科学技術のアネクドート

『大学学部調べ 工学部』発売


新刊の案内です。

『なるにはBOOKS 大学学部調べ 工学部』という本が、きょう(2018年)4月26日(木)に、ぺりかん社より出版されました。編集者は同社の中川和美さんです。

「なるにはBOOKS 大学学部調べ」は、大学の各学部について、「どのような勉強をするのか」「どのような希望がかなうのか」などの疑問を解決し、進路を考える手だすけをするシリーズ。高校生や中学生を読者対象に、これまで「看護学部・保健医療学部」「理学部・理工学部」など4点が出版されていました。

『工学部』は、大学の工学部あるいは理工学部など、「工学」と名のつく学部で、どんなことを学べて、その先のどんな進路を選べるかなどを伝える本。「1章 工学部はどういう学部ですか?」「2章 工学部ではどんなことを学びますか?」「3章工学部のキャンパスライフを教えてください」「4章 資格取得や就職後の就職先はどのようになっていますか?」「5章 工学部をめざすなら何をしたらいいですか?」という5章からなります。

中味は大きくふたつ。解説・アドバイス的なページとインタビューのページがあります。

解説・アドバイス的なページは、「工学部は何を学ぶところですか?」といった問いに対して、読者にとっての「先輩」役が「一言でいうと、工学部とは『ものを作る方法や、もの作りにかかわる知識を得るための大学の学部』といえます」などと答えていくもの。

インタビューのページは、実際に大学の工学部などで教えている教員、学んでいる学生、また社会や大学院で活躍している卒業者たちが、インタビューに答え「『作ったものが動く』ことが工学の魅力」などと語っていくもの。教員2人、学生3人、卒業者5人が登場します。

工学部が扱う分野は、機械や材料といった具体的なものから、環境やシステムといったやや抽象的なものまで、じつにさまざまあります。『工学部』では、「『学んだ誰もが共通して得られる知識』がある」「それは何かというと、『問題や課題を解決するための知識や技術』といったもの」といったように、学科を超えて共通する「工学部での学び」の特徴を伝えるとともに、「機械工学科」「電気電子・工学科」「土木・建築工学科」などの「学科での学び」の特徴についても伝えていきます。

大学生活を控える人たちにとって、「工学」は高校までの授業名としてはないため、「工学部でなにを学べるのか」はなかなか想像しづらいかもしれません。『工学部』では、そんな高校生や中学生たちが、自分の大学生活をイメージできるよう、具体的に伝えることをめざしています。

アマゾンでの『なるにはBOOKS 大学学部調べ 工学部』のページはこちらです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4831515078

ぺりかん社の紹介ページはこちらです。
http://www.perikansha.co.jp/Search.cgi?mode=SHOW&code=1000001786&type=6&flg=1
| - | 12:24 | comments(0) | trackbacks(0)
「科学ジャーナリスト賞2018」大賞に信濃毎日新聞社の小松恵永さん


日本科学技術ジャーナリスト会議はきょう(2018年)4月25日(水)、「科学ジャーナリスト賞2018」の受賞者と受賞作品を発表しました。「大賞」には、信濃毎日新聞社編集局 「つながりなおす」取材班代表の小松恵永さんが選ばれました。

科学ジャーナリスト賞は、科学技術に関する報道や出版、映像などで優れた成果をあげた人を表彰するもの。2006年に始まり、今年2018年で13回目となります。

小松恵永さんには、信濃毎日新聞で2017年1月3日から6月29日まで続いた「つながりなおす 依存症社会」の連載に対して大賞が贈られました。贈呈理由は「薬物やギャンブル、アルコールなど様々な依存症に蝕まれる現代社会を幅広い取材に基づき多面的に捉えた秀逸なキャンペーン報道である」というもの。

また、「賞」が3組に対して贈られました。

ドキュメンタリー映画監督・プロデユーサーの佐々木芽生には、「おクジラさま ふたつの正義の物語」(集英社)の著作に対して。贈呈理由は「クジラやイルカ漁への国際的な批判に対し、関係者への直接的な取材に基づき、異なる文化に立脚する多様な視点を提供した好著である」というもの。

