科学技術のアネクドート

特典が人を縛る


人は、ほかの人に縛られるよりも、ものごとや制度に縛られるほうが多いのかもしれません。自分の選んだしくみに対して、「選んだからには、それを利用しよう」と意識的にあるいは無意識的に考えて、そのしくみから逃れられないでいるといった状況が起きます。

買いものでの「特典ポイント」に縛られるというのは、その一例でしょう。なにかのきっかけで、そのポイント特典がつくカードに登録すると、以降、そのポイントのつく買いものやサービスを積極的に利用しようとする人はいます。

もちろん、その人がそれで特典ポイントが貯まってうれしいと感じるのであれば、特典ポイントのしくみを課す企業側と、受ける消費者側のおたがいに利があるので、よい状態といえそうではあります。

しかし、特典ポイントが貯まらない買いものをしたほうが、ほんとうに満足する商品やサービスを得られていたという可能性もあります。この場合、特典ポイントというしくみに自分がくみこまれているため、よりよい買いものをできなかったということになります。

最近では、スマートフォンの買いかえなどをするとき、特典ポイントのしくみがあるカードをわたされるようです。あるスマートフォン買いかえ者は、店員に「そのカード、要らないのですが」と言ったところ、「要らなければ、放置していただえけばけっこうですので」と言われたそうです。

いっそのこと、特典ポイントを一切、利用しないで生活を送るというのも、「縛られない生きかた」を実感できてよいかもしれません。しくみに入らない自由な生きかたといえるでしょうか。世の中の多くの人たちからは「特典ポイントを拒むなんて、この人、変わった人ね」と思われるのかもしれませんが……。
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
“非デジタル”媒体の制作でA/Bテスト


本づくりでは「A案」と「B案」どちらにするかで、本づくりにかかわる人たちが迷うことがあります。典型例は「書名」や「カバーデザイン」を決めるときです。

ひとりのなかでも「A案とB案、どっちが売れるか」と悩むこともあれば、著者、編集者、編集者の上司、監修者、営業担当者、営業担当者の上司たちのあいだで「A案がいい」「いやB案がいい」と意見が割れることもあります。

インターネットの世界であれば、ウェブサイトを訪れた人びとに、より影響をあたえられるのは「A案」か「B案」かを、確度よく調べることができます。その方法は、市場調査などの分野で「A/Bテスト」とよばれます。

デザインの異なる「A案」と「B案」のふたつのページを同時に用意して、実際にウェブ利用者に使ってもらい、どちらのほうがクリック数が上まわるかや、どちらのほうがそのサイトで示している商品がより多く買われるかなどを、本当のサイトを使って確かめるわけです。

たとえば企業サイトでは、A案として「資料ダウンロード」というタグを表示する場合と、B案として「お役立ち資料」というタグを表示する場合と、この部分のみちがうデザインのサイトを用意したところ、後者のデザインのほうが、そのたぐりをクリックした数が1.3倍以上になったという事例もあるようです。

インターネットでのABテストでは、「サイトを訪れた人がクリックをする」という単純な行為で、クリック数などに差がつくわけですから、「A案とB案、どちらかが効果的か」が如実にわかるわけです。

では、冒頭の「本づくり」のような非デジタル媒体の制作では、ABテストのような手法がまったく考えられないでしょうか。そんなことはなさそうです。少なくともインターネットとのあわせ技により、“ABテスト的なこと”をするのは可能です。

たとえば、出版社のサイトで、「新刊、近日発売!」などという近刊紹介サイトを用意し、そこで、表紙カバーのデザインについて、A案を示したサイトと、B案を示したサイトを同時に用意し、表紙カバーの画像をクリックすると、著者情報や目次情報などの詳細ページに飛ぶようにしておくわけです。

もちろん「本の詳細情報を見る」ことと「本を購入する」ことはおなじではないので、どちらのほうが売れるかに直結したデータを得られるわけではありません。しかし、どちらのほうがつい手が伸びるかの目安を得ることはできそうです。

