科学技術のアネクドート

「アカウンタビリティ」に“いいかえ変換”


グーグルのさまざまな機能には、ちょっとした裏技のようなものが潜んでいるようです。「斜め」と検索すると結果が斜めに表されるなどなど。

「グーグル日本語入力」という、かなで入れた字句を漢字に変換する機能では、つぎのような“外来語いいかえ変換”があります。

「アカウンタビリティ」と変換すると「説明責任」と出てくる――。

この「アカウンタビリティ」は、“accountability”をカタカナで表したもので、英語辞典に載っている意味は「説明責任」や「報告義務」となっています。

アカウンタビリティのほかにも、外来語を変換すると漢字の語意にいいかえすることがあるのでしょうか。ためしに国立国語研究所が2006年に発表した「『外来語』言い換え提案」に載っている176語を変換してみたところ、“いいかえ変換”されたのは「アカウンタビリティ」だけでした。

「シフト」が「師父と」に変換されたり、「トラウマ」が「虎馬」に変換されたりはありましたが……。

すると、どうして「アカウンタビリティ」だけが「説明責任」と“いいかえ変換”されるのか。グーグル側に説明責任はないとしても、興味わく人はいるでしょう。

可能性として考えられこととして、グーグルが“外来語いいかえ変換”を標準機能として搭載することを検討しているという線はあるかもしれません。グーグル日本語入力の紹介には「辞書は定期的に自動更新され……」とあります。とりあえず「アカウンタビリティ」という語だけを標本対象に選んで、変換語に出てきた「説明責任」を利用者が使うかを試しているということは考えられそう。

ただし、遅くとも2013年にはすでに「アカウンタビリティ」は「説明責任」に変換できたようなので、試行期間としては長すぎるかもしれません。

しかし、選ぶ語は「イニシアチブ」でも「コンセンサス」でもよかったとも考えられます。なぜ、さまざまな外来語のなかで「アカウンタビリティ」を選んだのかは説明がつきません。

なお「せつめいせきにん」と入れて、変換したら「アカウンタビリティ」が出てくるかというと、そうはなりません。ここには「カタカナの外来語を漢語や和語にいいかえる」方向への意図があるようです。

ちなみに、漢語や和語を外来語に変える人といえば、ルー大柴さんがいます。ルー大柴公認の「ルー語変換」というサイトでは、適当な文章を入れて「変換!」すると、適当に外来語がまざります。「阿吽の呼吸」は「阿吽のブレス」に……。

参考資料
国立国語研究所「外来語」委員会 2006年3月発表「『外来語』言い換え提案」
http://www2.ninjal.ac.jp/gairaigo/Teian1_4/iikae_teian1_4.pdf
ログ速 2013年12月5日「Google日本語入力を使ってる奴『アカウンタビリティ』で変換してみて」
https://www.logsoku.com/r/2ch.net/news4vip/1386207723/
Google日本語入力「思いどおりの日本語入力」
https://www.google.co.jp/ime/
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