科学技術のアネクドート

「感覚に影響をあたえ、行動に影響をあたえる」マーケティングを

写真作者:Mike

消費者の求めている商品やサービスはどういったものかを調べ、売りかたを決めることで、生産者から消費者への流通を円滑にしようとする活動を「マーケティング」といいます。「生産者から消費者への流通を円滑にしようとする」というのは、「より儲けようとする」と言いかえてもよいかもしれません。

マーケティングは、なにに注目するかや、どういう方法でするかなどにより、さまざまに分けられそうです。なかでも、21世紀に入って、発展してきたとされるもののひとつに「感覚マーケティング」があります。

「消費者の感覚に強く影響をあたえ、消費者の知覚、判断、行動に影響をあたえるマーケティング」。マーケティング研究者のアラドナ・クリシュナは、2013年に著した“Customer Sense”(邦訳題『感覚マーケティング』)で、感覚マーケティングをこのように定義しました。つまり、消費者の知覚や判断や行動に影響をあたえる大切な要素は感覚であるということに注目したマーケティングといえそうです。

しかし、昔からより儲けようとする企業は、見ばえのよい広告を出したり、よい香りのする食べものを売ったり、耳に心地のよい背景音楽を流したり、なにかと消費者たちの感覚に訴えて商売をしてきたはず。いまさら「感覚マーケティング」を強調する必要はあるのでしょうか。

この疑問に対しては、「感覚マーケティングは五感すべてを総合的に捉えておこなうもの」といったことがひとつの答になりそうです。「これをすれば売れる」といった単純な因果関係で考えるのでなく、「これとこれが、こうつながり、こうなるから売れる」といった、より複雑な関係性にも注目するといったもの。

また、感覚マーケティングでは、一見、無関係に思えるような刺激などにも着目し、それが行動にどんな影響をあたえるかといったことまでも、探ろうとするといいます。これは明らかに、かつての感覚に訴えるマーケティングと異なるところです。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のいずれかがかかわる商品。それは、ほぼあらゆる商品のことを指すといってよいのではないでしょうか。その点からすると、感覚マーケティングを重視しなくてよい商品はまずもってない、といった考えかたもできます。

参考資料
広告朝日 2018年5月29日付「マーケティングキーワード『感覚マーケティング』」
https://adv.asahi.com/keyword/11549597.html
Insight for D「無意識を動かす『センサリーマーケティング』前編 行動メカニズムの秘密」
https://d-marketing.yahoo.co.jp/entry/20180612509905.html
wikipedia“Aradhna Krishna”
https://en.wikipedia.org/wiki/Aradhna_Krishna
| - | 20:24 | comments(0) | trackbacks(0)
重い製品写真を見ると信頼性が高くなる

写真作者:Eric

非常に大事で大切なことを「重要」といいます。この熟語にある「重」はもともと、目方や比重といった物理的な量の多さを指すもの。「重」という字は、人が重い袋を持って耐えている姿を現したものともされます。その「重」が、物事や精神といった抽象的な大事さを指すためにも使われているわけです。

では、大事で大切なことを「重」で表すことは、だれかが気まぐれで言いだした、偶然の産物のようなものなのでしょうか。

このような実験があります。

筆記版に自動車の写真を挟んで、被験者たちに渡します。ただし、筆記版には、660グラムの重いものと、220グラムの軽いものがあり、被験者はどちらかの筆記版に挟まった自動車の写真を見ることになります。

被験者たちに、その写真の自動車の「信頼性」を聞きます。「この車は信頼できる」に対し、「非常にそう思う」の7点から、「まったくそう思わない」の1点までの7点の尺度で評価してもらいます。

すると、重い筆記版に挟まった自動車の写真を見た被験者たちのほうが、軽いほうの被験者たちにくらべ、この自動車に対する信頼性が高かったといいます。

この実験では、自動車のほか掃除機についても試していまいた。すると掃除機でも、重い筆記版に挟まった写真を見た被験者たちのほうが、この掃除機に対する信頼性が高かったといいます。

実際の物理的な重さが、信頼性に影響をあたえるということになるでしょう。大事で大切なことを「重」で表すことは、あながち気まぐれではないようです。

参考資料
大辞林第三版「重要」
https://kotobank.jp/word/重要-527777
漢字/漢和/語源辞典「『重』という漢字」
https://okjiten.jp/kanji503.html
戸川拓ら「『硬さ』『重さ』の感覚と消費者の意思決定 身体化認知理論に基づく考察』
https://www.researchgate.net/publication/310020979_yingsazhongsanoganjuetoxiaofeizhenoyisijueding-shentihuarenzhililunnijidzukukaocha
| - | 08:58 | comments(0) | trackbacks(0)
おなじ重さでも小さいほうが重く感じられる


重いか、軽いか――。「重さ」の主観的な感覚は、“見ため”により相当な影響を受けるもののようです。

フランスの医師オーギュスティン・シャンパルティエ(1852-1916)は、つぎのような実験をおこないました。

おなじ重さでありながら、大きさは4センチメートルと10センチメートルで異なる、2個の球を用意する。そして、被験者に「どちらが重いか」を聞く。

この実験の結果、被験者からは「4センチメートルの球のほうが重い」という答が返ってきたといいます。10センチメートルの球もおなじ重さであるにもかかわらず。

人の通常の感覚からは、小さな球と大きな球があれば「大きな球のほうが重いだろう」といった心理が生じるもの。つまり、見た目の感覚から、「重そうか軽そうか」を決めつけようとします。

ところが、実験で、被験者は、4センチメートルの球を持つと、10センチメートルの球を持つのとおなじくらいの力が必要とわかり、「小さい球は重いな」と錯覚したわけです。

このように、重さの感覚が見た目の大きさの影響を受け、おなじ重さのものでも、体積の小さいほうが重く感じられる現象を、シャンパルティエの名をとって「シャンパルティエ効果」といいます。

「見た目よりも重い」ということは、より「重さ」を感じさせるのかもしれません。

参考資料
世界と日本のUX | BLOG 2018年10月19日付「シャルパンティエ効果    」
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/charpentier-effect/
シマウマ用語集「シャンパルティエ効果」
https://makitani.net/shimauma/charpentier-effect
wikipedia “Augustin Charpentier”
https://en.wikipedia.org/wiki/Augustin_Charpentier
ブリタニカ国際大百科事典「シャンパルティエ効果」
https://kotobank.jp/word/シャルパンティエ効果-76439
| - | 14:26 | comments(0) | trackbacks(0)
感覚が「交差」するとき、どちらかが優先されることがある


写真作者:zenjiro

ヒトなどの動物には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が備わっています。この記事を読んでいる人は、文字を追うために視覚を使っていることでしょう。あるいは、読みあげソフトウェアの音声を聴くため聴覚を使っているかもしれません。

この記事を読んでいる場合は、基本的には視覚あるいは聴覚というひとつの感覚のしくみを使います。しかし、作業や行為によっては、ふたつ以上の感覚のしくみを同時に使うこともあります。

 

たとえば「食べる」という作業では、食べものの色を見て、においを嗅いで、味を感じて、舌ざわりを覚えます。ときには「しゅわしゅわ」とか「ジュージュー」といった音も聞くかもしれません。五感のうち、4つないし5つの感覚のしくみが「食べる」作業ではかかわっているわけです。

これらの感覚のしくみは、たがいに影響を及ぼしあっているといいます。この現象は「クロスモダリティ現象」とよばれます。「クロス」には「交差する」、「モダリティ」には「感覚」といった意味があります。

クロスモダリティ現象を示す典型的な例としていわれるのは、「赤いシロップのかかったかき氷を食べるとイチゴ味のように感じるが、緑色ではメロン味、黄色ではレモン味に感じる」というものです。これらの色ちがいのシロップの味は、どれも変わらないといいます。つまり、色を感じる視覚が、味を感じる味覚に影響したわけです。

ヒトなどの動物がなにかを「感じる」ときには、「ボトムアップ処理」と「トップダウン処理」というふたつのしくみがはたらくとされます。

ボトムアップ処理は、眼、耳、鼻、舌、肌などにある感覚器官から、刺激の情報が脳に伝わり、脳が反応する過程のこと。いっぽう、トップダウン処理は、ボトムアップ処理により入ってきた刺激の情報を、脳にしまわれている記憶などに照らして、新たな情報をつくりだすことを指します。

ボトムアップ処理される刺激の情報を、ふたつ以上の感覚のしくみで受けるとき、どちらかの感覚のほうが優先されて、その優先された感覚のほうがトップダウン処理に強くはたらきかけることがあります。上のかき氷の色と味のことでいえば、色の刺激のほうが優先され、ボトムアップ処理により「イチゴの色は赤」とか「レモンの色は黄」「メロンの色は緑」といった、脳にしまわれている記憶が拾われて、赤いシロップをイチゴ味のように感じてしまうというわけです。そもそもかき氷のシロップの味と実際のイチゴの味は、にてもにつかぬものではありますが。

たとえ本来の感じられかたとはかけ離れていても、それを「それ」と感じる人にとっては、「それ」こそが信じられる感じとなるわけです。いかに、脳は感じかたをつくりあげていることか。

参考資料
デジタル大辞泉「クロスモーダル現象」
https://kotobank.jp/word/クロスモーダル現象-1829842
ハーバード・ビジネス・レビュー 2016年1月29日付「脳は味覚より視覚の情報を優先する 『クロスモダリティ効果』とは何か」
https://www.dhbr.net/articles/-/3911
味博士の研究所「かき氷のシロップの味は“幻覚”だったのかを味覚センサーで検証してみた!」
http://aissy.co.jp/ajihakase/blog/archives/6608

| - | 16:58 | comments(0) | trackbacks(0)
自動車教習では仮免試験、医療教育では共用試験


写真作者:Dick Thomas Johnson

自動車の教習には「仮運転免許」のしくみがあります。自動車の運転免許を得ようとしている人が、教習所を出て路上で運転の練習をするために必要な運転免許が、仮運転免許です。つまり、運転免許を得るためには、仮運転免許を得なければなりません。