文筆家の川端裕人さんには、「我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な『人類』たち」(講談社)の著作に対して。贈呈理由は「次々と新発見が続くアジアの多様な原人について、化石発掘現場などを丹念に取材し人類進化の謎を紹介した。知的な興奮を呼ぶ好著である」。

日本放送協会(NHK)報道局政経・国際番組部ディレクターの安部康之さんと、同 チーフ・プロデューサーの相沢孝義さんには、2017年12月14日に放送した「クローズアップ現代+『中国“再エネ”が日本を飲み込む !?』」の番組に対して。贈呈理由は「再生可能エネルギーの大量導入を進める中国の動向を紹介し、立ち遅れた日本の状況を浮き彫りにした。インパクトが大きく日本のエネルギー政策を考える材料を提供した」とあります。

そして、2018年の科学ジャーナリスト賞では「特別賞」が、理科ハウス館長の森裕美子さんに贈られました。世界一小さな科学館「理科ハウス」の設立・運営に対して、です。贈呈理由は「神奈川県逗子市の住宅地にある手作りの科学館。『身近な科学館』を目指した設立趣旨と地域コミュニティから親しまれている活動ぶりが総合的に評価された」とあります。

応募作品は、新聞5点、書籍・雑誌55点、映像25点、ウェブ・企画展示7点の計92作品が選考対象となりました。

贈呈式は2018年5月10日(木)東京・内幸町のプレンセンタービルでおこなわれます。

日本科学技術ジャーナリスト会議による「『科学ジャーナリスト賞2018』が決まりました」のお知らせはこちらです。
https://jastj.jp/#20180425
| - | 17:11 | comments(0) | trackbacks(0)
「問題はべつにして、建築意匠は評価できる」の声も


森友学園への国有地売却をめぐる問題では、2018年3月に決裁文書の改竄が明るみになって以降、当時の理財局長が大阪地検特捜部に事情聴取を受けるなど、動きが激しくなっています。

問題の発端となった場所のひとつが、豊中市にある「瑞穂の國記念小學院」が開校される予定だった場所です。ここに建っているのは、小学校として使われるはずだった校舎。煉瓦のような色をした赤い木質の壁が印象的です。

「一連の問題はべつにして、この校舎の建築意匠は特徴的であり評価できる」といった声も一部からはあがっているようです。



校舎の設計を担ったのは、アキラ建築研究機関。そして、この学校の設計は、サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)評価・実施支援室による2015年度の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。

そして、採択事例集には、この校舎を建築するプロジェクトの概要や提案点などが書かれています。

「主体構造となる鉄骨の構造フレーム等を検討し、建物内外を木
質化することで、主体構造が鉄骨造でありながら、実際の視覚的には、大規模な木造校舎を再現することを目指している」

「主体構造となる鉄骨を、150mm角の柱によるブレース構造とし、法規上の耐火与件を満たしながら、 4寸〜5寸角と筋違による木造フレームと変わらない寸法で納め、内外にわたって木質化することで、 これまで防火地域では不可能だった大規模な木造校舎および体育館を、再現する」

「建物の内外部、また教室の床材に、杉材等の木質材料を使用することで、教室空間の、調湿、清音化を図り、アトピー等の児童らにとっても、優しい教育環境を生み出す」

木質で校舎の外観などを表現することに力点が置かれ、工夫もなされているようです。ブレース構造とは、骨組みの対角線上に斜め材を入れて横からの力に耐えやすくした構造のこと。アトピーなどの病気をもつ子どもにも配慮した設計になっているようです。

「評価のポイント」も記されてあり、「鉄骨造ではあるが、建物内外を木質化することで視覚的に大規模な木造校舎を再現している。内装と外装の木質化された学校として地域の教育機関を通して波及効果が期待できる」とあります。



かつての小学校や中学校の校舎といえば木造でした。その後、1970代以降から鉄筋コンクリート製の校舎につぎつぎ建てかえられていき、「ハモニカ型校舎」ともよばれる、長廊下にいくつもの教室が配置された3階ないし4階建ての校舎が主流となっていきました。

「瑞穂の國記念小學院」の校舎や体育館は、そうした画一的な校舎の建築設計とは対照的なものといえましょう。「一連の問題はべつにして、評価できる」という一部の声に、「たしかに問題は問題だが、建築設計は建築設計」と理解できる人もいるかもしれません。

