科学技術のアネクドート

2080年に「自動運転車が普及」98.1パーセント「核兵器ゼロ」15.1パーセント


日本科学技術ジャーナリスト会議が2017年12月に発行した会報『JASTJ News』で「未来予測アンケート」という特別企画を組み、2030年と2080年の未来に「実現していること」のアンケート結果を載せています。記事を同会議のホームページで見ることができます(会報の2〜3ページ)。

アンケートは、同会議に入会している科学技術ジャーナリストや科学技術ライターなどの会員によびかけ、53人から回答を得たもの。

20項目のなかで、2080年に起きていることとして率がもっとも高かったのは「自動運転車が普及している」で98.1パーセント。ついで「電気自動車が普及し、ガソリン車は影を潜めている」の92.5パーセント、「自動翻訳機の活躍で通訳の仕事がきわめて限られたものになっている」の88.7パーセント。

いずれも機械系の技術の進歩によりもたらされるもの。報道でもよく伝えられるもののためでしょうか、「2080年には実現しているでしょう」と考える人が多かったようです。

逆に、2080年に起きていることとして率がもっとも低かったのは「核兵器ゼロの世界が実現している」で15.1パーセント。ついで「地球外知的生命との交信に成功している」の18.9パーセント、「地球に小惑星が衝突して深刻な人的被害、環境破壊が起きている」の20.8パーセントとなっています。

「核兵器ゼロ」という世界的に望ましいことには悲観的であるとともに、核兵器よりも影響が強い「小惑星の衝突」については楽観的であることを示すような結果です。悪いほうに影響をおよぼす事象については、天変地異へのおそれよりも人為への不審が強いということかもしれません。

2030年と2080年でポイントの差がもっとも大きかったのは、「再生医療の進歩で臓器移植の必要はなくなっている」。2030年での「はい」9.4パーセント
に対して、2080年では73.6パーセント。その差は64.2パーセント。近い将来にはまだ、安全性への課題などが解決されないとして、長期的に見れば医療の進歩は確実に起きるだろうという予想の表れと捉えることができます。

「AI記者の記事が科学ジャーナリスト賞を受賞している」は、2030年では18.9パーセント。2080年では32.1パーセント。これらの数値を低いと見るか高いと見るかは分かれるところでしょうか。「賞に値するかを評価をするのは人間だから、答えるのはむずかしい」という声もありそうですが、評価者が人間のみである保証さえありません。

2080年は62年後。この会議のいま若き20歳の会員が、82歳になっていることになります。アンケートの予想と現実の結果は照合されているでしょうか……。

日本科学技術ジャーナリスト会議の会報『JASTJ News』第85号「特別企画 未来予測アンケート 想像力は将来の現実に迫れるか」は、こちらで読むことができます(2〜3ページ)。
http://jastj.jp/wp-content/uploads/2018/01/kaihou85.pdf
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