仮運転免許とおなじようなしくみが、医学部、歯学部、6年制の薬学部、それに獣医学部などにはあります。

たとえば医学部では、6年生までの過程のなかで「臨床実習」とよばれる、実際の患者と対面して、医師による診察のしかた、治療のしかた、カルテの書きかた、意思疎通のしかたなどを現場で学ぶ授業があります。教室から医療現場へと出て受けるこの臨床実習は、自動車の運転でいえば、教習所から公道に出て教習を受けるようなもの。このとき、自動車教習では仮運転免許を得るために「仮運転免許試験」というものに合格する必要でありますが、医学部でも臨床実習を受けるために試験に合格する必要があります。

医学部などの学生が受けるこの試験は、一般的に「共用試験」とよばれます。「共用」とは、複数の人が共同で使うことを意味しますが、この試験は医学部生に共通の評価試験であることから「共用試験」とよぶのでしょう。

共用試験にはふたつあり、ふたつとも合格しなければ、臨床実習に臨めません。

そのひとつが、CBTとよばれるもの。“Computer Based Testing”の頭文字をとったもので、コンピュータでおこなわれます。受験する学生たちは、コンピュータを目の前にして五者択一や多選択肢択一などの問題を解いていきます。コンピュータごとに異なる問題が出されるため、不正行為をはたらきづらい。また、受ける人により出題の難易度が異なるため、それも考慮したIRT(Item Response Theory)という理論を用いて導きだす値で、合格・不合格が決まります。合格基準は「IRT359」、正解率にして65パーセントくらいとされます。

もうひとつが、OSCEとよばれるもの。これで「オスキー」と読みます。“Objective Structured Clinical Examination”の頭文字をとったもので、客観的臨床能力試験とも。こちらは、患者を前に、どのような診療をすべきか、実際に実技で示す形式のもの。人間の評価者が評価をします。

ふたつの試験に合格しが学生は、晴れて臨床実習の“仮免許”を得られます。

ただし、その後の歩みのなかでもさらなる試験が待ちうけます。医学部の最終学年にあたる6年生は、2020年から「診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験」(Post-CC OSCE:Post-Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination)という試験を受けることになります。その学生が、医学部を卒業するにふさわしい臨床能力が身についているか評価するための試験といえます。

さらに、この試験に合格して卒業したのちには、自動車での「運転免許試験」にあたる「医師国家試験」が待っています。これに合格して、ついに医師としての資格である「医師免許」を得られるのです。ただし、医師国家試験の合格率は約90パーセントともいわれます。医学部を卒業できれば、医師へはあとすこし、といったところでしょうか。

参考資料
薬学教育協議会「薬学共用試験」
http://yaku-kyou.org/?page_id=296
ウィキペディア「臨床実習」
https://ja.wikipedia.org/wiki/臨床実習
ウィキペディア「Computer Based Testing」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Computer_Based_Testing
INFORMA for medical 2019年4月19日付「2019年度版 CBT(医学部)基本情報 出題範囲・形式・合格基準は?」
https://informa.medilink-study.com/regularpost/11432/#3
医療系大学間共用試験実施評価機構「共用試験OSCE資料」
http://www.cato.umin.jp/osce/o_sample.html
日医on-line 2019年4月20日付「全国の医学生が受験する『共用試験』」
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/008548.html
日経ビジネス電子版 2018年4月5日付「医師国家試験は簡単? 合格率90%の謎」
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/011000038/040300030/

| - | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0)
子どもの慢性腎臓病、多くは先天性

写真作者:Hey Paul Studios

きのう(2019年)12月4日(火)付のこのブログの記事「生体腎移植、夫婦間での実施も増加」では、「おとなが発症する慢性腎臓病」を前提に、その治療のしかたなどが記されています。

慢性腎臓病を発症するのはおとなだけではありません。子どものなかにも、慢性腎臓病を発症する人がいます。この病気を「小児慢性腎臓病」といいます。

おとなの慢性腎臓病はおもに、生活習慣病である糖尿病や高血圧などの合併症として起きるもの。いっぽう、小児慢性腎臓病のほとんどは先天性、つまり生まれたときに生じているものとなります。原因として多いとされるのは「先天性腎尿路奇形」とよばれるもの。腎臓がつくられる段階でなんらかの異常が生じ、腎臓が大きくならなかったり、通常とは異なるかたちになったりします。また一部では遺伝子の異常があると報告されています。

先天性尿路奇形がもとで生じる小児慢性腎臓病では、多くの場合、多飲や多尿、また低身長といった症状がみられます。また、この病気が進むと、からだの外に出ていくはずのおしっこが血液のなかにたまる尿毒症になり、心臓の血管の障害、神経の症状、血液の異常などが生じます。

治療については、尿にタンパクがたくさん出るため血液中のタンパクが減り、むくみなどが生じる「ネフローゼ症候群」とよばれる症状に対しては、プレドニゾロンとよばれる一種のステロイドを使います。また、腎臓の糸球体という部分に免疫グロブリンAというタンパクが沈着する「IgA腎症」に対しては、「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」という薬が推奨されています。ステロイドなどとくみあわせた多剤併用療法がなされることもあります。

しかし、症状が進み重度の病気になると、やはりおとなとおなじように血液透析や腹膜透析、あるいは腎移植といった体にも心にも負担の大きい治療を受けることになります。

参考資料
難病情報センター「小児慢性腎臓病(CKD)(平成24年度)」
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3217
東京都立小児総合医療センター「先天性腎尿路異常」
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/shouni/section/jinzounaika_02.html
日本腎臓学会『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018』
https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf
日本腎臓学会『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013』
https://www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/all.pdf
| - | 21:41 | comments(0) | trackbacks(0)
生体腎移植、夫婦間での実施も増加


写真作者:Tareq Salahuddin

腎臓は、からだのなかで要らなくなった物質をからだの外におしっことして出し、体液の状態を一定に保つための臓器です。人のからだでは、そら豆のようなかたちをして、左右一対ずつあります。

なにかしらの原因で、この腎臓のはたらきが失われてしまう病気が腎臓病です。とくに腎臓の障害が3か月以上つづく病気を「慢性腎臓病」といいます。その原因としては、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病などがよくいわれます。また、腎臓の一部をなす糸球体という部分に炎症が起きて慢性腎臓病になる場合も多くあります。

重度の慢性腎臓病になったら、要らなくなった物質をからだの外におしっことして出すという腎臓のはたらきは失われます。このはたらきをどうにかとり戻さなければ、尿が血液に混じってしまう尿毒症などの病気になり、生命への危険も生じます。

では、どのように腎臓のはたらきをとり戻すか。治療法のひとつとしてあるのは人工透析です。装置を使って血液をからだの外に導き、そこで老廃物をとり除き、必要な電解質などを補給してから、血液をからだの中に戻します。

人工透析は、週に3回、1回につき4時間かかるもの。患者の生活の質は相当に下がってしまいます。自分でできる腹膜透析という方法もありますが、腹部の手術が必要であることもあるのでしょう、この方法を選んでいる患者はさほど多くありません。

もうひとつの治療法としてあるのが腎移植、つまり、ほかの人の腎臓を手術により移しうえるという方法です。

腎移植にはさらに大きく二つの種類があります。

ひとつは「生体腎移植」とよばれるもの。これは、生きている人の腎臓の1個を移植するというもの。ただし、腎臓を提供できる人は、患者の親族にかぎられています。一般的に、親子や兄弟・姉妹のあいだでの生体腎移植では、移植した腎臓を患者のからだが受けつけようとしない「拒絶反応」のおそれが低いとされています。

しかし、夫婦間の生体腎移植も、拒絶反応を抑える「免疫抑制剤」の進歩などにより、親子や兄弟・姉妹のあいだでおこなうのと差がなくなってきているといいます。最近では、生体腎移植の4割ほどが夫婦間によるものとのこと。

提供者は、残るひとつの腎臓で生きていくことになります。しかし、ひとつの腎臓でもじゅうぶんに能力があるため、日常生活は送れるとのこと。

もうひとつは「献腎移植」とよばれるもの。これは、心停止後または脳死後の人の腎臓を移植するものです。本人が、運転免許証などに、脳死後ないし心停止後、臓器を提供する意思表示をしている場合などにかぎって、腎臓が患者に提供されます。

自分の腎臓のはたらきを回復させうる「再生医療」の研究も進められているものの、まだ始まったばかり。日本の大学や製薬企業などがおこなっている共同研究では、2020年代のなかば前後の実用化がめざされているといった状況です。

参考資料
旭化成ファーマ「慢性腎臓病になりやすい人と主な疾患」
https://www.asahikasei-pharma.co.jp/health/kidney/ckd/disease.html
旭化成ファーマ「腎移植Q&A 臓器提供できる人は」
https://www.asahikasei-pharma.co.jp/health/kidney/qa/offer.html
日本臓器移植ネットワーク「意思表示の方法」
https://www.jotnw.or.jp/learn/method/
2019年4月9日付「大日本住友製薬 iPS細胞由来の腎臓再生医療を共同研究・開発へ」
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=67297

| - | 23:16 | comments(0) | trackbacks(0)
小学校中学年に人気の本「ざんねんないきもの」から「どう生きるか」まで


よく売れる本は、どういう理由でよく売れるのか、なかなかわからないものです。「売れたから、よく売れた」ともいえそうなものです。

売れる理由の見えづらさは、おとなが読む本でも子どもが読む本でもおなじかもしれません。とくに、小学3年生や4年生の「中学年」とよばれる年代については、さまざまな知識を吸収する真っ只中にいますので、興味の向きかたはさまざまになるかもしれません。