参考資料
毎日新聞 2018年4月23日付「森友文書改ざん 佐川前理財局長を事情聴取 大阪地検」
https://mainichi.jp/articles/20180424/k00/00m/040/050000c
瑞穂の國記念小學院前掲示「建築基準法による確認済」
http://img-cdn.jg.jugem.jp/b82/15839/20180424_2677591.jpg
サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)評価・実施支援室「平成27年度木造建築等技術先導事業報告書(事例集)防火地域に新築される小学校の校舎及び体育館の木質化についてのプロジェクト」
http://www.sendo-shien.jp/28/case/download/jirei42.pdf?20170410
| - | 16:57 | comments(0) | trackbacks(0)
「なにをもってマルチタスクというか」は不明確

画像作者:Urs Steiner

仕事のしかたをめぐっては「シングルタスク」ですべきか「マルチタスク」ですべきかが議論となり、その結論は「シングルタスク」ですべき、ということでほぼ決まっているようです。

マルチタスクとは、同時にいくつかの仕事をすること、とされます。この意味からすると、シングルタスクのほうは、同時にいくつかの仕事をしないこと、ということになります。

マルチタスクでの仕事のしかたについては、研究者が非効率さを説いているようです。たとえば、米国の情報学者グロリア・マークは、技術業界の従業員が特定のプロジェクトにとりくんでいるとき、中断までの時間は平均11分間であり、中断後にもとの仕事に戻るまでに25分かかったとしています。いかに作業の中断を余儀なくされ安い状況であるか、また、いかに、もとの作業に戻るまでに時間が費やされるかがわかるといったところでしょうか。

また、神経心理学者のシオドア・ツァウシデスは、マルチタスクとは「100パーセントの集中力をそれぞれのタスクに振りわけるものなので、ひとつのタスクに向けられる集中力は100パーセントより低くなる」と述べています。二つのタスクがあれば、たとえば集中力は50パーセントずつなり、中途半端な集中のしかたになってしまうといったところでしょうか。

また、コミュニケーションの研究者だったクリフォード・ナス(1958-2013)は、マルチタスクの習慣をひんぱんにつづけても、情報の取捨選択力、複数の作業をすばやく切りかえる能力、作業記憶力の三つがいずれも向上することはないということを、明らかにしたそうです。

これらの証拠がいくつもあがっているということは、マルチタスクは非効率的だということなのでしょう。

しかし、「なにをもってマルチタスクというか」の定義づけは、巷ではあまりはっきりとはされていないようでもあります。

もちろん、聖徳太子のように、複数の人が話していることを同時に聴こうとすればそれば「マルチタスク」でしょう。

けれども実際のところ、仕事をしている人は“その瞬間”だけを捉えれば、マルチタスクでの作業は本当はなされていないのではないでしょうか。もし、なされているとすれば、たとえば会議で参加者の話を聴きながら、べつのメールを書いている、といったような異なる感覚器を使う作業ぐらいではないでしょうか。

おそらく3時間にわたってひとつの仕事に集中していれば、多くの人は、それはマルチタスクでなくシングルタスクだと認められるでしょう。

では、短くして30分間にわたってならどうでしょうか。それもシングルタスクと考える人もいれば、それはマルチタスクの一部であると考える人もいるでしょう。

では、さらに短くして3分間にわたってならどうでしょうか。多くの人は、それはマルチタスクの一部だと考えるかもしれません。

しかし、短い時間であるとしても、ひとつの作業に集中できていれば、その時間での作業は「シングルタスク」といえるのではないでしょうか。

マルチタスクなのか、シングルタスクなのかを時間で区切って考えようとすると、線引きが曖昧になりそうです。むしろ「自分で定めた仕事の終わりまでほかの仕事をはさまずに完了させること」をシングルタスクと捉えるほうがよいのかもしれません。

参考資料
デジタル大辞泉「マルチタスク」
https://kotobank.jp/word/マルチタスク-9083
日経ウーマンオンライン 2015年4月16日付「マルチタスクは非効率?! 本当に効率的な時間の使い方とは?」
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20150413/204003/
フォーブズジャパン 2018年1月22日付「マルチタスクは非効率的 成功のための正しい作業方法とは?」
https://forbesjapan.com/articles/detail/19424
ライフハッカー 2013年8月12日付「『マルチタスク』は本当に悪いのか、科学的に解明してみた」
https://www.lifehacker.jp/2013/08/130812multitasking_brains.html
| - | 21:01 | comments(0) | trackbacks(0)
「タイムフリー視聴」と収録番組の親和性は高い


