科学技術のアネクドート

教授たちの講義動画で大学の授業を疑似体験


高校生や中学生は、大学の授業を経験していません。いくら「大学の授業は高校にはないレベル」といったことを説いたとしても、高校生たちには実感がわかないかもしれません。

しかし、インターネットによる情報提供が発達した時代です。講義とおなじような内容を、大学生以外の人たちも見ることができるようになっています。

ユーチューブで「大学講義」と入れると、たとえば慶應義塾大学の「物理情報数学A」という授業の動画や、おなじく「半導体工学」という授業の動画などが見つかります。これらの動画発信者名は「慶應義塾」となっているので、大学が用意したものでしょう。

ユーチューブに授業の動画をあげるほかに、各大学や学部がウェブのサイトを開設しているものもあります。

巷での評判が高いのは「東大テレビ」。授業そのままを動画にしたものでなく、公開講座や講演会を動画にしたものですが、各動画での登壇者は東京大学の研究者たち。「くるくるまわるタンパク質分子を見てみよう&超解像顕微鏡」や「錯覚とVR技術」「ロボットの歴史」といった題名が並んでいます。大学の研究者が自分の研究について、どのように説明をするのかを実感することはできます。

早稲田大学は「早稲田コースチャンネル」という公開授業動画サイトを開設。「学部で絞り込み」ができるので、たとえば早稲田大学の理工系3学部「基幹理工学部」「創造理工学部」「先進理工学部」を選べば、理工系の教授たちによる講義を見ることができます。「ディジタルシステム設計」「交通システム工学」「環境工学」といった、大学の授業にふさわしい内容の講義名が並んでいます。

東京工業大学の「オープン・コース・ウェア」は、講義の動画に加えて「講義ノート」も公開しています。「アクセスランキングTOP10」や「最新/アップデート公開講義TOP10」などのランキングが充実。ただし、講義のシラバスだけを掲げて講義ノートを公開していない授業があったり、講義名がない動画が多かったりする点にやや難はあります。

米国では、こうした大学の講義を大学生以外の人が視聴できるサービスを、“Massive Open Online Course”の頭文字をとって“MOOC”とよんでいます。たとえば、スタンフォード大学のコンピュータ科学の教授たちが設立した「コーセラ」では、スタンフォード大学のほか、ミシガン大学、プリンストン大学、ジョン・ホプキンス大学など、理工系に強い大学の多数の講義を動画で無料で視聴することができます。

米国の充実ぶりにくらべたら、日本のサービスはまだ未熟といえなくもありません。しかし、大学生ではない人が、大学の教授たちによる授業を体験するには有効な方法といえそうです。

参考資料
しゃこメモ「自宅にいながら、大学の講義を視聴。日本語で観れる12の講座動画サイト」
http://www.shaco-o.com/lecture-movie
ウィキペディア「MOOC」
https://kotobank.jp/word/MOOC-191345
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