画像作者:fdecomite
炭素原子(C)とフッ素原子(F)が結びついている化合物を「有機フッ素化合物」といいます。「有機」にはいくつかの意味がありますが、「炭素原子がふくまれている」という意味が基本にあります。
つまり、炭素原子とフッ素原子が結ばれている部分をふくんでいれば、それは有機フッ素化合物です。このような化合物の種類は多種あります。
その多種の有機フッ素化合物のうち、すべてではありませんが、かなりの種類をなすのが、「ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」(PFAS:Per and Poly FluoroAlkyl Substances)です。つまり、「有機フッ素化合物のうちのかなりの種類がPFASである」といえます。
「ペルフルオロアルキル化合物」は、「ペル」「フルオロ」「アルキル」「化合物」に分けられます。「ペルに、フルオロな、アルキルの、化合物」といったところ。「ペル」(Per-)は「すべて」という意味。また「フルオロ」は「フッ素の基」の意味ですが、ここでは「フッ素化された」つまり「炭素原子と結ばれている水素原子がフッ素に置きかわった」の意味と考えてよいでしょう。つぎの「アルキル」は「炭素原子n個と水素原子2n+1個からなる基がふくまれる」の意味です。アルキルの定義がそういったものなのです。
まとめると、「ペルフルオロアルキル化合物」は「すべて(ペル)が、フッ素化された(フルオロ)、炭素原子n個と水素原子2n+1個からなる基(アルキル)の、化合物」ということになります。
「ポリフルオロアルキル化合物」のほうは、「ポリ」を冠しています。「ポリ」(Poly-)は「いくつかの」を意味します。上の「ペル」のほうは炭素原子と結ばれている水素原子が「すべて」フッ素に置きかわったことを指していましたが、こちらの「ポリ」のほうは、炭素原子と結ばれている水素原子の「いくつか」がフッ素に置きかわっているわけです。
まとめると、「ポリフルオロアルキル化合物」は、「いくつか(ポリ)が、フッ素化された(フルオロ)、炭素原子n個と水素原子2n+1個からなる基(アルキル)の、化合物」ということになります。
ことばのなりたちを知ったうえで、PFASの定義を見てみます。つぎの定義は欧州化学機関によるものです。
「PFASとは、すくなくとも一つの完全にフッ素化されたメチル(CH3-)またはメチレン(-CH2-)炭素原子(H/Cl/Br/I原子が結合していない)をふくむフッ素化物質」
この定義にある「メチル」とは、炭素原子1個と水素原子3個で表される基のことであり、上にある「アルキル」つまり「炭素原子n個と水素原子2n+1個からなる基」のひとつです。いっぽう「メチレン」とは、炭素原子1個と水素原子2個で表される基のことであり、「アルキル」の「炭素原子n個と水素原子2n+1個からなる基」という意味からすると、水素原子1個が過不足しています。実際、メチレンはアルキルにふくまれませんが、PFASの定義としては「すくなくとも一つの完全にフッ素化されたメチル(CH3-)またはメチレン(-CH2-)炭素原子(H/Cl/Br/I原子が結合していない)をふくむフッ素化物質」となっています。
参考資料
日本フルオロケミカルプロダクト協議会 2022年4月20日・25日「PFASの規制化動向について」
https://cfcpj.jp/pdf/Lecture_materials_20220420.pdf
東京都保健医療局「PFAS(ピーファス)に関する電話相談窓口 物質の特徴」
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/sonota/pfas/qa_tokucho.html
デジタル大辞泉「PFAS」
https://kotobank.jp/word/PFAS-2131507
化学辞典 第2版「フルオロ」
https://kotobank.jp/word/フルオロ-2127133
日本大百科全書「フッ素化」
https://kotobank.jp/word/フッ素化-1406307
ミライアルコラム 2020年12月14日「第3回 フッ素樹脂の特徴と用途」
https://www.miraial.co.jp/column/106/