ラジオをめぐっては、2010年にインターネットで放送を聴ける「ラジコ」が始まって、聴取者の番組の聴きかたが変わってきたといわれています。

とくに、「タイムフリー視聴」の実験サービスが2016年10月に始まり、プレミアム会員という有料会員になれば、放送された番組を7日以内であればいつでも聴けるようになりました。2017年9月の時点でのプレミアム会員数はおよそ44万人といいます。いまはもっと増えていることが考えられます。

聴く人の嗜好によりけりかもしれませんが、ラジオの番組には「タイムフリー視聴」に合っているものと、かならずしもそうとはいえないものがあるのではないでしょうか。

ラジオ番組には、大きく分けて「生放送」と「収録放送」があります。

生放送では当然ながら「いま」の情報を伝えることが主眼となっており、ニュース、天気予報、交通情報などがひんぱんに流されます。「いま」の情報を伝えるということは、ラジオ番組の大きな特性のひとつといえるでしょう。

しかしながら、昼時の生放送の番組を、夜中に「タイムフリー視聴」によって聴くといった行為には、やはり違和感を覚える利用者もいるのではないでしょうか。番組で使われる効果音は番組ごとに決まっていますから、昼間に聴きなれている効果音が夜に流れてくると、わかっていても「あれれ」となってしまうわけです。

その点、収録番組のほうは、より「タイムフリー視聴」に合っているといえるのではないでしょうか。収録放送は当然ながら、出演者によって「いま」話されているものではありません。そのため、いつ聴いても「過去の時間に話されたもの」という認識があります。本来の放送日時よりあとの日時に聴いても、「いずれにしても収録放送」であるため、生放送の番組を「タイムフリー視聴」で聴くより、違和感は減るわけです。

「ラジコ」の「タイムフリー視聴」を利用する人がこれから増えていけば、生放送で「いまを伝える」番組より、収録で「いつ聴いても違和感を覚えない番組のほうが重視されることになっていくでしょうか。

参考資料
電通報 2017年9月20日付「ラジコ NHKラジオの実験配信を発表」
https://dentsu-ho.com/articles/5478
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
校正作業、メール本文欄記入式をあきらめて校正紙記入式に



本づくりでは、本が完成するよりも前の段階で、文字や内容に誤りがないかを確かめ、誤りをなおすための指示をする作業をします。一般的には、原稿段階でのこの作業は「原稿確認」と、また、校正刷段階でのこの作業は「校正」などとよばれます。

校正の作業を、一般的には編集者や著者、そして場合によっては校正者という専門職の人がおこないます。

情報の電子化が進んだ今日日。本の校正刷でも紙に印刷せず、コンピュータ上の書類といえるPDF(Portable Document Format)形式の電子ファイルで表示して、そこで文字や内容の誤りを見ていくといった作業も多くなりました。

しかし、PDF形式のファイルで校正作業をおこなうとき、朱入れをどうするかがしばしば厄介な問題になります。

ある著者は、本の校正刷をPDF形式の電子ファイルで出版社から送信してもらったといいます。そして「原稿を完成度高く書いたから、修正希望を伝える分量は多くないだろう」と考えたこの著者は、「メールの本文の欄に、修正希望を記していこう」と決めました。

この場合、たとえばつぎのような伝えかたになります。
_____

13ページ、5行目
恐竜たちの特徴や、発見された経緯などを迫力ある絵と分かりやすい文章で紹介する。

恐竜たちの特徴や、発見された経緯などを迫力ある絵としっかりした説明の文章で紹介する。
_____

つまり、該当するページ番号や行数番号を書き、文の単位、あるいは節の単位、最低でも句の単位で、どう改めるのかを、「改める前」と「改めた後」を記すわけです。

この著者は、「原稿を完成度高く書いたから、修正希望を伝える分量は多くないだろう」と、いわば高をくくっていました。たとえば、200ページの本として、4ページに1か所の修正希望があれば、上のような表記を50個すればよいことになります。

