルカロイド」
https://kotobank.jp/word/アルカロイド-28181
百科事典マイペディア「アルカロイド」
https://kotobank.jp/word/アルカロイド-28181
日本大百科全書「アルカロイド」
https://kotobank.jp/word/アルカロイド-28181
薬学用語解説「アルカロイド」
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?アルカロイド
ウィキペディア「たばこ警告表示」
https://ja.wikipedia.org/wiki/たばこ警告表示
2019.03.01 Friday
植物から人への作用、多くはアルカロイドがらみ
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