2018.03.01 Thursday
「何々体」はおなじでも文字組みは崩れ……
マッキントッシュとウィンドウズのコンピュータのあいだでは、搭載されている書体の多くが異なるため、マイクロソフト・ワードなどのソフトウェアを使っていると、文字の組みかたが双方のコンピュータのあいだでちがってしまうことが起きます。
たとえば「教科書体」とよばれる書体があります。学校の国語の教科書などに使われる書体か、それを模した書体をさします。「教科書体」は、マッキントッシュにもウィンドウズにも搭載されています。しかしながら、このふたつのコンピュータのあいだでデータをやりとりすると、多くの場合、文字組みが崩れてしまいます。双方に搭載されている「教科書体」は、ちがう教科書体だからです。
マッキントッシュの書体には「DFP教科書体」とよばれる書体が入っています。DFPとは“Dyna Font Propotional”の頭文字をとったもの。これは、コンピュータ用の書体ソフトウェアを販売しているダイナコムウェアという企業が開発した書体です。この企業の手がける書体は「ダイナフォント」とよばれ、その「プロポーショナル」つまり、字と字の空きを画一的に定めず、見た目を優先させて空きを調整する方式が使われているということになります。
マッキントッシュ版のワードを開くと、DFP教科書体がたしかにあります。
いっぽう、ウィンドウズでワードを開き、教科書体を探すと、たいていの場合「HG教科書体」という書体を見つけることになります。HGとは“High Grade”の頭文字をとったものとされています。これは、リコーが開発した一連の書体についているもの。同社のフォントは「リコーフォント」などとよばれ、マイクロソフトのワードなどのソフトウェアを含む「オフィス」にあらかじめ搭載されています。
DFP教科書体はプロポーショナル書体です。いっぽう、HG教科書体はプロポーショナル書体ではありません。まずもって、プロポーショナルであるかないかのちがいがあります。なにも考えず、マッキントッシュのワードで教科書体を選んでファイルを保存し、それをウィンドウズのワードで開いたとしたら、文字組みは大きく崩れてしまっているおそれがあります。
結局のところ、そのファイルがだれかに見てもらうためのものであるとすれば、ファイルをつくる人は見てもらう人の使っているコンピュータに搭載されている書体を使うことを前提にファイルをつくらなければなりません。
なお、DFP教科書体などを販売しているダイナコムウェアは、DFP教科書体のウィンドウズ・コンピュータ向けの書体をとりそろえてはいます。また、HG教科書体などを販売しているリコーも、マッキントッシュでも使えるHG教科書体などの書体をとりそろえてはいます。ウィンドウズにDFP教科書体を入れるにしても、マッキントッシュにHG教科書体を入れるにしても、どちらもお金がかかります。
ちなみに、教科書体をめぐっては、書体販売大手のモリサワが2017年に「UD教科書体」という書体を開発し、発表しており、話題になっています。こちらの書体のことについてはおいおいお伝えさせてください。
参考資料
font navi「MS◯◯とかHG◯◯とか、どういう意味?」
http://fontnavi.jp/zakkuri/201-ms_hg_rg_gothic.aspx
ダイナコムウェア「DFP教科書体W3 TrueType for Win」
https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=28
designpocket「リコー HG教科書体(HGP〜/HGS〜 同梱)」
http://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=19978
さくらや.jp「Windowsに標準インストールされている日本語フォント」
http://さくらや.jp/知識のページ/Web/windows標準インストール日本語フォント.html
たとえば「教科書体」とよばれる書体があります。学校の国語の教科書などに使われる書体か、それを模した書体をさします。「教科書体」は、マッキントッシュにもウィンドウズにも搭載されています。しかしながら、このふたつのコンピュータのあいだでデータをやりとりすると、多くの場合、文字組みが崩れてしまいます。双方に搭載されている「教科書体」は、ちがう教科書体だからです。
マッキントッシュの書体には「DFP教科書体」とよばれる書体が入っています。DFPとは“Dyna Font Propotional”の頭文字をとったもの。これは、コンピュータ用の書体ソフトウェアを販売しているダイナコムウェアという企業が開発した書体です。この企業の手がける書体は「ダイナフォント」とよばれ、その「プロポーショナル」つまり、字と字の空きを画一的に定めず、見た目を優先させて空きを調整する方式が使われているということになります。
マッキントッシュ版のワードを開くと、DFP教科書体がたしかにあります。
いっぽう、ウィンドウズでワードを開き、教科書体を探すと、たいていの場合「HG教科書体」という書体を見つけることになります。HGとは“High Grade”の頭文字をとったものとされています。これは、リコーが開発した一連の書体についているもの。同社のフォントは「リコーフォント」などとよばれ、マイクロソフトのワードなどのソフトウェアを含む「オフィス」にあらかじめ搭載されています。
DFP教科書体はプロポーショナル書体です。いっぽう、HG教科書体はプロポーショナル書体ではありません。まずもって、プロポーショナルであるかないかのちがいがあります。なにも考えず、マッキントッシュのワードで教科書体を選んでファイルを保存し、それをウィンドウズのワードで開いたとしたら、文字組みは大きく崩れてしまっているおそれがあります。
結局のところ、そのファイルがだれかに見てもらうためのものであるとすれば、ファイルをつくる人は見てもらう人の使っているコンピュータに搭載されている書体を使うことを前提にファイルをつくらなければなりません。
なお、DFP教科書体などを販売しているダイナコムウェアは、DFP教科書体のウィンドウズ・コンピュータ向けの書体をとりそろえてはいます。また、HG教科書体などを販売しているリコーも、マッキントッシュでも使えるHG教科書体などの書体をとりそろえてはいます。ウィンドウズにDFP教科書体を入れるにしても、マッキントッシュにHG教科書体を入れるにしても、どちらもお金がかかります。
ちなみに、教科書体をめぐっては、書体販売大手のモリサワが2017年に「UD教科書体」という書体を開発し、発表しており、話題になっています。こちらの書体のことについてはおいおいお伝えさせてください。
参考資料
font navi「MS◯◯とかHG◯◯とか、どういう意味?」
http://fontnavi.jp/zakkuri/201-ms_hg_rg_gothic.aspx
ダイナコムウェア「DFP教科書体W3 TrueType for Win」
https://www.dynacw.co.jp/product/product_download_detail.aspx?sid=28
designpocket「リコー HG教科書体(HGP〜/HGS〜 同梱)」
http://designpocket.jp/dl_font_category/detail.aspx?bid=19978
さくらや.jp「Windowsに標準インストールされている日本語フォント」
http://さくらや.jp/知識のページ/Web/windows標準インストール日本語フォント.html