しかし、この計算は大きく外れました。最初の10ページをこの方法でおこなったところ、修正希望は100箇所にもなったといいます。もし、この方式を最後まで貫けば、修正希望を上のように記す作業を2000箇所にわたりしなければならないことになります。

たしかに、PDF形式のファイルでは、たいてい文字のコピーとペーストができるので、キーボードを使ってPDFファイル上の文字をメールの本文欄に転記する手間はありません。しかし、これほど数が膨大になると、「この1文は修正が必要だからコピー・アンド・ペーストしないと」「あれ、つぎの1文も修正が必要だ。コピー・アンド・ペースト」「おいおい、つぎの1文も修正が必要なのかよ……」となり、けっきょく1ページ分の文を丸まるコピー・アンド・ペーストして、「改める前」と「改めた後」をメール本文欄に記していかなければならなくなります。

どうして、予想していたよりもはるかに多くの修正希望が生じてしまうのか。その理由のひとつには「用字・用語の統一にともない、よく使われている基本的な語彙を改めなければならないから」といったことがあるようです。前出の著者はうらめしそうにこう言います。

「『作る』とするか『つくる』とするか。『作る』で統一しようとしたんです。ところが原稿を書いたときには『つくる』のほうをよく使っていたらしく、『つくる』が現れるごとに『作る』に改めるよう、メールの本文欄に修正希望を記していきました。すると、途中から『つくる』だらけになり、ほぼ丸まる1ページ分の文を、メール本文欄にコピー・アンド・ペーストして、修正希望の文を記していくことに。とほほ……」

いつしかこの著者は、メールの本文欄で「つくる」を「作る」に改める指示を記す作業だけに気もちを奪われ、ほかの確かめるべき誤字・脱字などを拾うことに集中できなくなってしまったといいます。

「10ページやったところで、この方法はあきらめました。PDFファイルを紙に印刷して、それを校正紙として赤ペンで朱入れしていく方法に切りかえました」

デジタルの文字群をコンピュータ上のメール本文欄やテキスト・エディタにコピー・アンド・ペーストして、修正希望を記すという方式での校正が効率的であるという場合は、そう多くないのかもしれません。

あるとすれば、もともと校正する記事がウェブニュースなどの電子媒体であるときや、あるいは本づくりの最後の段階で念のために校正刷を見ておくときぐらいかもしれません。そしてたいていは、「改める必要がある箇所は、そう多くないだろう」といった予想は外れるものです。

なお、PDF形式のファイルでは、アクロバットなどのソフトウェアを使えば、画面上の文字に対して「削除」や「文字挿入」などの「注釈」をつけていくことができます。この機能を積極的に使う人もいれば、見逃してしまうおそれがあるため使わうのに消極的である人もいるもよう。

| - | 21:32 | comments(0) | trackbacks(0)
「森林の“厄介者”が生み出した新たな食材ビジネス」


ウェブニュース「JBpress」で、きょう(2018年)4月20日(金)「森林の“厄介者”が生み出した新たな食材ビジネス 美味しいタケノコと悩ましきタケ(後篇)」という記事が配信されました。

日本の風景には竹林がよくにあうと感じる人も多いでしょうか。しかし、江戸時代より前から、山やまが竹林に覆われていたというわけではなかったようです。日本のタケで主流となっているモウソウチクは18世紀前半の江戸時代、いまの京都府または鹿児島県から、人の手を介して入ってきたとされています。

モウソウチクは、ほかの植物をも侵食する、繁殖力の強い植物であるため、その後、日本で広がっていきました。タケノコのほか竹材として多く利用されたころはまだ、竹林の広がりすぎはあまり問題視されなかったものの、輸入タケノコが増えたり竹材の利用が減ったりしてタケが資源として使われなってくると、竹林の管理が届かなくなり放っておかれるようになりました。

