2014.08.23 Saturday
「重複なく、漏れなく」ものごとを分析する
ビジネスの世界では、ものごとの状況を整理するために「MECE(ミーシー)」という考えかたを使うことがあります。業界によっては、あたりまえに「その構成は、ちゃんとミーシーになっているかね」とか「ミーシーを考えてみたのですが、なかなかうまくいかなくて」などと使われています。
MECEは、“Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive”の頭文字をとってたもの。日本語に訳すと、「たがいに相いれず、まとめてあますところなく」といったことになります。よりかんたんに「重複なく、漏れなく」といった表現も使われています。
たとえば、なにかの問題を解決するため、その問題の原因をつきとめるとします。たいていの場合、問題の原因はいくつかにわかれるため、それを洗いだしていくことになります。
その結果、原因がA、B、Cというものになったとします。このとき、A、B、Cそれぞれの原因の内容が、それぞれ重複したり包含関係になったりしないようにすることが大切というわけです。
たとえば、「社員の遅刻が多い」という問題に対して、その原因を考えたとき、「社員たちの残業が夜遅くまである」という原因と「社員の生活が夜型になっている」という
原因があがったとします。しかし、このふたつは、「社員の残業が夜遅くまであるから、社員が夜型生活になる」という関連性があります。そのため、MECEの考えかたからすると、
こうした分析を「重複なく」で行うのがよいのは、理解が簡単になり、相手にも伝わりやすいなどの利点があるからです。逆に「重複あり」になっていると、たとえば、その原因を解消するための解決策も重複したものになってしまいます。その対策も効率が悪くなるおそれがあります。
いっぽう、「漏れなく」のほうは、あるできごとを構成する要素をすべてあげることを意味します。問題の要因をあげるということであれば、大きな要因も小さな要因も取りこぼしなく、すべてをあげることを指します。
「漏れなく」あげるのがよいのは、分析や問題解決の完成度が高まるからです。たとえば、問題の要因をあげるなかで漏れがあり、かつその漏れが問題解決に大切な要素であるような場合、漏れの部分を考えないと筋ちがいな問題解決しか出なくなるおそれがあります。
本来、ものごとを分析するときは、重複なく、漏れなく行うのがあるべきこと。しかし、なかなかそうもいかないため、「MECE」ということばが現れ、重視されているのでしょう。
参考資料
日経Bizアカデミー「『ピラミッド構造』と『MECE』が基本」
http://bizacademy.nikkei.co.jp/business_skill/logical/article.aspx?id=MMACzo001023042012&page=1