2019年、小学生の中学年向けでは、どのような本が人気を博したのでしょうか。「gooランキング」が9月30日に「小学生の本の人気おすすめランキング30選」を発表しています。このなかで、「小学校中学年」または「小学校全般」を対象とした本を上位からとりあげてみると……。

『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(今泉忠明・丸山貴文共著、高橋書店刊)。動物の「ちょっと残念な一面」を伝える事典です。もちろん「ちょっと残念」と感じる主体は、動物たちでなく人間のほうですが。

『若おかみは小学生!』(令丈ヒロ子作、亜沙美絵、講談社刊)。2013年に完結したものの、テレビアニメ化や映画化もされ、全20巻で300万部以上の売りあげを記録しているもよう。主人公の「おっこ」が若おかみとしてい成長していく物語です。

『キミマイ きみの舞』(緒川さよ著、甘塩コメコ絵、講談社刊)。主人公の「結城沙羅」が、「超イケメン」の同級生「雪之丞」から日本舞踊を習うことになったことで生じるようになったハラハラドキドキの数々を伝えるもの。絵のかわいらしさなどが、女子小学生に受けているのかもしれません。

『エルマーのぼうけん』(ルース・スタイルス・ガネット作、渡辺茂男訳、 ルース・クリスマン・ガネット絵、福音館書店刊)。主人公「エルマー」が、竜の子どもを助けるための冒険を伝えるもの。旅の途中、エルマーは、おそろしい動物たちを、輪ゴムや歯ブラシなどの道具で工夫し、やりこめていきます。典型的な冒険ものといえそうです。「小学校低学年〜中学年」としています。

ほかには『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎原作、羽賀翔一漫画、マガジンハウス刊)、『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』(岩佐めぐみ作、高畑純絵、偕成社刊)、『ルドルフとイッパイアッテナ』(斉藤洋作、杉浦範茂絵、講談社刊)などが上位に入っています。

いずれにも共通しているのは、「文章だけでなく、絵も載せて、両方で示している」こと。この点は鉄則といえるのかもしれません。また、講談社の刊行物が多いことも傾向としては見られます。

いっぽうで、事典あり、文学作品あり、絵本ありと、分野は多岐にわたっています。これらの本は、やはり「売れたから、よく売れた」としかいいようがないのかもしれません。

参考資料
gooランキング 9月30日付「小学生の本の人気おすすめランキング30選 2019年最新」
https://ranking.goo.ne.jp/select/5583
ウィキペディア「若おかみは小学生!」
https://ja.wikipedia.org/wiki/若おかみは小学生!
講談社青い鳥文庫「キミマイ」
http://aoitori.kodansha.co.jp/series/kimimai/
福音館書店『エルマーのぼうけん』
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=9
| - | 18:22 | comments(0) | trackbacks(0)
「受けいれがたい」が「対立」をもたらす

写真作者:jan saudek

人は「対立」をします。対立とは、反対の立場にあるふたつの者が向かいあっていることを指します。大規模な対立としては、国家や民族のあいだでの戦争や紛争があります。ごく小さな規模では、隣人どうしの騒音をめぐるいがいみあいなどがあります。

どうして、人は対立するのでしょうか。

対立が生じた理由を探ると、「自分は、相手からのその要求を受けいれがたい」あるいは「相手のいいなりになりたくない」といった意識があるということにたどり着きます。

たとえば、となりの家から、自分の敷地だと思っている庭に、その家で出た家庭用電化製品の廃棄物を置かれたとします。口に出されないものの、隣人から「ここに、うちの要らなくなった家電を置かせてもらうからな」といった要求を突きつけられたわけです。

ここで、廃棄家電を置かれた人は、「はいわかりました。どうぞ」と言いなりになれるでしょうか。自分の敷地に他人のものを捨てられることに対しては、理不尽さを覚えるのではないでしょうか。

だれもが「良識」をもっているものです。しかし、その良識の度は人によって異なります。どこまでやって許されるかは、人により異なるとういことです。「ここまでは許してくれるだろう」という認識も生じれば、「こんなことをされて許すまじ」という認識が生じます。

「ここまでは良識の範囲だ」とか「ここまでは許容の範囲だ」といった認識が人によって異なることが、ごく小規模でも、大規模でも、人と人の対立をもたらすのではないでしょうか。
| - | 13:02 | comments(0) | trackbacks(0)
試験直前に覚えた「トゥール・ポワティエ」を問題紙に書いたら試験官から「いかんぞ」


中学生、高校生、大学生などの就学生たちは「試験」を受けます。中学生や高校生は中間テストや期末テスト、さらに入学試験に臨みます。大学生も大学院試験などに臨みます。

だれもが、試験に臨むわけですが、なかには不正をはたらいたとして、受験する権利をその場で奪われる人もいます。

では、つぎの場合は不正となるでしょうか。

ある“中学生経験者”は、中学校での期末試験で、社会科の試験をほぼ“一夜づけ”で臨もうとしていました。

社会科の試験では、地名などの固有名詞を問われる問題が出されるものです。たとえば、「732年、フランク王国とウマイヤ朝のあいだで起きた戦いをなんというか」といった問題が出されました。答は「トゥール・ポワティエ間の戦い」です。

一夜づけで臨んだこの中学生は、試験当日までべつのことを考えていたのでしょう。この戦いについての知識を得ていませんでした。

しかし、この中学生はねばりました。社会科の試験直前まで教科書を読み、「トゥール・ポワティエ間の戦い」が試験で出るかもしれないと感じたのでした。そこで、この中学生は、試験官の先生から「では、準備するように」と言われてからも、「トゥール・ポワティエ」「トゥール・ポワティエ間」「トゥール・ポワティエ」と、口で呟きつづけ、この固有名詞を忘れないようにしました。

「では教科書や参考書をしまって」と試験官から言われ、試験用紙が配られ、いざ試験開始。すると、この中学生はまっさきに、試験用紙に鉛筆で「トゥール・ポワティエ」と書いたそうです。この戦いの場所のよび名が、うろ覚えにならないために。

ところが、この中学生は、試験官の先生から「おい、お前。なにやってるんだ。いかんぞ」と、たしなめられたそうです。試験を受ける権利を奪われることはなかったそうですが。

この中学生は、試験直前まで教科書を見て、問題に出そうな「トゥール・ポワティエ」という地名を覚えようとしていたわけです。そして、その地名を忘れないため、試験開始後すぐ問題用紙に「トゥール・ポワティエ」と書いたわけです。

この“中学生経験者”は、「これのどこが『いかんぞ』なのでしょうか」と憤ります。「『直前に得た知識を、問題用紙に記してはいけない』といった規則が、その試験で課せられていないかぎり、この方法は不正とはいえないでしょう。『おい、お前。なにやってるんだ。いかんぞ』といってきた先生が、試験を受ける権利を奪わなかったことも、それを表しています」。

試験を受ける側の就学者は、めったに「試験を受けているとき、この行為は不正となる」といった規則を示されることなく、試験を受けます。なにをしてもよいか、悪いかは、常識の範囲とされているのでしょう。しかし、人により不正かどうかの判断が分かれる行為もあるもの。先生が「これは不正だ」と判断したら、不正となってしまうことはよくあることです。
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「物体が浮くか」を決めるのは浮力でなく密度


水のなかに入っているすべての物体は、浮力を受けます。浮力とは、その物体が水から受ける真上方向の力のことをさします。

どうして、浮力が生じるのか。これは、「水中の深いところにかかる水圧より、浅いところにかかるのほうが小さいから」です。水のなかにある物体は、すべての方向から水圧を受けています。けれどもその水圧の大きさはおなじでなく、水面から深くなればなるほど大きくなっていきます。深海まで行く潜水艦のつくりを頑丈にするのは、大きな水圧に耐えなければならないためです。

たとえ小さな物体であっても、水面から浅いほうと深いほうでは、深いほうが水圧が強いはず。深いほうで、より強い水圧がかかるため、物体はどちらかというと下のほうでより大きな水圧を受けることになります。これを真上方向のみ切りとったのが浮力というわけです。

水のなかにあるすべての物体は浮力を受けます。しかし、浮力を受けたからといって、かならずしもその物体が水に浮かぶとはかぎりません。

浮力の大きさは、その物体がどんな重さであっても、体積がおなじであれば、変わりません。ですので「浮力」とはいいながらも、その物体を浮力が決めているわけではないのです。

物体が水に浮くかどうかは、物体の密度が決めます。単純に、水の密度である「1立方センチメートルあたり1グラム」よりも密度が高ければ、その物体は沈みます。ぎゃくに水の密度より密度が低ければ、その物体は浮きます。

参考資料
ブリタニカ国際大百科事典「浮力」
https://kotobank.jp/word/浮力-127043
百科事典マイペディア「浮力」
https://kotobank.jp/word/浮力-127043
5-Daysこども文化科学館 2016年5月28日付「水に浮くモノ、沈むモノ」
http://www.pyonta.city.hiroshima.jp/blog/pages/number/334.html
| - | 17:31 | comments(0) | trackbacks(0)
「印度カレー」のインデアンカレー――カレーまみれのアネクドート(125)



カレーライスは、人の、とくに日本人の自由な発想と無限の創造性により、進化を遂げてきました。そもそも日本の「カレーライス」自体が、日本人の発想や創造性によりいまや定番食となったものです。「創造的なカレーの原点もまた創造されたカレー」といえます。

福岡・博多駅中央街にも、創造的なカレーを出す店があります。博多デイトス地下
1階に構える「印度カレー」です。

この店が「オリジナルメニュー」として出しているのが「インデアンカレー」。このよび名を聞くと、大阪発の甘くて辛いカレーをだす店を思いうかべる人もいるかもしれません。けれども、博多のインデアンカレーは印度カレーのインデアンカレー。こちらの店の創業は1971年だそうです。

