石川県のテレビ局MRO北陸放送と石川テレビ放送がともに放送するテレビ番組が、(2018年)1月10日(火)夜から県内の広域で見られなくなりました。
MRO北陸放送では、京村英二社長が「この度は、送信機器の不具合により長時間にわたり県内の広い範囲で放送が中断する事態となり、誠に申し訳ありません」と声明を出しました。
また、石川テレビ放送の根布寛社長も「この度は、放送が長時間にわたり中断する事態となり、視聴者の皆様に大変なご迷惑をおかけしております。出来るだけ早い完全復旧を目指し、全力をあげております。誠に申し訳ございません」と声明を出しました。
社員や作業者たちの懸命の復旧作業があったのでしょう、11日(水)午後までに、大半の視聴者が2局のテレビ番組を見られるようになったようです。
放送中断の原因は、電波送信用の鉄塔に落雷が直撃したのではないかという見方が強まっています。
一般的に雷といえば夏に生じるもの。けれども、石川県をはじめとする日本海側の地方では、「冬の雷」も多発します。日本海側では冬、日本海を北上する温かい対馬暖流と、大陸から吹きよせる冷たい季節風によって、海面と上空に温度差が生まれ、対流が起きます。すると、雷をもたらす雷雲が生じやすくなる。このため、日本海側では冬にも雷が生じやすいと説明されます。
今回の鉄塔が受けた衝撃がそうかはわかりませんが、冬の雷は夏の雷とちがって、エネルギーの大きなものになりやすいようでもあります。
夏に多い通常の雷は、雷雲の底部が負の電荷を帯び、地上にある正極めがけて落ちるもの。しかし、冬の雷はこの正負が逆になり、雷雲の頂の正の電荷を帯びた部分と地上の負極の間で放電が起きることがあるのです。この手の雷は、エネルギーが大きな“一発雷”となることがあります。
金沢市周辺の上空は、雷雲が集まってきやすく、落雷数は12月を頂点としているといいます。
これらのことを総合すると、電波を送信する鉄塔に、相当なエネルギーをもった雷が直撃すれば、電波の送信ができなくなるというのも不思議な話ではありません。
今回の自然災害を受けて、MRO北陸放送と石川テレビ放送はもとより、放送業界全体が、落雷対策を検討することになるでしょう。それは、放送の技術をよりよくすることにもつながります。
参考資料
MRO北陸放送「絶好調ブログ」
http://www.mro.co.jp/programs/z-kocho/2018/01/10/224005/
石川テレビ放送「視聴者の皆様へ」
http://www.ishikawa-tv.com
科学散歩 いにしえの心「天雲に近く光りて鳴る神し見れば恐し見ねば悲しも」
http://sciencewindow.jst.go.jp/html/sw37/sr-stroll
2018.01.11 Thursday
冬の雷、夏よりエネルギーが高くなることも
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