タケの地下茎は地中をどんどん這っていき、そこからタケノコがどんどん芽生えるため、なにもしなければこれからもタケは増えていくばかりです。

なにもしなくてもどんどんタケノコが生えてくるわけです。そして、そのタケノコは食べることができ、食材として売ればお金にもなるわけです。

生のタケノコは何日も放っておくと固くなってしまいます。しかし、加工してメンマのような食品にしておけば、しばらく経ってからも食べることができます。

こうしたことから、いま、生えてくるタケノコを切って、煮て、乾かして「乾タケノコ」にして出荷するという農法が、日本の一部でおこなわれています。JBpressの記事では、愛媛県大洲市で乾タケノコづくりを営む第一人者に話を聞いています。

大洲市をはじめ、愛媛県でつくられている乾タケノコの納入先の大きなひとつは「餃子の王将」の王将フードサービス。ラーメン用のメンマに愛媛県産の乾タケノコが使われているといいます。

いまメンマ向けのタケノコのほとんどは中国をはじめとする海外から輸出されたもの。しかし、中国ではほかの作物への転作が進み、メンマ用タケノコの生産量が落ちてきているともいわれます。

乾タケノコの用途はメンマ以外にも、チャーハンの具材やお菓子など、さまざま考えられそう。需要と供給の均衡がとれれば、国産の乾タケノコがより食べられるようになり、また、放置竹林の問題にも解決の糸口が見いだせるかもしれません。

JBpressの記事「森林の“厄介者”が生み出した新たな食材ビジネス 美味しいタケノコと悩ましきタケ(後篇)」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52901

前篇では、日本におけるタケノコやタケの歴史をたどっています。「和食で人気の筍、意外と新しかった日本への伝来」はこちらです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52827

記事の取材と執筆をしました。
| - | 15:21 | comments(0) | trackbacks(0)
「工学」には設計がともない「技術」には具現化がともなう

写真作者:aussiejeff

学校などの場での教育では「STEAM教育」の大切さがよくいわれるようになりました。“STEAM”は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をとったもの。これらの分野を重点的かつ融合的に教育することで、児童や生徒たちの批判的思考力や課題解決力を養おうとするものです。

「科学」は大まかにいえば「理科」のこと。「数学」は数についての学問分野。「芸術」は美を創造したり表現したりするための学問分野。これらは多くの人びとに「だいたいこんな感じ」という印象をもたれることでしょう。

しかし、「技術」と「工学」については「ちがいがどこにあるのかわからない」と思いいだく人も多いのではないでしょうか。外来語で表せば「テクノロジー」と「エンジニアリング」。ますますちがいがわからなくなるかもしれません。

「レゴ・エンジニアリング」というサイトには、マサチューセッツ工科大学で生命科学と電気工学の学位をとり、米国退役軍人省で医工学者として25年の経歴をもってきたジョナサン・ディーツが、「工学と技術のちがいはなにか」という随筆を書いています。

「工学は、デザインの過程であり、物質についての知識や、それらがどのように振るまうか予測するモデル、そして革新的な思考を統合させるものである。それにより、人類が必要な解決策が、頻度高く革新的に創られる」

「対照的に、技術はものをつくる過程として考えることで理解は進むかもしれない。そこでは、道具、物質、プロセス技能といったものが使われ、工学者(あるいは芸術家や設計者のようなデザインの職業者)がつくる計画に物理的実在をもたらす」

そして、例として、建てもののもち主が雨水浸透緑地帯を組みこんだオフィスビルを建てようと考えている場合をあげます。工学者は、典型的な降雨から時間あたりの水量を計算したりして設計するのに対し、技術者はそのしくみを構築するものであるとしています。

これらからすると、工学あるいは工学者は設計をともなうものであり、技術あるいは技術者はものごとの具現化をともなうものであるといえそうです。ものごとが実現したり、課題が解決されたりするときの上流には工学的要素や工学者が存在し、下流には技術的要素や技術者が存在するといってもよいかもしれません。

参考資料
Jonathan-Dietz “What is the difference between engineering and technology?”
http://www.legoengineering.com/what-is-the-difference-between-engineering-and-technology/
| - | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0)
「組織」が集まって「器官」、「器官」の種類のなかに「臓器」

写真作者:Eric Villalba

からだを構成する、ある程度のまとまりを指して、「器官」や「臓器」や「組織」などといいます。「器官臓器組織」などと並べると、かつてあった雑誌『蛋白質核酸酵素』の誌名みたいです。それぞれ、なにを意味しているのでしょうか。