博多のインデアンカレーは、ドライカレーライス、カレーソース、そしてハンバーグというみっつの大きな要素からなりたっています。

ライスは白いものではなくドライカレーライス。ところどころある青豆と干しぶどうの味がかなり際だっています。ドライカレーライスそのものの味は、ふつうにドライカレーを食べるときのよりはややカレー粉を抑えてあり控えめ。さらにカレーソースがかかることを計算してのことでしょう。

そのカレーソースは、小麦粉を使った昔ながらのソースといったところ。辛さもさほどありません。激辛がもてはやされる時代にも、しっかり腰を据えています。

そして、ドライカレーライスの頂で、カレーソースをかけられて乗せられているのがハンバーグです。この「カレーライスの頂にハンバーグ」という構図は、おなじ福岡市内にある「バークレー」のハンバーグカレーをも連想させます。手ごねなのでしょう、形は機械でつくるよりもいびつで、ひき肉も噛んで柔らかいところとやや固いところが散らばっています。ハンバーグ店で出されるものよりも、さすがに小ぶりではあります。

ドライカレー、ソース、ハンバーグ。このどれをとっても単品として食べればもの足りないことでしょう。しかし、どれもが単品として出されるように料理されたとしても、自己主張の強いみっつの者がぶつかりあったカレーライスになってしまいそう。

それぞれの主張がほどほどであればこそ、長く食べつづけられる博多のインデアンカレーはなりたっているのではないでしょうか。

印度カレーのサイトはこちらです。
http://www.indocurry.info
食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400101/40005820/

参考資料
福岡飲食店日記 2015年5月9日付「1971年創業!『印度カレー』」
http://fi-nikki.seesaa.net/article/418657353.html

| - | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0)
6ステップで「知識構成」を進める

写真作者:James Petts

2018年3月22日付のこのブログ記事「『本家 → 専門家たち → 本家』の手順で集団学習」は、米国の心理学者エリオット・アロンソ(1932-)が編みだした「ジグソー法」とよばれる集団での学習法についてとりあげたものでした。ごく大まかにいうと、「本家」の3人ないし4人が、それぞれ「専門家」として出ていって知識を得、それらの知識を「本家」にもちよって伝えあう、といったものです。みんなでジグソーパズルを解いて全体像を浮かびあがらせるような作業であることから「ジグソー法」と名づけられたといいます。

日本では、べつの「ジグソー法」が開発されています。その名も「知識構成鋳型ジグソー法」。東京大学の大学発教育支援コンソーシアム(CoREF:Consortium for Renovating Education of the Future)が開発したものです。

同コンソーシアムによると、アロンソのジグソー法と知識構成型ジグソー法では、ねらいが異なるとのこと。アロンソのジグソー法については「人種の融合など児童生徒の関わり合いの促進」にねらいがあったのに対し、知識構成型ジグソー法については「関わり合いを通して一人一人が学びを深めること」にねらいがあるといいます。

アロンソのジグソー法では、おおまかに「本家 → 専門家たち → 本家」の3段階の手順で進められると説明されます。いっぽう、知識構築型ジグソー法には、「0」から「5」まで5つの「ステップ」があると説明されています。それはつぎのようなもの。

「ステップ0 問いを設定」。先生が、その単元での「問い」を設定する。その「問い」は、3つか4つの知識をくみあわせれば解けるようなものにする。この「問い」を解くための資料を、知識ごとに準備しておく。

「ステップ1 自分のわかっていることを意識化」。子たちは、先生から「問い」を受けとる。はじめは1人で、その時点で思いつく答えを書いておく。

「ステップ2 専門家になる」。子たちは、おなじ資料を読みあうグループをつくり、その資料に書かれた意味や内容を話しあい、理解を深める。

「ステップ3 ジグソー活動で交換・統合する」。子たちは、自分とはちがう資料を読んだ子が1人ずついる新たなグループに入る。その新たなグループで、1人ずつが専門家として得た内容を説明していく。ほかの子からほかの知識についての説明を聞き、自分の知識とのかかわりなどを考える。そして、この新たなグループの子たちは知識をくみあわせ、「問い」に対する答えをつくる。

「ステップ4 クロストークで発表し、表現をみつける」。子たちは、出した答えを、根拠もふくめみんなに発表する。おたがいの答えと根拠を検討する。

「ステップ5 1人に戻る」。子たちは、1人で「問い」に対する答えをあらためて記す。

どうでしょうか。やはり、大きな節となるのが、「ステップ3 ジグソー活動で交換・統合する」ではないでしょうか。3つか4つある知識のうち、「その1つの知識」をもっているのは「その子」だけなので、その子はほかの子たちにその知識が伝わるよう説明しなければなりません。自分がどれくらいその知識を理解できているかなどを省みることになります。

知識構成型ジグソー法は、小学校や中学校でさまざまな授業でとり入れられているといいます。この方法の効果を感じている先生もいるのでは。また、知識構成型ジグソー法にかぎったことではありませんが、「型」のある授業法は、先生からすれば教えやすく、子どもからすれば身につけやすいものでもあるのでしょう。

参考資料
東京大学大学発教育支援コンソーシアム「知識構成型ジグソー法」
https://coref.u-tokyo.ac.jp/archives/5515
| - | 08:31 | comments(0) | trackbacks(0)
「HITOSAJI」のポークカレー――カレーまみれのアネクドート(124)
これまでの「カレーまみれのアネクドート」はこちら。



個人が経営するカレー店は、たいてい街のなかの一戸だてか、中小の大きさの商業施設の一室にあるもの。するとたいていの人は、「カレー屋をめざして、そこに行く」ことになります。

しかし、なかには大型複合施設に店を構える個人経営のカレー店もあります。綿密な市場調査の末にそうなった店も、たまたま空きがそこだけで構えることにしたという店もあるでしょうが。

東京・大崎の「大崎ゲートシティ」にある、コーヒーとカレーの店「HITOSAJI」も、そんな大型施設の個人経営店といったたたずまいです。

JR大崎駅のほうから、西棟2階を抜けて、中華料理店に脇目もあたえず、東棟の回廊をずっと歩いていきます。いちばん奥にある飲食店が「HITOSAJI」。東棟の吹ぬけのつくりを利用して、屋内なのに店の外にも座席が置かれています。ただ、きりもりする店の人がすくないため、店の内に座席があるようなら、そちらに座るほうが親切かもしれません。

「定番メニュー」とされる料理のひとつが「ポークカレー(辛口)」。この店には、おなじく定番メニューの「牛すじ煮込みカレー」のほか、「ロース/チキンカツカレー」や数量限定のカレー、またトッピングもとり揃えられていますが、「ポークカレー(辛口)」に使われるカレーソースこそが、汎用的なソースなのだそう。

出てきたポークカレーは、チェーン店やファミリーレストランなどのカレーにくらべて量多め。ライスは250グラムが「ふつう」です。そのライスには、ほんのわずか茶色く染まっています。コーヒーとカレーの店なので、ひょっとするとひょっとするかもしれません……。

カレーソースのほうは「辛口」とはあるものの、さほど辛くはありません。「牛すじ煮込みカレーよりは辛口」といった意味あいが強いことでしょう。

ソースのなかに見える具材は豚肉のみですが、その大きさと量ともにしっかりとしています。ソースとの相性もよし。

「HITOSAJI」をめざして大崎ゲートシティを訪れる人もいるでしょうが、大崎ゲートシティに入って「HITOSAJI」を見つける人もいるでしょう。前者はもちろん、後者も「きちんとつくったカレー」に満足する人は多いのではないでしょうか。

「HITOSAJI」の食べログ情報はこちらです。
https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131604/13222005/
| - | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0)
「年収全国3位」北海道の村、産業の原点に石川県の村びと
総務省が毎年発表している、全国の市町村の課税状況から、その自治体の住民1人あたりの1年間の所得がわかってしまうとのことです。その計算をしたマス媒体が、「市町村別年収ランキング」といった記事をいくつか出しています。

2019年2月の時点での1位はというと、東京都港区で1115万1998円だったとのこと。1人あたりに均して1000万円を超えるというのですから大したものです。つづく2位は東京都千代田区で944万7612円。

3位はというと……。北海道の猿払村が入っています。東京都の渋谷区や中央区を抑えての堂々の3位入りです。


猿払村
google earth pro

東京の区にくらべたら知名度も高くない猿払村に、どんな高所得の要因があるのでしょうか。

猿払村は北海道の稚内市の南東にある村。ほかに、豊富町、幌延町、浜頓別町にも隣接しています。2019年11月時点での人口は2765人で世帯数は1282とのこと。

村のサイトの「むらの地勢」には、つぎのような説明が見られます。

「東部は約33kmの海岸線を通じて豊富な水産資源を誇るオホーツク海を臨み……」

豊富な水産資源。これこそが、猿払村の人たちの所得を高めているおもな要因ではないでしょうか。では、どんな水産資源があるのか。おなじく村のサイトの「特産品」のページには、水産資源にかかわるものとして「ほたてソフト貝柱」「ほたて貝柱(冷凍)」「ホタテカレー(レトルト各種)」「帆立のり」「天然ほたて」「みみくん(ほたて珍味)」などとあります。ほかには「毛がに」「鮭」があるくらい。

村が33キロメートルにわたり面するオホーツク海で獲れるホタテこそが、高所得の要因であることにちがいなさそうです。村のサイトによると、天然ホタテの水揚げ量は「日本一を誇るまでに安定成長」を重ねたとのこと。

さらに村の広報誌『広報さるふつ』2019年11月号には、石川県の内灘村(いまの内灘町)の漁民たちが、猿払村のホタテ産業の隆盛に大きく貢献したといったことが書かれています。

