2018.01.07 Sunday
習慣は力
イラスト作者:Xavier Vergés
現在というものを“未来への準備期間”と捉える考えかたがあります。「下積み時代」や「大器晩成」といったことばがあるのは、未来に対する期待のあらわれといえるかもしれません。
では、未来のために現在なにをしておくべきか。「すべての経験が未来のためになる」と考えたら、しておくべきことはいろいろあるでしょう。本を読んで知識を得たり、旅に出て経験を積んだり、いろいろなことが考えられます。
「よい習慣をつけておく」というのも未来のためにしておくべきことのひとつとなりそうです。ここでいう「習慣」とは、長い間くりかえしおこなっていて、そうすることが決まりのようになっていることがらのこと。
人の行動には、「これをやろう」という意思によるものもあれば、「これをやるのは当然」という習慣によるものもあります。意思による行動を起こすには、精神的なエネルギーが必要だけれど、習慣による行動が起きるうえでは、精神的エネルギーはさほど必要ない。なので、自分の未来のためになる習慣づけを積極的にしておくべきだ、という理論がなりたちそうです。
脳科学的にも、習慣づけの好影響は説明されているようです。
食べものを見ると食べたくなる衝動を活性化する脳の部位があるといいます。しかし、脳には自分で自分の行動や欲望を抑えることにつながる別の部位があるともいいます。ひとたび習慣づけが起きると、神経のパターンが変わり、衝動的な行動より、理性的な行動のほうが上まわるというわけです。
しかしながら、どうよい習慣をつけるかは、人にとっての大きな課題でもあります。この課題に対して、米国のジャーナリストで『習慣の力』の著者チャールズ・デュヒッグ (1974-)は、「ルーチンを特定する」「報酬を変える」「きっかけを見つける」「計画を立てる」という四つの手順を示しています。
デュヒッグはまた、人のすべての行動の4割は「習慣」によるものだとも述べます。いわく、「悪い習慣」を減らし「よい習慣」を増やすことで人生は好転する、と。
人には気性というものがありますから、「よい習慣をつけるとよい」と言われても、なかなかそうならないものではあります。しかし、意思の力を用いるよりも、よい習慣が自然とおこなわれることのほうが、はるかに楽なのはたしかなことでしょう。
参考資料
ウェブ現代 2013年5月9日付「『習慣の力 The Power of Habit』著者:チャールズ・デュヒッグ 翻訳:渡会圭子 プロローグ3〜13ページより抜粋」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35619