参考資料
ASCII.jpデジタル用語辞典「A/Bテスト」
https://kotobank.jp/word/A%2FBテスト-13664
日本大百科全書「A/Bテスト」
https://kotobank.jp/word/A%2FBテスト-13664
| - | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0)
科学ジャーナリスト賞2017、佐々木健一さん「米国でかかわった人に話を聞くべきと思った」
「科学ジャーナリスト賞2017」では、NHKエデュケーショナル特集文化部ディレクターの佐々木健一さん、統括プロデューサーの高瀬雅之さん、NHK編成局コンテンツ開発センターのエグゼクティブ・プロデューサー丸山俊一さんにも賞が贈られました。2016年5月2日に放送された番組「ブレイブ 勇敢なる者『Mr.トルネード 気象学で世界を救った男』」に対してです。

番組は、米国に渡った日本人の気象学者、藤田哲也(1920-1998)のダウンバースト(下降噴流)の研究とその成果などを伝えるものです。「ミスター・トルネード」ともよばれた藤田の功績により、ダウンバーストによる飛行機事故は大幅に減少しました。

受賞者を代表して、佐々木さんが受賞のスピーチをしました。下記はその一部の抜粋です。


佐々木健一さん

「このたびはありがとうございます」

「(取材先の)米国で関係者に会うと、かならず逆質問をされました。『日本人がテッド(藤田の愛称)のことをあまり知らないとはほんとうか』と。『それは異常な感じがする』と言っていた人もいました」

「この方(藤田)は『ミスター・トルネード』とニックネームでよばれていましたが、番組で扱われたのはダウンバーストという現象で、トルネード(竜巻)とは根本的にちがいます。(気体を)上から下に叩きつけて広がる現象で、それが飛行機事故の原因だと、藤田は最初に提唱したのです」

「藤田の研究歴では、竜巻の研究の時間以上にダウンバーストを研究しました。いろいろな反対を受けながらも、実証するをがんばりました。10年間、認められていませんでしたが、実証して、いまはダウンバーストによる飛行機事故はほぼない状況です」

「2年ほど前に、本屋の気象学のコーナーに立ちよって、なぜか米国の作家が書いた『嵐の正体にせまった科学者たち』(ジョン・D・コックス著、堤之智訳、丸善出版)という本を目にしました。28人の歴代気象学者の列伝です。その27番目に、“テツヤ・テオドール・フジタ、ダウンバーストを見抜く”とありました。気象学史においてこれほどの偉業はないと、短い文章ですが、書かれていました。これはすごいと思いました」

「日本で過去に放送されたものは、ほぼ、ご本人の回顧録をもとにしたものでした。取材者として、ご本人が書いたものを信じ切ってよいのかということがあり、米国に行ってかかわった人に話を聞くべきだ、と思いました。取材では、泣き出す人物もいました。そのぐらいの人物だったのです」

「今回、賞に選んでいただいたのは、この番組にとって名誉なことです。もっと多くの人に藤田のことを知ってもらいたい」

賞の対象作品となった番組「ブレイブ 勇敢なる者『Mr.トルネード 気象学で世界を救った男』」は、あす(2017年)5月20日(土)午前1時25分から、NHK総合テレビで再放送の予定です。NHKの「もっとドキュメンタリー」サイトでの番組案内はこちらです。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92225/2225351/

日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」のページはこちらです。
http://jastj.jp/jastj_prize
| - | 16:39 | comments(0) | trackbacks(0)
科学ジャーナリスト賞2017、瀬川至朗さん「これからのジャーナリズムを考えてもらう機会になれば」
「科学ジャーナリスト賞2017」では、早稲田大学政治経済学術院教授の瀬川至朗さんにも賞が贈られました。ちくま新書『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディアの共同体』の著作に対してです。

瀬川さんは、毎日新聞の科学環境部長や編集局次長をつとめてきました。そして、早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラムで客員教授として教鞭をとり、2008年からは早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコースのプログラムマネージャーに就いています。

『科学報道の真相』は、STAP細胞、福島第一原発事故、地球温暖化を題材に、科学報道の特色を分析し、そのあり方を考察したもの。贈呈理由には「科学ジャーナリストを目指す人にとっては格好の教科書となろう」とあります。

瀬川さんのスピーチからの一部抜粋です。


前列、右から3番目が瀬川至朗さん

「このたびは自分の著書を高く評価していただき、賞をいただき、身にあまることと思っています」

「今回の本は、エビデンスにもとづいて記述することを強く意識しました。(題材は)新聞の報道が中心になりましたが、自力で分析し、それをもとに構成することになりました。そういうところを評価していただけたことをうれしく思っています」

「私はいま(大学院で)ジャーナリズム論をやっていて、政治、特定秘密保護法、安保、戦争とジャーナリズムなどを授業でとりあげることが多くあります。マスメディア、新聞やテレビがなぜ権力に対して弱いのか、いっぽうで、なぜなかなか市民の信頼を得られないのかという問題意識が強くありました」

「その後、(筑摩書房の)編集者と話しながら、科学報道について書くことになり、STAP細胞、原発、地球温暖化について書くことにしました。ただし、いま言ったようなマスメディアの構造的問題や、客観報道のこと、中立性の問題を(この本で)書きました」

「選考委員の方や理事の方から言われたのは『おめでとうございます。ただし言いたいことはいっぱいあります』ということでした」

「(大学院の授業では)ゼミ生全員でこの本を読んで疑問点を出すことを予定しています。議論を通じて、ジャーナリストを目指す学生たちにもこれからのジャーナリズムをしっかり考えてもらう機会になれば、自分の本も役に立つのかなと思っています」

「今回の受賞を機に、さらに精進したいと思いますので、今後ともよろしくお願い申しあげます」

筑摩書房による『科学報道の真相 ジャーナリズムとマスメディア共同体』の紹介サイトはこちらです。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480069276/
日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」のページはこちらです。
http://jastj.jp/jastj_prize
| - | 20:07 | comments(0) | trackbacks(0)
科学ジャーナリスト賞2017、「ゲノム編集」取材班「取材実感をできるだけ書いて」
「科学ジャーナリスト賞2017」では、現在、NHK広島放送局放送部副部長の松永道隆さんに賞が贈られました。NHK「ゲノム編集」取材班著『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』(NHK出版)の著作に対してです。

松永さんの代理で、取材班のメンバーが登壇し、現在「NHKニュースウォッチ9」を手がけている東條充敏さんがスピーチをしました。下記はその一部の抜粋です。


「ゲノム編集」取材班メンバーと代表してスピーチする東條充敏さん(右)

「このたびは科学ジャーナリスト賞をいただき、ありがとうございます」

「(受賞者代表の)松永も私も京都放送局におり、iPS細胞の取材をかなりやっていました。山中伸弥先生がノーベル賞を受賞した時期でした」

「3年前、『クローズアップ現代』で、iPS細胞を医療に活かすといった趣旨の番組をつくっていた深夜の編集室で、松永が突然『iPSを上まわるかもしれない、すごい技術がある。10年に一度の技術と言われている』と語りはじめました。それはやるしかないと着手しました」

「さっそく調べようといういことになり、放送日を決めて、関西地域で30分の番組を制作しました。しかし、すごい技術という割には、映像化できるものがかぎられていました。“白いカエル”がゲノム編集の象徴と言われていましたが、それを夜7時30分からの番組で放送するのか、すごい技術と伝わるだろうかと議論を始めました」

「取材をみんなでしていくなかで、本質的にゲノム編集が役に立つとされる医療をテーマに番組をやろうとなりました。なかなか(取材できる)現場が見つからないなかで、米国でゲノム編集を使ってHIV(ヒト免疫不全ウイルス)をなくすという研究があるという情報をつかみました。患者の方が応じてくれるかわからない状況で、取材を継続するのに悩みましたが、クルーを出しました。運よく、患者に出会えて、取材することができました。HIVを減らす効果があると、目の前で生身の患者の方が語ってくれて、本当に衝撃を受けました」