「内灘村(現内灘町)漁民の姿は、明治期前半から大正初期にかけて、数百隻にも及んだとされています。(略)浜が活気を帯びる一方で、当然その情報を得て、猿払沖でのホタテ漁を試みる人も増えましたが、漁法や貝柱生産などの技術に優れた内灘漁民とは格段の差があり、また家族ぐるみで故郷を離れて働く石川漁民の根性は圧倒的だったとされています」

いまの「年収ランキング全国第3位」も、もとをたどれば猿払村から遠く離れた石川県の村びとたちの「技」と「根性」があったようです。

参考資料
WEPICKS!「市区町村別の平均年収ランキング 総務省平成29年度(2019年2月現在)」
https://wepicks.net/changejobs-it-averageincome/
猿払村サイト
http://www.vill.sarufutsu.hokkaido.jp
猿払村『広報さるふつ』2019年11月号「温故知新 其の五 猿払漁業の始まり」
http://www.vill.sarufutsu.hokkaido.jp/book/files/20191127389989/99.pdf
| - | 16:52 | comments(0) | trackbacks(0)
高地での練習で赤血球を増やす

]
写真作者:Kousuke Sekidou

陸上競技の長距離走などのように、じゅうぶんな呼吸をしながら運動をする有酸素運動系の選手のなかには、標高の高いところで練習を積む人もいます。「高地トレーニング」とよばれます。

標高の高い場所での酸素は薄い。そうした場所で呼吸をともなう運動をすると、酸素の薄さにからだが慣れていきます。そうしたからだをつくって標高の低い場所での試合に臨むと、よい成績を出せやすくなるというわけです。

では、からだはどのように低酸素の状態に慣れていくしくみをもっているのか。ヒトをふくむ動物たちがもっている、この「低酸素応答」とよばれるしくみを解明した3人の研究者に対し、2019年のノーベル生理学・医学賞が贈られています。

受賞者のひとり、米国の医学者グレッグ・セメンザ氏は、赤血球をつくることを促すホルモンであるエリスロポエチンの遺伝子の転写量を制御する要素を、デオキシリボ核酸(DNA:DeoxyriboNucleic Acid)のなかから見つけだしました。転写量とは、遺伝子が相対するリボ核酸(RNA:RiboNucleic Acid)に写しとられる量のことを指し、転写量が多いほど、その遺伝子は「スイッチオン」になりやすくなります。

さらにセメンザ氏は、このエリスロポエチン遺伝子の転写量を制御する要素に結びつくタンパク質「低酸素応答誘導因子」を発見してもいます。

また、ほかの受賞者である米国の医学者ウィリアム・ケーリン氏と、英国の腎臓医ピーター・ラトクリフ卿は、この低酸素応答誘導因子が、酸素があるかないかに応じて、低酸素応答が生じないか生じるかを分けるしくみを解きあかしました。

ふつうの酸素の濃さでは、低酸素応答誘導因子は完成されずに分解されてしまいます。そのため、エリスロポエチン遺伝子の転写量を制御する要素と結合せず、エリスロポエチン遺伝子を「スイッチオン」させることができません。

対して、酸素が薄いと、低酸素応答誘導因子は分解されず、エリスロポエチン遺伝子の転写量を制御する要素と結合して、エリスロポエチン遺伝子を「スイッチオン」させます。

こうしたしくみがわかったことにより、赤血球をつくるための薬の開発も進んでいます。いっぽうで、エリスロポエチンは運動競技のドーピングの対象物にもなっており、2009年には自転車競技の選手たちからエリスロポエチンが検出されました。

高地トレーニングで有酸素運動の能力を鍛えることは許されても、物質を摂取してそれをかなえることは禁じられているわけです。

参考資料
日経サイエンス 2019年12月号「詳報:ノーベル賞 生理学・ 医学賞:低酸素環境に応答するメカニズムの解明」
http://www.nikkei-science.com/201912_014.html
日本科学未来館 2019年10月7日付「速報 2019年のノーベル生理学・医学賞は細胞の低酸素応答で米英の3博士」
https://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/201910072019-4.html
浜島書店生物図表Web 2019年10月17日付「2019年ノーベル生理学・医学賞『低酸素応答』」
https://www.hamajima.co.jp/bio/2019/10/17/2019年ノーベル生理学・医学賞「低酸素応答」/
ウィキペディア「エリスロポエチン」
https://ja.wikipedia.org/wiki/エリスロポエチン

| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
保守・運転してきた車両に「惜別」の想い
日本人は、生きていないものにも感情を入れる性質をもちがちとされます。探偵ナイトスクープでの、16年乗っていた愛車に別れを告げる「ヴィヴィオくんの最期」という回にもらい泣きした人も多いことでしょう。

千葉県習志野市にあるJR京葉線の新習志野駅には、「日本からジャカルタへ 海を渡る回送列車」というポスターが掲げられています。JR武蔵野線の車両「205系」が、インドネシア通勤鉄道に譲渡されたことを伝えるものです。



ポスターには、「205系が京葉線で走っている頃から約30年、メンテナンスを担当していて、とても愛着のある車両です」とあります。

そして、「205系から学んだ経験への感謝と、惜別の気持ち」を込めて「回送列車」として走らせることを検討していたようですが、「今後も大切に使われて活躍し続けることへの想い」などから、回送列車の行き先表示に「ジャカルタ」を掲げたとのこと。「車両が花道を飾れる」との考えがあったようです。

長いこと保守をし、多くの通勤・通学また行楽の人びとを乗せて走らせていた車両に対して「惜別の気持ち」がわくのも、日本人であれば「そのとおりだ」と感じるのではないでしょうか。

2018年3月、「むさしのドリームジャカルタ行き」とよばれる車両が新習志野駅を出発し、高崎線や上越線を経て船づみされ、インドネシアのジャカルタへと旅立っていきました。これまでも、埼京線、横浜線、南武線で走っていた205系車両がインドネシア向けに譲渡されていました。そこに「仲間入り」したことになります。

譲渡される武蔵野線205系は、8両の36編成で合計288両。大規模であるため、2020年まで「惜別」の譲渡はつづくようです。


新習志野駅に掲げられた「ジャカルタ行き回送列車 撮影の記録」

参考資料
JR新習志野駅ポスター「日本からジャカルタへ 海を渡る回送列車」
http://img-cdn.jg.jugem.jp/b82/15839/20191124_3158121.jpg
東洋経済オンライン 2018年3月7日付「JR東日本が『中古車両』を海外に譲渡する狙い」
https://toyokeizai.net/articles/-/211051
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
「サイボーグ」1960年の論文「サイボーグと宇宙」から

写真作者:Trending Topics 2019

「ロボット」は、かつてあったチェコソロバキアという国の作家カレル・チャペック作の戯曲『R・U・R』で用いられた造語であるのは知られる話です。「強制労働」を意味するチェコ語「ロボタ」などからチャペックが創ったとされます。

では、「サイボーグ」の由来はどうでしょう。生きものに、とくに意識しないでも
機能が調節・制御される装置を移植した体のことを「サイボーグ」といいますが、このことばはどこからやってきたのか。

1960年、オーストリア出身の発明者マンフレッド・クラインズ(1925-)と、米国の科学者ネイサン・クライン(1916-1983)が、その名も「サイボーグと宇宙」という論文を発表しました。これが、「サイボーグ」ということばの初出とされます。

この論文は、人が宇宙で活動するときは、地球の環境を宇宙にもっていくよりも、その人のからだを宇宙環境に合わせるようにしたほうが合理的であり、人にとって無意識に自己調整されるような制御をもたらす人工器官がその可能性としてある、といったことを述べたもの。

そして「サイボーグ」という用語については、無意識的に恒常性を保つしくみとしての外的に拡張された組織的な複合機能に対し、このことばを提案するとしています。つまり、人の内側にあり無意識でもはたらきつづける臓器や器官のようなしくみを、人の外側からもってくるという考えを「サイボーグ」ということばに込めたわけです。

「サイボーグ」(cyborg)ということばそのものは、クラインズが「サイバネティック・オーガニズム」(CYBernetic ORGanism)という2文字をくっつけて創ったものとされます。ただし、この論文「サイボーグと宇宙」のなかには、「サイバネティック・オーガニズム」の略語であるという記述は見られません。

いま、国語辞典や百科事典では「サイボーグ」に対し、「宇宙空間や海底などの特殊な環境に順応できるように、人工臓器でからだの一部を改造した人間。改造人間」(デジタル大辞泉)や「人間と機械が一体となり、意識することなしに機械が自律的調節系として働く、人間‐機械統合体のこと」(日本大百科事典)といった意味があたえられています。

参考資料
言語由来辞典「ロボット」
http://gogen-allguide.com/ro/robot.html
Manfred E. Clynes and Nathan S. Kline “Cyborg and space”
http://web.mit.edu/digitalapollo/Documents/Chapter1/cyborgs.pdf
東京創元社 Webミステリー 2016年6月6日付「載エッセイ 高島雄哉『想像力のパルタージュ 新しいSFの言葉をさがして』第15回」
http://www.webmysteries.jp/archives/12244555.html
デジタル大辞泉「サイボーグ」
https://kotobank.jp/word/サイボーグ-68244
日本大百科全書「サイボーグ」
https://kotobank.jp/word/サイボーグ-68244
| - | 14:40 | comments(0) | trackbacks(0)
レジでの「手もちぶさた」から感染するおそれも


風邪やインフルエンザが流行る時期になってきました。いかがお過ごしでしょうか。

秋や冬になり空気が乾いてくると、病気のもととなるウイルスたちも水分を減らして身軽になり、ふわふわと漂うようになります。人の体のほうも寒くなると抵抗力が弱ま理ます。これらの理由で、風邪やインフルエンザが流行るとされます。

ウイルスが感染する経路には、くしゃみやせきによって飛びちったウイルスが、ほかの人の口や鼻に入り感染する「飛沫感染」のほか、ウイルスがついたものに触れた手で口や鼻に触れることで口や鼻に入り感染する「接触感染」があります。