「器官」と「臓器」については、使われている漢字に注目すると、関係性が見えてきます。

どちらも「器」が使われていますが、「器官」は1文字目であるいっぽう、「臓器」は2文字目。「臓器」という熟語を分解すると「“臓”の“器官”」といった解釈ができます。

すると「臓」とはなんなのかが問題となりますが、これは「腸」と書く「はらわた」ということばに近いもよう。国語辞典の「臓」の項目には「はらわた」とあります。「はらわた」とは、「大腸」や「小腸」などの総称です。また「五臓」ということばは「肝臓」「心臓」「脾臓」「肺臓」「腎臓」のことを指します。

これらから、「臓器」は、とくに、大腸や小腸などの腹腔や、心臓や肺臓などの胸腔などにある器官を指すものといえそうです。

つまり、「臓器」と「器官」では、「器官」のほうがより多種類なものを指し、「臓器」はその器官のなかでの限られた種類のものを指すことになります。どちらかといえばですが。

では、「組織」はというと、これは国語辞典によっては、明確に「さらに集まって器官を構成する」とあります。つまり、「組織」は「器官」の一部あるいは構成要素といえるわけです。

以上をまとめると、「『組織』が集まると『器官』になるが、その『器官』のうち、とりわけ腹腔や胸腔などにあるものは『臓器』とよばれることがある」といったことになります。

なお、英語では「組織」は“tissue”、「器官」は“organ”、「臓器」は“internal organs”などといいます。

参考資料
デジタル大辞泉「器官」
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/50756/meaning/m2u/器官/
デジタル大辞泉「臓器」
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/128231/meaning/m2u/臓器/
デジタル大辞泉「組織」
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/130515/meaning/m0u/組織/
| - | 19:52 | comments(0) | trackbacks(0)
子育て中の親ツバメは夜、巣の近くで寝る

写真作者:coniferconifer

今年も夏が近づき、ツバメが子育てに励む季節になりました。

ツバメは渡り鳥。春になると南のほうから北のほうへと渡り、そこで子どもを生み育て、そして秋にまた南のほうと渡っていきます。子どもを生み育てる「北のほう」が、日本列島にあたるわけです。日本には人里や人も多いため、天敵のヘビなどから襲われにくく、ツバメにとっては日本は好都合な土地かもしれません。

昼間、親ツバメはがむしゃらなまでに餌を取ってきては子ツバメたちにあたえつづけます。子ツバメのいる巣から離れていることが多いわけです。では、子育て期間の夜には、親ツバメはどこにいるのでしょうか。

卵から孵って間もないころは、まだ子ツバメは毛が生えていないため、体温が奪われがち。そこで親ツバメも夜に巣に入り、子ツバメたちを温めるといいます。

しかし、餌をあたえられた子ツバメの成長は著しいもの。だんだんと大きくなっていくと、親ツバメが巣に入れないくらい手狭になります。

でも、この段階までいくと、子ツバメの体には毛が生えていて、親に体を温めてもらう必要はなくなります。

そうなると、親は子ツバメのいる巣のけっこう近いところで夜は寝て過ごすようです。

人間でいったら、子どもが大きくなって家が狭くなり、親は家の外に出ざるをえなくなり、庭先に布団を敷いて寝るようなものでしょうか……。いいえ、そういう悲しい状況ではないようです。

卵を生むころになると、巣の近くで寝るようになる親ツバメは多いようです。そんな親ツバメからしてみれば、子育て中も巣の近くで夜を寝て過ごすというのは普通の生活といえそうです。なかには、子ツバメを生む前後のころ、子ツバメ用の巣に入って寝る親ツバメもいるそうではありますが……。

子ツバメに巣立ってもらうために、親ツバメは献身的なまでに毎日を過ごす。ツバメにとってみれば、そのように生きることは体に叩き込まれたしくみと化しているわけです。しかし、そうした姿をはたから人間が見ると、人間の目には愛おしく感じられるものです。

参考資料
大阪市立自然史博物館「大阪府下のツバメの集団ねぐら」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/wada/Roost/swallowroost.html
Yahoo!知恵袋「ツバメについてです。親鳥は夜はヒナと一緒に巣の中で寝るんですか?」
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13130307173
| - | 22:48 | comments(0) | trackbacks(0)
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