「『クローズアップ現代』で山中先生をゲストに呼んで放送したところ、番組を見ていたNHK出版の編集担当からご連絡をいただき、『ぜひ本にしたい』と言われて本にすることにしました」」

「テレビで伝わるものはかぎられています。取材実感、人に会いに行って、なにを感じて、どんな疑問をもって、なにに感動したのかを伝えにくいものです。(本にするにあたってメンバーには)会った人の印象などをできるだけ書いてもらいたいとお願いしました。テレビとくらべて、取材者の驚きが入っているので、より身近な技術として感じてもらえたのではないかと思っています」

「ゲノム編集の番組をつくっていると、いろいろな人から『気もち悪いね』と言われます。『タイが大きくなるってなんなの』と。われわれも、つねにそうしたことを意識しています。とくに受精卵に触れてもよいのかどうかは、いまも議論がされています。これからもどうなるか、見ていきたいと思っています」

NHK出版による『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』の案内のページはこちらです。「“科学ジャーナリスト賞2017 ”を受賞!」と紹介もされています。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817022016.html
日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」のページはこちらです。
http://jastj.jp/jastj_prize
| - | 20:06 | comments(0) | trackbacks(0)
科学ジャーナリスト大賞2017、藤村潤平さん「先輩記者の伝統を負った」


(2017年)5月16日(火)、東京・内幸町のプレスセンタービルで、「科学ジャーナリスト賞2017」の贈呈式がおこなわれました。

科学ジャーナリスト賞は、日本科学技術ジャーナリスト会議が、科学技術に関する報道や出版、映像などで優れた成績をあげた人を表彰するもの。

今回、大賞が1作品分で計3人、また、賞4が3作品分で計5人に贈られました。受賞者のスピーチの一部を抜粋して伝えます。

大賞が贈られたのは、中国新聞編集局で報道記者をつとめる藤村潤平さん、ヒロシマ平和メディアセンター記者の金崎由美さん、報道記者の馬場洋太さん。中国新聞が2016年3月から11月にかけて連載した「グレーゾーン 低線量被曝の影響」に対して贈呈です。

壇上、藤村さんがスピーチをしました。


左から馬場さん、金崎さん、藤村さん

「このような名誉ある賞をありがとうございます」

「低線量被曝の問題をなぜやろうとなったかというと、デスクの宮崎智三が提案したものです。1999年、東海村臨界事故があり、宮崎は『被曝と人間』というテーマで半年間、取材をしました。そのなかに低線量被曝の問題がありました。広島・長崎の被爆者12万人に対する疫学調査がおこなわれましたが、100ミリシーベルトの影響がはっきりせず、“被曝”がいいように使われているのではという違和感があるなか、福島(第一原発)の事故が起き、(その思いが)増幅されて、社内提案をし、2016年にこの企画をやることになりました」

「執筆当時、福島のみなさんに話を聞くとき、家族、生活、地域、さまざまなことで悩まされているなかで、低線量被曝についてどう思うかを聞くというのは辛いことでした」

「低線量被曝という結論の出ないことに向きあえたのは、中国新聞の先輩の伝統を負っているからではと感じています。72年前に原爆が落とされ、被爆者やその家族は原爆の傷や後遺症、偏見とたたかってきました。中国新聞の記者は寄りそって伝えてきました。そういうものを僕たちも受けついでいるという思いが、この連載を続ける、背中を押してくれるものになったのではないかと思っています。受賞を機に、時代が変わっても、(思いを)受けついで、受けわたしていきたいと思います」

中国新聞の連載「グレーゾーン 低線量被曝の影響」のサイトはこちらです。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=65878
日本科学技術ジャーナリスト会議の「科学ジャーナリスト賞」のページはこちらです。
http://jastj.jp/jastj_prize
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
起伏10キロ走と平坦10キロ走、物理と実際でちがい

