科学技術のアネクドート

2018年はなんの「国際年」でもない年

写真作者:JasonParis

国際連合は、年ごとに世界規模でとりくむべき課題を総会で決め、その年の「国際年」を定めています。過去3年では、2015年が「国際土壌年」と「光および光技術の国際年」、2016年が「国際マメ年」、2017年が「開発のための持続可能な観光の国際年」でした。

2018年はというと、なんの国際年でもありません。広報センターの国際年のページも、2017年までの表で止まっています。暦についての情報を提供する「タイム・アンド・デート・ドットコム」も「慣例に反して、国連は2018年の特定の課題の国際年であると謳っていない」と説明しています。

国際年の課題が上げられない年は21年前の1997年以来。その後の20年では48個、1年あたり2.4個の国際年が定められていたため、きわめてまれといってよいでしょう。

国連に、国際年を提案した国がなかったわけではないようです。インドで発行されている電子媒体「ジェネラル・ナレッジ・トゥデイ」によると、インドは国連に「2018年は国際雑穀年(International Year of Millets)」とすることを提案していたといいます。世界における飢餓や気候変動に対する啓発の意識を高めようとするねらいがあったようです。しかし、2018年が2日ほど過ぎた時点で、国連による国際年の宣言はありません。

国際年はたいてい、実施する年の2年ほど前には、総会で決まっているもの。「タイム・アンド・デート・ドットコム」によると、来年2019年の国際年はすでに「国際先住民諸語年」(UN International Year of Indigenous Languages)とすることが決まっています。

国連は、国際年とはべつに「国際の10年」という10年単位での国際課題を設けており、2018年は「国連砂漠と砂漠化に反対するための10年」「第3次植民地撤廃のための国際の10年」「国連生物多様性に関する10年」「交通安全のための行動の10年」「すべての人のための持続可能なエネルギーの国連の10年」「アフリカ系の人々のための国際の10年」「栄養に関する行動の10年」となっています。

ここ数年は、国際年の課題が複数あることが多くありました。2018年はその反動というわけではないでしょうが、世界の人びとが課題を分かちあうという目的から、1個は国際年の課題があってもよかったかもしれません。

参考資料
ブリタニカ国際大百科事典「国際年」
https://kotobank.jp/word/国際年-158002
国際連合広報センター「国際年」
http://www.unic.or.jp/activities/international_observances/years/
time and date.com “UN International Year 2018”
https://www.timeanddate.com/year/2018/
General Knowledge Today 2017年11月24日付 “India asks UN to declare 2018 as International Year of Millets”
https://currentaffairs.gktoday.in/india-asks-declare-2018-international-year-millets-11201750230.html
time and date.com “UN International Year 2019”
https://www.timeanddate.com/year/2019/
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