科学技術のアネクドート

1食ごとのちょっと分を食糧難の国に


世界の国ぐにが抱える「食糧難」に課題に対し、さまざまな方法により解決がめざされています。生物学や農学の分野では、環境ストレスに耐性をもたせたイネなどの作物の開発がおこなわれていますし、植物工場を使って作物の栽培を安定化させるための研究もおこなわれています。

社会的なしくみによる食糧難対策として、「食糧難の国での給食費用を、食糧難でない国での食べものの値段に上乗せする」という方法があります。日本の特定非営利活動法人であるテーブルフォーツー・インターナショナルがとりくんでいます。

たとえば、ある日本人が国内でテーブルフォーツーの対象となっている定食を食べるとします。すると、その定食に払ったお金のうち20円が寄付金の扱いとなり、食糧難の開発途上国の学校給食代に充てられるというもの。「20円」は「開発途上国の給食1食分の金額」(同NPOホームページより)。日本人が食べる1000円の定食1食に対して、途上国の子どもが食べる20円の給食1食がつくられるわけです。

さらに、この発想を発展させて、 テーブルフォーツーは「カロリーオフセット」という手法も開発し、2014年からこのとりくみも始めたそうです。

「カロリーオフセット」も、開発途上国での学校給食や畑の設備費が寄付されるしくみです。このとりくみの惹句は「あなたがオフしたカロリーが、誰かのカロリーになる」というもの。たとえば、従来800キロカロリーの熱量がある食べものを、分量を減らすなどして700キロカロリーに抑えたとします。これを日本人が食べると、本来はその人が摂るはずだった100キロカロリー分が摂られずに“浮く”ことに。その100キロカロリー分を、開発途上国の学校給食などに使ってもらうというわけです。

あくまでこれは理念的な考えかた。実際は熱量を抑えた食べもののほか、体を動かすことで熱量を消費できる商品や催しものなどを提供する参加企業が売りあげの一部を、テーブルフォーツーを通じて開発途上国に向けて寄付するということのようではあります。

自分で選んで食べようとしている食べものが、地球のどこかでだれかが食べようとしている食べものとつながっていると考えると、食事のたびにすこしだけ心も豊かになりそう。

参考資料
テーブルフォーツー・インターナショナル「TABLE FOR TWOプログラムの仕組み」
http://jp.tablefor2.org/aboutus/profile.html
テーブルフォーツー・インターナショナル 2014年5月22日発表「TABLE FOR TWO が『カロリーオフセット』を開始」
http://jp.tablefor2.org/limited/calorieoffset.pdf
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