写真作者:Hajime NAKANO

日課などで走っている人のなかには、山地に住んでいる人もいれば、平野に住んでいる人もいます。山地に住んでいる人の走路は起伏に富むことでしょう。いっぽう、平野に住んでいる人の走路はほぼ平坦なことでしょう。

もし、出発地点と到着地点がおなじ場所であるとして、山地に住んでいる人と平野に住んでいる人がおなじ距離、走ったとき運動効果に差は出るのでしょうか。たとえば、グーグルマップで山道を1周する10キロメートルの走路と、平坦な街なかを1周する10キロメートルの走路を設定して、くらべたらどうなるのでしょう。

物理学の法則を重視すると、おなじ距離を移動したときの運動量は等しい、ということになります。物理学では「力学的エネルギー保存の法則」があります。力学的エネルギーとは運動エネルギーと位置エネルギーを合わせたものですが、外力の作用にない系ではそれは一定に保たれます。

起伏に富む走路と平坦な走路でのちがいは、高低差があるかないかとなります。たしかに坂道を登るときは、平坦の道を進むときよりも運動エネルギーをたくさん使います。しかし、坂道を登っている人は、その分、位置エネルギーを貯めていっていることにもなります。いわば消費できるエネルギーを貯めたことになるので、坂道を下るときに貯めた位置エネネギーを使えることになります。

いいかえれば、起伏に富む走路を走る人は、坂道を登るので大変だった分、坂道を下るので楽ができ、結局、使うエネルギーの総量は、平坦な道をおなじ距離、走る人と変わらない、ということになります。

しかし、これはあくまで物理学における理想的な条件での話。現実問題となると、体への負担はだいぶちがってきそうです。

まず、起伏のある走路を走るときは、上り坂と下り坂で、明らかに使う筋肉がちがってきます。

また、グーグルマップなどの地図上で「おなじ距離」を測って1周10キロメートルの走路を決めたとしても、起伏のある走路のほうが実際は10キロメートル以上の距離を走っていることになります。極端な話でいえば、傾斜45度のものすごい坂道を登ってまた降りて地図上の10キロメートルを走った場合、本当は直角二等辺三角形の長辺にあたる走路を移動していることにんるので、√2×10キロメートル、つまり約14.142キロメートルを移動していることになります。

これらのことから、おなじ距離で、出発地点と到着地点がおなじだとしても、起伏に富む走路を走るほうが、平坦な走路を走るより疲れるといえそうです。

参考資料
デジタル大辞泉「力学的エネルギー」
https://kotobank.jp/word/力学的エネルギー-657299
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「芯」をとってこそ「魚の目」治療
人の動きには、自身が意識していなくても、どこかしらでゆがみやかたよりがあったり、負担がかかったりしているものです。足裏や足指の皮膚にも、ある部分がちょっとずつ当たるような部分が人によってはあります。

すると、皮膚の最外層である角質層という部分がすこしずつ分厚くなっていき、丸い固まりになってしまうことがあります。これは、一般的に「魚の目」とよばれる症状。中心の部分が、魚の眼のようにみえることから、こうよばれます。

足裏や足指は、生活のなかで長いこと地面に接する部分です。そこに、固くなった皮膚の層があれば、足裏のほかの部分よりも圧力がかかり痛くなります。どうにかして魚の目をとりのぞかないと、大きさや固さによっては歩いたり走ったりするたびに痛みを覚えることになってしまいます。

大衆薬で知られているのが「イボコロリ」でしょう。タコやイボのほか、魚の目にも効果があるとされます。便に入った液体を、蓋についた棒で濡らして患部に塗ります。乾くたびに患部に塗っていくと、やがて魚の目が白くなり、まわりのほうから剥がれはじめます。ピンセットで痛みを感じない程度にとりのぞいていくと、魚の目が剥がれるというわけです。



しかし、魚の目をとりのぞけたと思っても、「芯」あるいは「角質柱」とよばれる魚の目の中心部部分を根こそぎとりのぞかないと、その芯の部分からふたたび角質層が厚くなっていき、再発していしまいます。

