科学技術のアネクドート

植物たちに「生きやすい」環境を


植物の身になって「生きやすさ」を考えると、どのような環境がふさわしいものでしょうか。

光合成に使う二酸化炭素や水や炭水化物や光がそれなりにあることや、自分にとって成長しやすい温度が保たれていることなどはその条件かもしれません。

もうひとつ、「根を土のなかで自由に張れること」も、植物の「生きやすさ」のための条件になりそうです。

根は、土壌にある水や栄養分などを吸収するための器官です。また、植物のからだを支えるはたらきや、物質を貯めておくはたらきもあります。

根を張れれば張れるほど、その植物は土壌から水や栄養分を吸収できるようなりますから、その植物はすくすく成長できます。まさに生きやすくなるわけです。なお、根のうち、おもに新しくつくられた部分が水や栄養分の吸収するところになります。

人が野菜などの作物を育てるときは、根を土のなかで自由に張れる土壌を用意してあげることが大切になります。作物の根が妨げられずに伸びることのできる物理状態にある土層は「有効土層」とよばれます。

一般的に、水田や畑などでは有効土層が50センチメートル以上、また果樹園では1メートル以上あれば、植物たちはすくすくと育つとされています。逆に、有効土層があまりないと、根を伸ばせなくなり、栄養分を吸収したり運んだりしにくくなります。

有効土層を十分に保つためには、その場所の土を深くまで耕したり、ほかの場所から土を運んできたりします。作物などの植物の生きやすさは、それを穫って食べる人にとっての生きやすさにつながります。人が植物のために有効土層を用意することは、植物にとっても人にとっても大切といえます。

参考資料
日本植物生理学会「みんなのひろば 根の働きについて」
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1485
農林水産省「都道府県施肥基準等」
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ntuti4.pdf
農業技術事典「有効土層」
http://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=15318
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