統計やデータのとりようがないものの、人の「手もちぶさたによるしぐさ」、つまり、なにもすることがなくて間がもたずについしてしまう動きが、接触感染を増やすおそれはあるのではないでしょうか。

たとえば、店のレジスターでは、店員と客のあいだでお金や領収書のやりとりがおこなわれます。このとき、「客が、店員のレジスター打ちを待つ」「店員が、レジスタカーから領収書が出てくるのを待つ」とか、ほんの数秒の「なにもすることのない間」が生じることがあります。スマートフォンを取りだしていじるよりも短いぐらいの間が。

するとどうでしょう。かなりの人が、指で鼻をいじっているではありませんか。鼻のあたまを人さし指と親指でつまんだり、鼻の穴あたりを人さし指の側面でこすったり。さすがに、鼻くそをほじる人はいないでしょうが……。

鼻のまわりは、当然ながらウイルスがつきやすい場所です。手もちぶさたということで、その「感染地帯」を指でさわるわけです。そして直後にその指でお札を持って店員に渡したり、レシートを持って客に渡したりします。渡す側の人がウイルスをもっていたとしたら、かなりの確率で相手にもウイルスが行くことになるのではないでしょうか。

つまり、接触感染のきっかけは、店のレジスターでの「手もちぶさた」な状況にあるという説です。そうしたことでの接触感染がありうるのを見こして、マスクをつけている店員も多いのかもしれません。

人は、相手と至近距離で向かいあっているとき、なにもしないで過ごすことにはなかなか耐えられないもののようです。

参考資料
エステー 身近な疑問「冬になると、風邪やインフルエンザが流行するのはなぜですか?」
https://products.st-c.co.jp/plus/question/answer/14.html
Kracie「かぜをひかない! そのためにかぜのメカニズムを知ろう」
http://www.kracie.co.jp/ph/k-kampo/hikihajime_no_hikihajime/kaze.html
| - | 19:32 | comments(0) | trackbacks(0)
エンタテイメントを工学の研究対象に

写真作者:The IET

娯楽も人の営みであり、おもしろいものから詰まらないものまであるのですから、「どうしたら娯楽の質を上げられるか」といったことが研究対象になってもよいはずです。娯楽にコンピュータを使うことも多いため、いかにコンピュータを駆使させるかといったことも課題となるはずです。

娯楽作品を創造するための工学の研究分野があります。その名は「エンタテインメント・コンピューティング」。すでに1998年には情報処理学会という学会において、「エンタテインメントコンピューティング研究グループ」という集団が活動を始めていたといいます。

いまも、情報処理学会では「エンタテインメントコンピューティング研究会」が組織されていて、研究発表会なども定期的におこなわわれているもよう。

では研究者たちは、具体的にどういった課題にとりくんでいるのでしょうか。ここでは、研究発表会とエンタテインメントコンピューティングシンポジウムにおける学生による研究発表から優秀なものを表彰する「学生優秀賞」に選ばれた研究のうち主だったものを見てみます。

「人間による二次元キャラクタの動作模倣のための学習支援システムの設計と実装」。人間が2次元のキャラクターを演じるうえで動作模倣をするための学習支援システムを提案するもの。キャラクターが1回転半してから右手でポーズを決める動作では有効であることを示しました。

「動的なフォント融合による文字デザイン支援手法」。すでに使われている書体(フォント)を使用者の目的に合うように「ブレンド」し、新たな書体を動的に生成する方法を提案しています。

「魅力的な自撮り写真生成のための『盛り』における性差の基礎検討」。魅力的な自撮り写真を自動生成するしくみの開発をめざし、色味を操作した自撮りの魅力評価が、撮られる人と見る人の性別によって影響されるかを明らかにしたもの。被写体が男性であれば青く、女性であれば赤く色味を変化させる傾向があることや、見る人が男性であるときは色味の変化は小さく、女性であるときは色味の変化を大きくした自撮りが魅力的と判断されやすい、といったことがわかりました。

娯楽やエンタテインメントとよばれるものの対象はとても広いため、おこなわれる研究も多岐にわたるようです。時代を築くような研究成果も、イグノーベル賞が贈られるような研究成果もありそうです。

参考資料
星野准一ら「エンタテインメントコンピューティングの現状と展望」
田中大賀ら「人間による二次元キャラクタの動作模倣のための学習支援システムの設計と実装」
斉藤絢基・中村聡史「動的なフォント融合による文字デザイン支援手法」
森本傑・橋田朋子「魅力的な自撮り写真生成のための『盛り』における性差の基礎検討」
エンタテインメントコンピューティング研究会「学生優秀賞」
http://entcomp.org/sig/?page_id=680
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
からだと車いすを一体化させる

写真作者:Hayato.D

世の中にある「操作する道具」の多くは、人のからだとの接点があります。たとえば、操作して走らせる自動車では、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルが、人のからだとの接点となります。また、操作して情報を得たり伝えたりするスマートフォンでは、画面が人のからだとの接点となります。

人のからだとの接点があるということは、それらの道具は、操作する人からしてみれば「自分のからだの延長線上にあるもの」と捉えることができます。

手や足など、自分のからだのどこかを動かすとき、もし自分の意のままに動いてくれなかったら、相当なストレスを感じることでしょう。操作する道具も「自分のからだの延長線上にあるもの」とすれば、それらの道具に対しても「意のままに動く」ことを求めてしかるべきということになります。

車いすバスケットボールや車いすテニスなど、車いすを使った運動競技では「人車一体」という表現があるといいます。自分のからだを動かすような感覚で、乗っている車いすを動かすといった意味です。もとい、「車いすに乗っている」といった感覚さえ抱かないほどに、車いすが自分のからだの一部と化しているといった意味といえます。

人のほうが、車いすの動きかたに慣れていくといった側面はあるでしょう。しかし、人が動かなければ車いすは動きません。この関係性からすれば、「人の操作性や操作感に、車いすのほうが近づいていくべき」と考えるほうが、むしろふさわしい。そう考えて「人車一体」をめざすほうが、車いすの操作性は高まり、進歩していくことでしょう。

自分のからだと操作する道具が一体化する。そうした考えの先に、「からだから取りはずさなくてもよい道具」さらには「意識的にはたらかさなくても、人体と一体化して動作してくれる機械と生体との結合体」の存在があるのでしょう。

参考資料
朝日新聞 チャレンジド「第3回『人車一体』の境地へ」
http://www.asahi.com/special/challenged/tennis/kamiji/03.html?=fromFooter
ブリタニカ国際大百科事典「サイボーグ」
https://kotobank.jp/word/サイボーグ-68244
| - | 20:25 | comments(0) | trackbacks(0)
「またべつの災難に遭うかもしれない」

写真作者:Minoru Nitta

自分の身に災難がふりかかってきたとき、どのようなことを思いいだくでしょうか。つぎのふたつでは、どちらでしょうか。

「こんな災難もうごめんだ。早く元に戻りたい」

「こんな災難に遭ったということは、またべつの災難に遭うかもしれない」

たいていの人は、その時点で起きている災難に向きあうことで精一杯となり、「こんな災難もうごめんだ。早く元に戻りたい」といった思いを抱くのではないでしょうか。災難が起きている最中に「また新たな災難に遭うかもしれない」とは考えづらいものです。

しかし、そもそも「災難が起きている」という状況は、災難が起きていない平時の状況にくらべて、「べつの災難」を引きおこしやすいといえるのではないでしょうか。災難が起きている状況のほうが平時よりも「異常」であり、その「異常」が「新たな異常」を生みだすことも多いからです。

「複合災害」とよばれる災害があります。いくつもの災害がほぼ同時に生じることをさします。典型的な例としては、大地震が生じた直後に津波が海岸に押しよせ、両方で被害が出るといったものがあります。大地震という滅多に経験しない現象を体験した直後に、津波というこれまた滅多に経験しない現象がたてつづけに自分の身にふりかかってきます。さらに、津波により石油などの燃料に火がつき、火災が生じることもあります。複合災害がさらに深刻化した例といえます。

地震については、揺れにより堤防が破壊し、そこから川が決壊するといったことでの複合災害もあります。これらからすると、「大地震はほかの災害をももたらす」と考えておいたほうが、備えにつながるでしょう。

台風についても、暴風、洪水、高潮などからなる複合災害をもたらす危険性をもっています。実際、2019年の台風19号では、風水害で考えられるほとんどの災害を引きおこしました。

人の心理はなかなか改めづらいものではあります。しかし、自分になにか災難がふりかかったとき、「またべつの災難に遭う」おそれが高まっていることをを心にとめておくだけでも、実際に「べつの災難」が起きたときの備えにすこしはつながるのではないでしょうか。

参考資料
Bousai Tech 2018年5月22日付「複合災害とは? その災害事例と防災対策について」
https://bousai-tech.com/saigai/complex-disaster/
板垣修ら「自然災害対策に当たって複合災害はどのように考慮されるべきか」
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/2015report/ar2015hp025.pdf
| - | 10:15 | comments(0) | trackbacks(0)
投機や賭けに投資する「率」を定めれば、それ以上の損は生じない


写真作者:Lionel Roubeyrie

未来の価格が変わることを予想して、価格差から生じる利益を目あてにおこなう売りかいを「投機」といいます。競馬や競艇などの勝負ごとで「これが勝つ」などとお金を出しあい、当たった人がそのお金を受けとることを「賭け」といいます。

こうした「投機」や「賭け」は、一度の機会に儲けることができるものの、なかなか儲けられず損を重ねつづけることもあります。「今回うまくいかなかったから、次回に倍額の元金を出して、一気にとりかえそう」などと考えて実践したものの、実際は損額が膨らむことも多々あることでしょう。

