
写真作者:Mike
消費者の求めている商品やサービスはどういったものかを調べ、売りかたを決めることで、生産者から消費者への流通を円滑にしようとする活動を「マーケティング」といいます。「生産者から消費者への流通を円滑にしようとする」というのは、「より儲けようとする」と言いかえてもよいかもしれません。
マーケティングは、なにに注目するかや、どういう方法でするかなどにより、さまざまに分けられそうです。なかでも、21世紀に入って、発展してきたとされるもののひとつに「感覚マーケティング」があります。
「消費者の感覚に強く影響をあたえ、消費者の知覚、判断、行動に影響をあたえるマーケティング」。マーケティング研究者のアラドナ・クリシュナは、2013年に著した“Customer Sense”(邦訳題『感覚マーケティング』)で、感覚マーケティングをこのように定義しました。つまり、消費者の知覚や判断や行動に影響をあたえる大切な要素は感覚であるということに注目したマーケティングといえそうです。
しかし、昔からより儲けようとする企業は、見ばえのよい広告を出したり、よい香りのする食べものを売ったり、耳に心地のよい背景音楽を流したり、なにかと消費者たちの感覚に訴えて商売をしてきたはず。いまさら「感覚マーケティング」を強調する必要はあるのでしょうか。
この疑問に対しては、「感覚マーケティングは五感すべてを総合的に捉えておこなうもの」といったことがひとつの答になりそうです。「これをすれば売れる」といった単純な因果関係で考えるのでなく、「これとこれが、こうつながり、こうなるから売れる」といった、より複雑な関係性にも注目するといったもの。
また、感覚マーケティングでは、一見、無関係に思えるような刺激などにも着目し、それが行動にどんな影響をあたえるかといったことまでも、探ろうとするといいます。これは明らかに、かつての感覚に訴えるマーケティングと異なるところです。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のいずれかがかかわる商品。それは、ほぼあらゆる商品のことを指すといってよいのではないでしょうか。その点からすると、感覚マーケティングを重視しなくてよい商品はまずもってない、といった考えかたもできます。
参考資料
広告朝日 2018年5月29日付「マーケティングキーワード『感覚マーケティング』」
https://adv.asahi.com/keyword/11549597.html
Insight for D「無意識を動かす『センサリーマーケティング』前編 行動メカニズムの秘密」
https://d-marketing.yahoo.co.jp/entry/20180612509905.html
wikipedia“Aradhna Krishna”
https://en.wikipedia.org/wiki/Aradhna_Krishna