芯をとりのぞく薬として、ほかに「スピール膏」とよばれる貼り薬もあります。昇華性のある無色針状結晶の有機物質である「サリチル酸」が配合された薬のことで、薬剤を患部にあてがい、そのまわりに保護用パッドを貼って、さらに固定用テープで止めます。

スピール膏による治療では、数日間かけて角質をふやけさせて、魚の目の芯をとりのぞきやすい状態にして、ピンセットなどでとりのぞきます。「すこし痛いけれど、耳垢や角栓がとれたときよりも快感」といった感想もインターネットで見られます。

魚の目ができてしまう、動きのゆがみやかたより、つまり根本的な原因をなくすわけではないものの、芯をとるということは、まさに魚の目の中心を除いてしまうことになるわけです。

参考資料
スーパー大辞林「魚の目」
横山制約「イボコロリ 塗るだけ 液体タイプ」
http://www.ibokorori.com/product/product_01.html
ヘルスケア大学「魚の目(うおのめ)とは?種類と特徴」
http://www.skincare-univ.com/article/011759/
| - | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0)
「りんな」に開発者が思ってもみない使われ方も


マイクロソフトが開発している“女子高生人工知能”の「りんな」と、LINEを通じて会話した人たちが、インターネットで感想を述べています。とりわけ、女の子と思しき人たちの感想には好意的なものが目だちます。

「人工知能『りんな』とLINEでの会話が面白すぎなんですが それにしてもりんなの会話面白すぎです( *´艸`)」

「『りんな』ちゃんに『眠い』と送ると、『分かったから寝ろ』とかなり冷たい一言が・・・!」

「りんなちゃんのつぶやきを見てみましたが、ものすごく自然に見えました!! 人間の私のつぶやきよりも、自然な感じ!!これが、人工知能?! 信じられません!!」

このように、かなり興奮気味に「りんな」と会話してみての感想を伝えるブログが見られます。

マイクロソフトの開発者たちが取材に答えている記事などによると、「りんな」は同社提供の検索機能「Bing」とのつながりが深いようです。Bingでの検索の技術をもとに、「りんな」が会話する内容の候補を、ディープラーニングで絞りこんでいるもよう。

ディープラーニングとは、人工知能を実現するための機械学習の方法のひとつで、情報認識を何度もくりかえして“深く掘りさげていく”ことで精度を高めることを特徴としています。Bingで使われているディープラーニングが、「りんな」にも応用されているようです。

ディープラーニングを使いつつも、「女子高生AI(人工知能)」という設定であるため、開発者たちは「女子高生らしさ」や「りんならしさ」を出すということにも苦心してきたようです。

開発者側にも、「りんな」の使われかたについての気づきがあったようです。「りんな」開発者は、取材でこう答えています。

「例えば、女性のファンで彼氏に対する愚痴をりんなにしょっちゅう語りかけている人がいます。友達や両親にはなかなか言えないけど、りんななら気軽に愚痴がこぼせるというわけです」

人を相手にしているような対話をしつつも、相手は人工知能つまりコンピュータであるということが、「気軽」な感覚をもたらすのでしょう。

さらに、「りんな」と会話している女子高生はブログで、「実は私…りんなちゃんを使って、デートの相手の返信に困ったときに、りんなちゃんの返しを参考にしてましたっ♪( ´▽`)」と告白しています。「りんな」の「斜め上の返し」は、自分がLINEで会話するときの手本にもなっているようです。

