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稲荷で稲荷に稲荷


街なかの小さな神社にも、きつねの像がましましているところがあります。稲荷神社です。そして、人の信仰心からでしょう、きつねの像のそばには油揚げが供えられています。

稲荷神社といえばきつね。きつねといえば油揚げ。油揚げといえばお稲荷さま。これらは切っても切れない間がらです。

各地の稲荷神社に奉られている神は、倉稲魂神(うかのみたまのかみ)という食べものの女神。米、麦、粟、黍、豆の五穀をつかさどっているとされます。「稲荷(いなり)」も「飯成(いいなり)」あるいは「稲成(いななり)」からきているといいます。

この倉稲魂神の仕えているのが、きつねです。倉稲魂神の異名は、御食津神(みけつかみ)。いっぽう、「三狐神」と書いて「みけつかみ」。この結びつきから、御食津神、すなわち倉稲魂神にはきつねが仕えるということになったとか。

五穀のひとつに豆があるので、豆腐を薄く切って揚げた油揚げがきつねに供えられてもおかしくはありません。しかし、「きつねに油揚げ」の組みあわせにはべつの由来があるようです。

きつねは人にとっての害獣であるねずみをやっつけてくれるありがたい動物でした。そこで、人はきつねたちに「ねずみの油揚げ」をあげていたといいます。

しかし、生きものを殺すことは仏教における十悪のひとつ。そこで、ねずみを油で揚げるのでなく、豆腐を油で揚げて、それをきつねにあげるようになったとされます。

油揚げで包んだ鮨を「お稲荷さん」といいますが、これは、稲荷神社の女神の仕えであるきつねの好物である油揚げを使った鮨ということで当てられたことば。いま、稲荷は、神社でもあり、きつねでもあり、油揚げでもあり、鮨でもあります。お稲荷さまでお稲荷さんたちにお稲荷さんの具にもなる稲荷をあげているわけです。

参考資料
デジタル大辞泉「稲荷」
https://kotobank.jp/word/稲荷-435204
デジタル大辞泉「御食津神」
https://kotobank.jp/word/御食津神-637484
MACHI × CAMP「きつねの好物が油揚げなのはなぜ? キツネは本当に油揚げを食べるの?」
https://colorssss.com/archives/1443/
神社ch「なぜ狐?稲荷神社のご利益・鳥居のナゾに迫ります!」
https://zinja-omairi.com/kitsune/
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