2012.05.15 Tuesday
科学ジャーナリスト賞2012茂木さん「手間と時間をかけた」

(2012年)5月15日(火)、東京・内幸町の日本記者クラブで「科学ジャーナリスト賞2012」の賞贈呈式が開かれました。
科学ジャーナリスト賞は、日本科学技術ジャーナリスト会議が、科学技術に関する報道や出版、映像などで優れた成果をあげた人を表彰するもの。今回で第7回となります。
4日にわけて、大賞と賞の受賞者によるあいさつの要旨を伝えていきます。
大賞は今回2作品。下野新聞社発達障害取材班代表の茂木信幸さんと、NHK文化福祉番組部チーフプロデューサーの増田秀樹さんが受賞しました。
下野新聞社の茂木信幸さんの受賞スピーチ(一部抜粋)です。

茂木さん、右後ろはキャップの山崎一洋さん
「本日は、過分なる賞をいただき、ありがとうございます」
「私ども下野新聞は、宇都宮市に本社があります。今回の連載は、一地方紙の、どちらかというと地味な連載でしたが、こういう形で光を当てていただき、本当に感謝しています」
「発達障害は、いまではいろいろなメディアで取りあげられ、関心は高まっています。相手の気持ちが読めない、集団行動ができない、うまくコミュニケーションがはかれないといったものです。この会場にも何人かいらっしゃるかもしれないというほど身近な問題であり、そういう点から、連載のタイトルは『あなたの隣に 発達障害と向き合う』としました」
「(連載企画の)きっかけは、教育問題に通年企画で取り組もうということでした。取材班の山崎一洋(編集局社会部)をキャップとしたところ、どうやら小中学校の現場で、発達障害のお子さんに苦労している先生が多い、とわかりました。まず栃木県内の現状をきちんと取りあげて、そこから連載をしていこうということで始まりました」
「栃木県内の小中学校と大学1200校すべてにアンケート調査をし、それをベースに展開していきました」
「今回、実名で報道したことが評価されたということもありましたが、特定の障害のある方のお話を、どう社会性のある、読者に共感をもっていただけるキャンペーンにしようかと考えました。そのなかで、やはり、そうした方々との信頼関係を築いて、私どもの目的を理解していただき、さらにもう一度『この内容で大丈夫でしょうか』と、確認しながら連載を続けました。手間と時間をかけたところをきちんと評価していただいたことに、本当に感謝します」
「連載を始めるにあたり、非常に不安でした。ちょっとまちがうと、偏見あるいは差別の助長につながってしまうのではないかと思ったのです。あるいは、社会的な共感が得られるのかというところでどうなんだという不安がありました」
「しかし、いざ連載を始めてみますと、『うちの子も発達障害かもしれない。そういうことをきちんと紹介する機関を教えてほしい』とか、『学校の先生にこの連載を読んでほしい』『障害がある子がいることを理解してほしい』という声が100通以上、寄せられました」
「読者の人びとの励ましや支援、なかにはおしかりの声もいただきましたが、それがキャンペーン報道として成り立った大きな要因だと思います」
「今回の受賞がひとつのきっかけになり、7月上旬に多少の追録・増補した形で書籍化する運びになりました(会場から拍手)。出版の際にはお付き合いいただければと思います。きょうは本当にありがとうございました」









