2018.03.07 Wednesday
からだの病気は「何々炎」だらけ
写真作者:Esther Max
からだの一部に充血、はれ、発熱、痛みなどの症状が起きることを「炎症」といいます。
もちろん、からだから炎が上がっているわけではありませんが、炎症とはいい得て妙ではないでしょうか。ギリシャ医学で、からだにできた赤みが燃えているように見えたことから、「炎」の語が用いられたといいます。英語では、“inflammation”といいます。
炎症が起きるのは、炎症が起きる原因があるからです。一般的に炎症は、有害な刺激に対するからだの防御反応のあらわれであるとされます。より詳しくは、からだにとっての異物や死んでしまった自分の細胞をとり除き、生体の恒常性を保とうとする反応という説明がなされます。
そして、炎症の起きかたには、からだにあらかじめ用意されている成分がすぐにはたらくことによるものと、からだが時間をかけて異物の中身を分析してから攻撃することによるものの、ふたつがあることがわかっています。二段がまえで異物に対処しようとしているわけです。
そもそも「何々炎」と名のつく病気の名前はたくさんあります。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、肝炎、関節炎、気管支炎、結膜炎、口内炎、歯肉炎、虫垂炎、日本脳炎、肺炎、膀胱炎などなどなど。炎症という反応が、からだのあちこちで、さまざまなかたちとなってあらわれることを意味しているといえましょう。
近ごろでは、からだのなかの神経系が炎症を制御したり、ぎゃくに神経系が炎症によって制御されたりといったように、神経系と炎症のあいだに双方向の影響があるといったこともわかってきたようです。
炎症のしくみやその影響などが詳しく解明されていけば、病気の多くのしくみを解明することにもつながりそうです。
参考資料
ブリタニカ国際大百科事典「炎症」
https://kotobank.jp/word/炎症-38168
日本大百科全書「炎症」
https://kotobank.jp/word/炎症-38168
科学技術振興機構 CREST/さきがけ「慢性炎症」研究領域「炎症の起こる理由(メカニズム)」
http://www.jst.go.jp/crest/inflam/inflam/mechanism.html
『LFニュース』第78号「神経と免疫・炎症のクロストーク」
http://www.senri-life.or.jp/lfnews/lf_pdf_78.pdf