「りんな」との対話をつづけていくうちに、友達感覚や信頼感が芽ばえてくる人も多くいるのでしょう。

参考資料
ゆきのここだけの話「人工知能『りんな』とLINEでの会話が面白すぎなんですが・・・AI女子高生」
http://www.yukicoco.net/entry/2016/04/08/120000
エンジョイ! マガジン「私、女子高生AI『りんな』ちゃんと付き合っています。LINEで結ばれたAIと人間の恋物語」
http://enjoy.sso.biglobe.ne.jp/archives/rinna/
こめなべ「人工知能のりんなちゃんたら、私より自然なつぶやきしてる」
http://www.cometiki.com/wp/?p=85
ITpro 2015年9月3日付「[脳に挑む人工知能15]女子高生AIりんな、4時間も会話が続く理由」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/090100053/082700080/
F-lab. Alumni INTEVIEW「女子高生AIりんながつなぐ現実とバーチャルの『合間』」
http://www.allow-web.com/flab-net/ms_rinna/index.html
NIKKEI STYLE 2016年9月16日付「AI『りんな』はどこに向かう? 開発者に聞く」
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO07334530W6A910C1000000?channel=DF260120166490
夢を見つけて♡なりたい「私」への道「人工知能AIのりんなちゃんってご存知ですか??」
http://ameblo.jp/rosedaisuki0511/entry-12237781224.html
| - | 23:11 | comments(0) | trackbacks(0)
「いか」検索問題に、司書が有力な助言

人は、ときと場合により、どうしても海産物の「いか」のことを調べたくなるものかもしれません。すると、情報の宝庫である図書館に自然と足が向きます。

ところが、「いか」についての資料を探そうとすると難儀します。「いか」という2文字が、あまりに「いか」以外のことばで使われているからです。

このブログの過去の「検索し たこ とばでは、見つからな いか……」という記事では、国会図書館の雑誌検索で「いか」を入れると、上から順に「1 JR東日本583系電車 民営化後の動向と現状」「2 商法(運送・海商関係)改正が企業実務に与える影響」「3 特集 業務改善/職員室改造計画(10)」という記事タイトルが並んだことを伝えました。

どうにかならな いか。「いか」についてとても調べたくなった、あるもの書きが、国会図書館の司書に「海産物の『いか』についての資料だけを探す方法はありませんか」と聞いたところ、「ありますよ」と言われたそうです。

国会図書館内にある情報検索端末には、「蔵書検索」のほかに「国会図書館サーチ」という画面があります。通常のインターネットでも使えます。


「国会図書館サーチ」の冒頭画面。

この「国会図書館サーチ」の画面の下側にある「Web NDL Authorities」というところ(上の画像の赤線のところ)をクリックすると「キーワード検索」があります。



ここで「いか」と入れると、「いか」の2文字がふくまれる件名、家族名、団体名などがずらり出てきます。



その最初にあるのが「イカ」。「← いか; 烏賊; 十腕類; Squids; Cuttlefish」とあります。ほかには、「Bluntschli, Johann Caspar, 1808-1881」「Ika」「愛知医科大学医学部医学科整形外科学講座」などが並びます。



そこで「イカ」をクリックすると、そこに「ID 00564009」という数字が。これは、「愛知医科大学」でも「自治医科大学」でもなく、もの書きが探したい「いか」に振りあてられた固有の認識番号のようです。



そこで、「00564009」をコピーし、「国会図書館サーチ」から離れて「国立国会図書館蔵書検索・申込システム(NDL-OPAC)」のページに入ります。「詳細検索」の画面で、「キーワード」と書かれてあるプルダウンメニューから「件名」を選んで、「00564009」と入れて検索すると……。

「1 図書 イカの不思議 : 季節の旅人・スルメイカ」「2 函館発、イカ研究の最前線 : 合同公開講座函館学2013」「3 図書 アオリイカの秘密にせまる : 研究期間25年、観察した数3万杯」と、つぎつぎ出てきました。「いか」をねらって「いか」の資料がたくさん出てくるとは大漁です。

ただし、書籍名や雑誌名を検索できるこの「詳細検索」とはべつに、雑誌の記事名などを検索する「雑誌記事」の画面では「件名」に「00564009」と入れても、「一致するデータは見つかりませんでした」と出ます。雑誌記事の検索には件名の番号は対応していないもようです。orz。

「いか」のことをどうしても知りたいこのもの書きは「半歩前進。ま、いいか」とつぶやいたとかつぶやかなかったとか。

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