科学技術のアネクドート

日本の土、ごくおおまかには「赤」と「黒」

日本の土の表情はさまざまです。人にとっては、地殻のもっとも表面にある「土壌」が、土のさまざまな表情を知る接点の土となります。地図上に、土壌の種類や性質を色や記号で表した「土壌図」では、モザイク柄のようにいろいろな色が分布しているのがわかります。


農研機構、日本土壌インベントリー

日本の特徴的な土壌は、ごく大きく2種類に分けることができます。

ひとつは「赤土」とよばれる土。火山灰が風化した粒々をもとにした土で、薄い暗赤色から赤褐色の色をしています。ただし、「赤」とはつくものの、実際のところは、黄色、黄土色、薄茶色ぐらいの色味を帯びているように見えます。

紛らわしいのは「赤土」とよんで「赤色土」をさす場合もあるということ。赤色土は、明らかに赤みを帯びた土で、鹿児島県の島しょ部や、沖縄県の石垣島などに分布します。

その昔、箱根山、富士山、赤城山、男体山、榛名山、浅間山などの火山が噴火してそれらの灰が降りつもってできた「関東ローム層」も、赤土の代表例として紹介されることがあります。

しかし、関東ローム層の赤土の多くは、表面より下の層にあるもの。では、表面にはなにがあるかというと、黒土があります。

「黒土」は、赤土よりも黒っぽく、火山灰土壌の表層で見られます。腐敗した植物質をふくんでいるため耕作に適しています。「黒ボク土」ともいわれます。

黒土は、火山灰土壌の表層にあることから、火山灰をもとにした土であると考えられてきました。関東ローム層の表面にも黒土(黒ボク土)の薄い層があります。

しかし、研究者のなかには、黒ボク土は縄文時代の人びとが、農業などのために「野焼き」や「山焼き」をしたときに生じた微粒な炭が多くふくまれていて、腐食により黒い色になったと考える人もいます。

こうした研究の経緯もあり、土壌の分けかたは、一般の人にわかりにくい部分もあります。

参考資料
百科事典マイペディア「赤土」
https://kotobank.jp/word/赤土-422717
ブリタニカ国際大百科事典「関東ローム層」
https://kotobank.jp/word/関東ローム層-49366
世界大百科事典第2版「黒土」
https://kotobank.jp/word/黒土-487256
農研機構「日本土壌インベントリー」
https://soil-inventory.dc.affrc.go.jp
山野井徹『日本の土』
https://www.amazon.co.jp/dp/4806714925

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