統計学的に、その投機や賭けをすることで損をすると算出されている場合は、その投機や賭けをしないほうが、損額をふくらませずに済むことでしょう。

しかし、人はつい賭けごとに負けると、「元金をとりかえさなければ」と、あらたな賭けごとに手を出してしまうもの。しかし、その賭けごとが全体的に「損する」ようにできていれば、それに賭けることで利を得る人はさほどいません。

それでも投機や賭けをしたい人が、損を出さないようにするにはどうすればよいのでしょうか。

ひとつの考えかたとして、「額でなく率をもって投機や賭けをする」といったことがあります。

たとえば、年収が1000万円の人がいるとします。その人が株や先物取引に100万円を原資に投機しようとしています。しかし、うまくいかず100万円以上の損失に。投資する額を定めずに「損したから、とりもどそう」と考えると、さらに投資額が増えていき、際限なくなるおそれも。

いっぽう、「所得の10%を上限に投機の原資にしょう」などとあらかじめ定めておけば、1年前年の年収1000万円から100万円を原資となります。この原資のかぎりで、たとえばさらに100円、儲かれば、その100万円も損することのない投機額として使うことができます。

つまり、「自分は、所得金のうち、この率を投機や賭けに使う」という定めをみずから課していれば、理論上それ以上の損額は出ないわけです。

この考えかたは、企業が採算を度がえしして「とにかく店舗をいまの2倍にしよう」と闇雲に走るよりも、「利益のうちこの率を、わが社の成長のために使おう」と計画的に拡大していくといった戦略とも通じる点があります。

| - | 15:07 | comments(0) | trackbacks(0)
「あ・ら・もーど」のカレーパン――カレーまみれのアネクドート(123)
これまでの「カレーまみれのアネクドート」はこちら。



カレーパンは、カレーを入れたパン生地を油で揚げた、日本で発祥したパンです。東京・森下の「カトレア」というパン屋を営む中田豊治が1927(昭和2)年、実用新案の登録をしたことをもって「誕生」したという説が有力です。

パンの種類としてカレーパンが「あたりまえ」となったいまでは、各パン店で「ご当地」だからこその特色をもたせたカレーパンを売りだすようになっています。

東京・秋川のパン店「あ・ら・もーど」では、「秋川牛カレーパン」とよぶカレーパンを店の看板商品に掲げています。店の前にはためく「秋川牛カレーパン」という旗に誘われて店に入る人もいるのでは……。

「あきる野・檜原タウン情報」というサイトによると、秋川牛とは、仔牛を岩手県の水稲地区より買いつけし、あきる野市の竹内牧場で育てた東京都産の高級和牛とのこと。和牛には、強いブランド力があります。

「あ・ら・もーど」は、この秋川牛をとり扱う、あきる野市内の村松商店から仕入れた牛肉を使い、カレーパンをつくっているとのこと。店のサイトには「野菜とフルーツを炒めるときにも、炒めた野菜とフルーツを煮るときにも秋川牛を使うなど、秋川牛を随所で使っています」とあり、肉の具材以外でも、この秋川牛を使っていることがわかります。

実際のカレーパンでは、価格設定もほかの店のカレーパンとあまり変わらず、牛肉が使われているかどうかはわかりづらいものの、こんがりと揚げられた衣を破ると、具材も豊富なカレーが詰まっていることがわかります。歯ざわりの中で若干の牛肉の存在を感じる人もいるのではないでしょうか。

カレーパンが日本における「外からやってきた定番料理」のひとつとなったいま、パン店では、いかにほかの店とのちがいを生みだすかが課題なのでしょう。「その場所ならではのご当地カレーパン」は、その答のひとつといえます。

「あ・ら・もーど」のカレーパン紹介ページはこちらです。
http://alamode-pan.com/curry.html
同店の食べログ情報はこちら。
https://tabelog.com/tokyo/A1330/A133001/13121599/

参考資料
あ・ら・もーど「自慢のカレーパン」
http://alamode-pan.com/curry.html
あきる野・檜原タウン情報「村松精肉店」
http://akiruno.town-info.com/units/36232/matushin/
日本テレビ「秋川牛」
http://www.ntv.co.jp/burari/090801/info05.html
西の風 2019年2月7日付「秋川牛カレーパンの店 『あ・ら・もーど』が20周年」
https://nishi-no-kaze.home.blog/2019/02/07/秋川牛カレーパンの店-「あ・ら・もーど」が20周/
| - | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0)
反対側の電車が出発するのを待って出発することも

写真作者:MiNe

1時間に15本も20本も電車が走る線では、ダイヤグラムが乱れることがよくあります。前方の駅で人身事故がなどがあり、運転を見あわせることはもとより、「あとを走る電車が遅れているため」とのことで、乗っている電車が駅でしばし停まることも。

なかには、車掌が車内放送でつぎのようなことを伝え、電車がしばし停まることもあります。

「反対側の電車が出発するのを待ってから、この電車は出発します」

本数のすくない単線の鉄道で、上りと下りの列車が行きちがいをするようなときは、片方の電車が、もう片方の電車がくるのを待たなければなりません。しかし、この車内放送が流れたのは複線となっている東京の地下鉄。しかも「電車がくるのを待ってから」でなく「出発するのを待ってから」と車掌は言っています。

なぜ、反対側の電車が出発するのを待ってから、電車を出発させなければならないのでしょうか。

ホームのつくりによっては、乗客の乗りおりが済んだことを、車掌だけで把握するのがむずかしい駅もあります。そのため、車掌からは見えづらいホーム前方に駅員などの係を置くことに。この駅員が「ホーム前方でも乗りおりは済んだので、安全よし」といった旨のことを車掌に伝えることで、電車を出発させるわけです。

しかし、時間帯によっては、そうした係が1人しかホームにいないこともあるもよう。

すると、片方の電車に対してその1人の係が対応しているときは、もう片方の電車を出発させることができません。まず、ホームに早く入線してきた電車について「安全よし」となり出発してから、今度は遅れて入線してきた向かい側の電車の安全確認をとるわけです。上りと下りでは「ホーム前方」は反対の位置にあるので、移動する時間もかかることでしょう。

そのため、車掌の「反対側の電車が出発するのを待ってから、この電車は出発します」との車内放送が流れることになるわけです。

反対側の電車が出発するのを待つ時間はせいぜい1分ぐらいなので、運転見あわせほどの影響が出ることではありません。目くじらを立てず「定時運行よりも安全確保を優先する姿勢を感じなぁ」といったぐらいに受けとめるほうがよいかもしれません。
| - | 12:11 | comments(0) | trackbacks(0)
21世紀は「感知」の時代でもある

写真作者:Leon Ziegler

「21世紀は何々の時代」とよくいわれます。「何々」にはたいてい「生命科学」や「バイオ」といった生物学関連のことばがよく入るようですが、工学関連では「21世紀は感知の時代」ともいえるのではないでしょうか。つまり「感知機」ともよばれる「センサ」を駆使した時代ということです。

センサとは、大きくいえば、知ろうとする対象の情報を、扱うことのできる信号に変換する素子のことをいいます。より具体的には、物理学で扱われるような量を計測しようとするとき、その測定に適した信号に変換するための器具のことをさします。

このように、わりかし広い意味で「センサ」ということばが使われているため、センサの手段や目的にはいくつもの種類があります。いくつか拾ってみると。

光電センサ。赤外線などの見えないものもふくむ「光」を発光部から発し、対象物に当たって反射する光や、対象物に遮られた分だけ減る光の量などを受光部で検出して、信号に変換するものです。対象物に触れることがないため、対象物を傷つけることがありません。

ミリ波レーダーセンサ。光電センサとおなじような原理のセンサですが、「ミリ波」とよばれる波長が1ミリメートルから10ミリメートル、周波数にして30ギガヘルツから300ギガヘルツの電磁波を使います。この周波数帯の電磁波は、直線に進む性質をもっています。

レーザセンサ。単波長で位相のそろった光である「レーザー」を使ったセンサです。レーザは、対象物のどこに光を当てているかが見えるため、焦点の調整がしやすいといった利点があります。

超音波センサ。光をふくむ電磁波を使うのではなく、もうひとつの波である「超音波」を使います。発信した超音波が、対象物に当たって跳ねかえり、ふたたび発信した場所まで戻ってくるときの時間を測ることで、対象物までの距離を求めることができます。光電センサなどとちがって、対象物の材質や色の影響を受けず、検出距離も長くとれるといった利点がある反面、精度があまり高くなかったり、反応は音だけあって遅かったりといった短所もあります。

画像判別センサ。カメラで撮影した画像の情報から、対象物があるかないかや、色や形はどういったものかなどの特徴を得るためのセンサです。1枚の画像からさまざまな情報を得られます。

ほかにも、全地球無線測位システム(GPS:Global Positioning System)を用いたセンサや、加速度を測るための加速度センサ、また、角速度の時間変化率である角加速度を測るためのジャイロセンサなどもあります。

それぞれの特徴をくみあわせることで、世の中のさまざまな「状況」や「変化」を感知することができます。データをもとに傾向を把握したり、モノとモノをインターネットでつなげて利用したりといったことができるのは、これらのセンサがあるからともいえます。

参考資料
ブリタニカ国際大百科事典「センサ」
https://kotobank.jp/word/センサ-169104
センサとは.com「9つのセンサを原理と特徴から解説」
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/
ZMP「ミリ波レーダー」
https://www.zmp.co.jp/knowledge/ad_top/dev/sensor
マクニカ 2018年7月6日付「ミリ波センサとは 5分でわかる概要」
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/texas_instruments/128213/
MONO WIRELESS「IoTとは?」
https://mono-wireless.com/jp/tech/Internet_of_Things.html
| - | 15:27 | comments(0) | trackbacks(0)
「雲」とともに「端」も使う

