科学技術のアネクドート

サイズが揃っていても自分に合う服があるとはかぎらない


写真作者:Jonathan Mueller

世のなかには、とくに問題にとりあげられなくても、多くの人が「むずかしい」と感じているようなことはあるものです。たとえば、路線バスやローカル線の運賃の支払いかたなどはその典型でしょうか。

服の試着から購入までの一連の作業も、かなりの人が「むずかしい」と感じているのではないでしょうか。なにがむずかしいかといえば、「自分のからだの寸法に合った服を買うのがむずかしい」ということです。

人がスーツやジャケット、またビジネスパンツなどを買おうとするときは、たいてい試着します。自分の体型に合った服を買って着るため、あるいは自分の体型に合わない服を着ることになって嫌な思いをするのを避けるためです。

試着したときから、「これは自分にぴったりだ」と感じられれば幸運です。しかし、そうは問屋がおろしません。Mサイズを試着して「ちょっと袖が短いな」などと感じたら、ひとサイズ大きなLサイズを試着して「これだとちょっとぶかぶかだ」などと感じ、どちらにするか迷う、といった人も多いことでしょう。

たいていの売られている服は、「その人」の体型でなく、「人びと」の体型を考えてつくられるもの。かならずしも「その人」のからだにぴったりくる服ばかりではありません。たとえば、試着したLサイズのスーツの胸まわりはまあ合っていそうだけれど、腕と手にくらべて袖が長いため、手を下ろすと袖が手の甲まで達してしまうといったこともあるわけです。

自分の体型がその服にほんとうに合っているのか。それを、試着というほぼ”一瞬”の機会に見さだめて、買うかどうか、あるいはどのサイズを買うかを選ぶわけですからむずかしい。ほんとうは、丸一日ぐらい着てみて、ようやく自分の体型に合っているかがわかってくるものであるはずなのに。

しかも、試着するとき、かならずしも店員が味方になってくれるとはかぎりません。たとえば、客がLサイズの服かMサイズの服かで迷っているとき、その店にLサイズしか在庫がなければ、多くの店員は「このような服は、若干余裕をもたせて着るのが普通ですよ」などと言ってくることがあります。なかには「Lサイズだとちょっと大きいですね。あいにくMサイズがないので、ほかの店舗に在庫があるかお調べしましょうか」などと言ってくる親切な店員もいるでしょうが。

かならずしも、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ、XLサイズのようにサイズの種類が揃っていても、そのなかに自分の体型に合う服があるとはかぎらないわけです。どちらのサイズにするか迷っているときは、「うーん……、Lサイズで!」などと即決はしないで、「サイズが微妙なので、ちょっと考えます」と、買わずに立ちどまっておくほうが無難かもしれません。

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