科学技術のアネクドート

乾燥機で品質よい干ししいたけをつくる


しいたけは「干す」ことによって日もちさせることができます。そのため昔から保存食としても重宝がられてきました。それに、干して乾かせば水分も減るため、持ちはこびも便利になります。

機械が発達していなかったころ、しいたけを干して乾かすには、太陽の光と熱を使った「天日干し」がおもな方法でした。いまも家庭でしいたけを干す場合は、天日干しをしている家は多いのではないでしょうか。

いっぽう、機械が発達すると「しいたけ乾燥機」といった、しいたけを乾かすことを用途とした装置が開発され、しいたけ栽培農家などに使われるようになりました。

しいたけ乾燥機のおおまかなしくみは、熱源をつくり、熱を風に乗せて、其の熱風を置いた数々のしいたけに通して、しいたけを乾かす、といったもの。

しいたけ乾燥機をつくり売っている機械製造業各社の情報によると、熱源には灯油、ガス、電気などのエネルギー源が使われます。

熱によりしいたけを乾かすため、エネルギー費用はそれなりにかかりそうです。しかし、製造企業によっては、乾かすのに使う熱風を機械のなかで循環させて再利用するしくみも開発されているようです。

機械の技術があるいっぽうで、それを使う人の技術もあります。しいたけ乾燥機をつくる企業のひとつ、黒田工業は「椎茸乾燥のポイント 儲かる乾椎茸づくりのために」という“虎の巻”を堂々と公開しています。

たとえば、採ったしいたけを載せて段々状に置く「エビラ」とよばれる棚の上下位置としいたけの大きさの関係性が記されています。地面近く1段目から3段目の下段には「葉」の大きなしいたけを、4段目から10段目の中段には中くらいのしいたけを、そして11段目から15段目の上段には小さめのしいたけを載せるとよいといいます。

熱風が下のほうから上へと昇っていくため、下段のほうが温度が高めになります。よって乾かすのに必要な時間がかかる大きな葉のしいたけを下段に置くのが適することになるわけです。

天日干しのほうがしいたけ乾燥機を使うより安く済むのはたしかなこと。しかし、しいたけ乾燥機を使えば短い時間で干しいたけをつくることができます。これは、色やつやの変化を防ぐことにもつながるといいます。しいたけを干すときは速さが勝負。品質を保つためにしいたけ乾燥機は大切な機械といえそうです。

参考資料
大紀産業「食品乾燥機シリーズ」
http://www.taikisangyo.co.jp/assets/files/pdf/syokuhin_kansouki.pdf
木原製作所「椎茸乾燥機Fシリーズ」
http://www.kiharaworks.com/product/shiitake.html
黒田工業「熱風乾燥機のしくみ」
http://www.kuroda-dryer.co.jp/sikumi.htm#tanashiki
黒田工業「椎茸乾燥のポイント」
http://www.kuroda-dryer.co.jp/shiitake-kannsonopoint.pdf
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