写真作者:FifthLegend

一昔まえ、2000年代なかばごろには「クラウドコンピューティング万能論」のようなものがありました。

自分のコンピュータでなく、インターネット上にあるサーバによりデータ処理する方法が「クラウドコンピューティング」です。負荷のかかるようなデータの処理や管理を、データセンターなどの施設に置かれたコンピュータに担わせれば、大容量で高性能なコンピュータを手元にもっておく必要はなくなり、データの安全性も高くなるといった話です。

実際に、クラウドコンピューティングが使われるようになり、クラウドにあるデータを伝送して、ソフトウェアを使ったり動画を見たりすることもあたりまえとなりました。

しかし、ここにきて「クラウドコンピューティングは万能ではなく、それなりに課題がある」といわれるようになってきています。そこには、情報通信技術の進歩の速さに、クラウドコンピューティングが対応しきれなくなったという側面もあるでしょう。

課題のひとつとしてあげられるのは、クラウドのサーバから各端末にデータが伝送されるとき、途中に負荷のかかりすぎる経路が生じてしまうということです。また、クラウドのサーバにあるデータを利用しようとすると、1秒未満から数秒ぐらいの時間差が生じてしまい、即時的にデータを使うことができない、といった課題もあげられています。

さらに、組織の内部にとどめておきたい秘匿性の高いデータは、そのままクラウドのサーバに送信することができないといった課題や、クラウドサービスが何らかの障害で使えなくなったときに復旧まで時間がかかるといったことも指摘されているようです。

クラウドコンピューティングが使われはじめたころは、こうした課題はあまりいわれず、「データはクラウドに預けるほうが安全」「データセンターは頑強」などといわれていたはずなのですが……。

近ごろは、クラウドコンピューティングでいわれるようになったこれらの課題を軽減し、クラウドの役割を補完することを謳った「エッジコンピューティング」という技術もさかんに開発されるようになっています。

「エッジ」とは「端」のこと。エッジコンピューティングは、端末の近くにサーバを分散配置して使う技術のこと。クラウドコンピューティングをひきつづき使いながらも、迅速で即時的なデータ処理が必要なときは、端末機器に近い場所でデータ処理をおこなうといった考えかたにもとづくものです。

世のなかに「モノのインターネット」が増えていくなかで、より端末に近いところでのデータ処理の大切さを、あらためて人びとが感じるようになったともいえそうです。

参考資料
ビジネス+IT 2019年1月25日付「エッジコンピューティングとは何か? IoTの関連事例や課題、市場動向まとめ」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/35432
NTTデータ「IoT時代に注目される『エッジコンピューティング』」
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2018/1122/
キーエンス 製造現場で役立つIoT用語辞典「エッジコンピューティング」
https://www.keyence.co.jp/ss/general/iot-glossary/edge-computing.jsp
| - | 15:07 | comments(0) | trackbacks(0)
四股を踏むときはつま先を開いて


力士たちは「四股」を踏みます。下半身の筋力をつけるために。気を整えるために。

しかし、四股を踏めるのは力士だけではありません。ふつうの人も、四股を踏みつづければ、腰、膝、足首などが強くなることでしょう。しかし、闇雲に四股を踏むよりも、正しい所作を身につけて踏むほうが、効果は得られ、充実するというもの。要点をまとめてみると……。

四股を踏む前段の動きとしてあるのが「腰割り」です。肩幅よりすこし距離をとって両足を開きます。そして、つま先は平行でなく120度ぐらいまで開きます。さらに、つま先の向きに両方の膝の向きも合わせます。この状態で膝を「開く」と、股関節が開き、腰が降りてくるといいます。腰割り完了。

この腰割りの姿勢から、軸足に体の重心を移していきます。このとき軸足は伸ばしたまま。上げた足をなるべく高くまで上げようとめざしがちですが、むしろそれを犠牲にしてでも、軸足を伸ばすことのほうに力を入れるべきとされます。

さらに、軸足だけでなく、上体から腰にかけてもまっすぐにしておかなければならないとされます。「棒」になったような感覚をもったほうがよいのかもしれません。

そして、上げた足をそのまま落とします。このとき手を膝に添えます。百科事典には、下ろす足には「力を入れて爪先から地を踏む」とあります。しかし、足首の力を抜いて、そのまま着地させるという指導法も。力を抜いて足を落とすほうが、一般の人にとってはかんたんです。

この動作を、今度は軸足をかえておこないます。人には「利き足」もあるといいますから、片方で均衡よく四股を踏めても、もう片方ではうまくいかないことも。しかし、何度も何度も踏んでこそ、四股。くりかえしていくうちに、すこしずつどちらの足をあげるときも、踏みかたは安定してくることでしょう。

参考資料
朝日新聞 Reライフ.net 2018年9月10日付「47歳まで現役だった力士に学べ シコ踏みで股関節を動かそう」
https://www.asahi.com/relife/event/record/11763204
ブリタニカ国際大百科事典「四股」
https://kotobank.jp/word/四股-176942
| - | 20:08 | comments(0) | trackbacks(0)
多くの日本食にふくまれる成分が「炎症」を抑える

写真作者:nekotank写真作者:

日本人が好んで摂っている食品には、「ポリアミン」という物質がたくさんふくまれているものが多いといいます。

ポリアミンとは、窒素原子(N)1個と水素原子(H)2個からなるアミノ基を二つ以上、あるいは三つ以上もつ炭化水素のこと。ヒトのからだには、20種類以上のポリアミンがふくまれるとされますが、主だったものとしては、2個のアミノ基をふくむプトレシン、3個ふくむスペルミジン、4個ふくむスペルミンなどがあります。

これらポリアミンは、生きものの長寿に関係しているといわれます。実験では、マウスにポリアミンの濃度の高い餌をあたえつづけたところ、マウスの寿命が長くなったとのこと。さらに、ポリアミンをあたえつづけられたマウスは、高齢でも活発で、毛なみよし。体重は多めだったとのことです。

ポリアミンのなにが、マウスに長寿命化ないし健康長寿命化をもたらすのか。研究で明らかになったことは、ポリアミンには炎症を抑えるはたらきがあるということ。細胞が慢性的に炎症すると、病気や老化につながると指摘されています。

ポリアミンは、細胞のなかの遺伝子をふくむデオキシリボ核酸などにはたらきかけて、炎症するしくみを抑えるといいます。歳をとると、遺伝子に「異常メチル化」とよばれる変化が起き、これが慢性的な炎症とも関係して、がんや生活習慣病が起きやすくさせます。こうした病気が生じるのは、歳をとるにつれてからだでポリアミンがつくられにくくなっていくためともされています。

幸いにして、上記のマウスの実験からもわかるように、食事として得ることで、ポリアミンを体に摂りいれることもできます。大豆などの豆類、穀物の胚芽、きのこ、野菜、小魚や貝などにポリアミンは多くふくまれているとのこと。これらは日本人が昔からよく食べてきたもの。これらの食事を摂ることと、日本人が長寿であることとの関係性も見いだせそうです。

参考資料
栄養・生化学辞典「ポリアミン」
https://kotobank.jp/word/ポリアミン-772785
日本大百科全書「ポリアミン」
https://kotobank.jp/word/ポリアミン-772785
早田邦康「健康長寿食の科学(何を食べるべきか?)」
https://www.jichi.ac.jp/extension/file/summary_h27_08.pdf
日経メディカル 2017年9月5日付「ポリアミンが心臓の老化を予防」
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/cvdprem/blog/furukawa/201709/552562.html
| - | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0)
「失くしやすいものに予備を」という人と「予備は持たない」という人と


「失くしやすいもの」があります。たとえば、小さな付箋。たとえば、ヘッドホンのイヤーピース。はたまた、iPhoneのヘッドホン・ジャック・アダプタ。こういったものは小さいゆえ、一度どこにあるのかわからなくなると、見つけられなくなることもあります。

付箋が見つからないときは、付箋を貼るかわりに鉛筆やペンでちょっと印をつけておくといったことで、急場をしのぐことができます。ヘッドホンのイヤーピースがどこかで取れてしまい見つからないときは、かなり絶望的ですが、どうしてもヘッドホンで音を聴きたいときは、イヤーピースなしで聴くという人もいるでしょう。しかし、iphoneのヘッドホン・ジャック・アダプタがどこかへ行ってしまったとなると、かえの方法が効かないため、iPhoneで音声を聴くことはできません。

いずれの場合も、すぐ近くで買うことができれば、不便を解消できるわけですが、買うまでに手間暇がかかったり、近くに店がないこともあります。

こうした「失くしやすいもの」を自身で失くすおそれがあることを見こして、「複数もっておく」という対策をとる人もいます。ある人は「イヤーピースなんて、しょっちゅう落とすので、いつも持ちあるく財布のなかに予備を入れています」と言います。

一方で、そうした「予備」をあえて持たないという人もいるようです。ある人は「予備があるとなると、『失くしても予備があるからいいや』という気もちから、どんどんものを失くしていくような気がして。『これ1個しかないんだ』と思いながら使うほうが、失くしづらいんじゃないか、と」と言います。

どちらの言い分ももっともに聞こえます。

予備を持つ人は、ものを失くしたとき、いかにその影響をなくさせるか、とったことに重きを置いているといえます。その分、あらかじめ予備のものを買っておく必要があるわけで、出費するという点を犠牲にしているわけですが。

いっぽう、予備を持たない人は、いかにものに対する出費を抑えるか、といったことに重きを置いているといえましょう。その分、実際にものを失くしたときは、予備がないため、新たにそれを買って手に入れるまでは使えない、という点を犠牲にしていることになります。

予備を持つのと持たないのとどっちのほうがよいのかは、それぞれのめざすことが異なるため、「人や目的により異なる」としかいいようがないことです。
| - | 22:15 | comments(0) | trackbacks(0)
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>
SPONSORED LINKS
RECOMMEND
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで (JUGEMレビュー »)
サイモン シン, Simon Singh, 青木 薫
数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクション。
SELECTED ENTRIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
amazon.co.jp
Billboard by Google
モバイル
qrcode
PROFILE